直売所に野菜を出すためにはトレーサビリティが大事【認証とシール】

直売所に野菜を出すためにはトレーサビリティが大事【認証とシール】

福井県池田町の農産物認証制度

福井県池田町は、福井県の山間、92%が山林で耕作面積は350Ha水稲を中心の農業の町。

特定豪雪地帯でもあり、いわゆるド田舎。そんな田舎のおばちゃんたちが出している野菜を中心とした農産物がとっても人気です。

福井市内のショッピングセンターの一角にある池田町産マーケット「こっぽい屋」。

毎朝、開店前から行列ができ、扉の前でお客様が品定めです。その農産物がなぜ人気なのでしょうか?

この記事では、農産物の認証制度について掲載しています。直売所は全国にたくさんありますが、福井県池田町の「こっぽい屋」は、今年で20周年を迎えました。その直売所に野菜を出荷するための「認証制度について」解説します。これをすれば認証制度について理解できます。

当時は、まだ直売所と言うものはなく、池田町の野菜はすべて自家消費。けれどもおいしい。農薬もほとんど使ってない。そんな野菜を知ってもらいたい。

その為には、「池田町独自の認証制度が必要だ。」と町長!

農産物認証制度は何故するのか?

農産物には農家の色々な作り方や思いなど様々な背景があります。それを消費者に伝えるには作った本人がお客様に伝えるのが一番。

しかし、農業をしながら販売もするそんなこと毎日できません。

そんな思いを伝えたい、情報を届けたい、それが重要です。

農産物が並んだ生鮮売り場では、産地と価格しか情報は有りません。しかし、お客さんが求めている情報はこれだけでは無いはずです。

どこの人が、なぜこの時期のこの農産物を作って、どうやって作ったのか。どうやって食べたらいいのか。旬はいつなのか?

外国産など多くの野菜が一年中スーパーに並ぶ世の中、できるだけ分かり易く商品を説明しなければなりません。

トレーサビリティです。

トレーサビリティ(Traceability)とは、トレース(Trace:追跡)とアビリティ(Ability:能力)を組み合わせた造語で、日本語では「追跡可能性」と訳されます。つまり農産物がいつ、どこで、だれによって作られたのか」を明らかにし、種苗の購入から生産、そして審査まで追跡可能な状態にすることです

ただし、この情報を解り易くするためにPOPやチラシ以外にも、農産物を評価してもらい、簡単なシールやマークで消費者が一目で解るようにしたものなんです。池田町で行っているトレーサビリティ認証を例に簡単に説明します。

認証シール1枚に思いを載せています。

2月の営農座談会で「認証制度について説明会」

営農座談会が始まりました。画像の様にキビキビした感じとは全く違います。

JAさんの営農座談会や町役場の座談会が始まると春を感じます。でも外はまだ雪景色。

今年は雪が少なく、春が近づきソワソワしている模様。「101匠の会」座談会に参加しました。

「そろそろ畑の準備と、今年はどんな野菜や花を作り直売所に「出そうかな」と考えます。ちょっと待ってね。

その前にしないといけない事が有ります。どのような野菜をどこに出すのかですね。市場なのか直売所なのかレストランとの契約なのか。また、農業で所得を得るなら、税金関係の書類も準備しとかないといけません。まずは今のうちに書類の作成をしておきましょう。

農産物を販売してお金を頂くためには、野菜を作れば良い訳ではない。

農産物を出荷してお金をお客様から頂くには、やはり農産物の履歴が必要です。いつ、だれが、どこで、何を、どんなふうになどの情報が不可欠です。また、出荷するための基本的な情報、どんな袋、どんな農薬、本当にその情報はあっているのか?

厳しい目で判断し、安全な品質確保する必要があります。これもトレーサビリティです。

その為にも農産物が安全なものであると「専門家が判断」し確認する必要があるのです。

認証制度の流れ

①圃場登録「農家のどの圃場で、面積、前作では何を作って、土づくりはなにをしたか」します。

②土壌分析「専門機関に出し、野菜作りに適正であるか検査し、分析結果を報告します」して土の状態を調べます。

③栽培記録簿の記帳「野菜を作るにあたり、種子の購入先・品種・肥料の量・種類・農薬使用履歴」をその都度記入し、管理簿を作成します。

④審査申し込み「毎月決められた日までに、審査してほしい野菜又は圃場の審査を申し込みます」します。

⑤審査「専門機関による営農指導員立ち合いのもと審査確認します」は現地で農家と一緒に畑と栽培記録を見ながらおこないます。

⑥審査結果報告「審査に合格すると認定書」を発行します。また審査対象の農産物に添付できる認定シール発行します。

⑦農産物出荷「池田町の直売所に農産物を出荷します」生産者・農家名・品目・数量・価格を明記したバーコードを添付・また認証シールを添付します。

⑧農産物出荷台帳「農産物を出荷した数量」を記入します。

⑨清算。毎月、販売された野菜について清算書が発行され、口座に販売代金が入金されます。農業所得の申告にも使います。

「農協さんや役場さんがしろって言うからしてるよ。しゃ~ない。」農協さんや役場さんのためではありません。

自分の所得を得るなら最低限の事です。頑張って書類づくりをしましょう。

これが生産工程管理の明確化がすべて、トレーサビリティーです。農産物を販売するなら当たり前の事。

しかも、特徴をアピールして少しでも付加価値を付けた販売したいものです。

その為、手間を惜しんではいけないと自分に言い聞かせましょう。(笑)日々の農作業とデスクワークの両立ができなくて、先延ばしにしがちです。

池田町は、なぜ独自で認証制度をする必要があるのでしょう?

認証機関は、都道府県・又は民間団体・有機JAS等様々な農産物の認定機関がありますが、池田町の地域性に対応した結果、町独自の認証機関を設けたと言えます。

私の町では家庭菜園の農家が色々な品種の野菜を少量づつ色々な時期に作っています。野菜の専業農家がいません。

池田町が独自の認証制度を設けているのは家庭菜園が主流のおすそ分け農家の集まりだからです。

少量多品目で、1アールにも満たない。また、品目が沢山あるため、他の認証機関では対応できないから。また、認定コストがかかり家庭菜園では認定の対象とならない。

しかもつまみ菜等の周年栽培では、2週間程度の短い期間で出荷するので、手続きが終わらないうちに次の出荷になる。野菜によって申請事務が間に合わない。つまり、認定機関に柔軟な対応が無いと、販売できないその為、町が独自の認定を行い野菜一つ一つに認定している訳です。

私の農場はある程度規模が大きいし品目も少ないので(15品目結構おおいかも)JGAP認証農場として登録していますが、家庭菜園で到底JGAP認証はできません。

「ゆうき・げんき正直農業」とは

福井県池田町独自の認証制度の名称です。池田町では、野菜を中心とした家庭菜園での野菜栽培が中心です。

野菜は各家庭で消費するもの、親せきや孫におすそ分けするもの、ご近所に配ったりと、販売目的ではありません。その為、農家も販売した経験がありません。

当然、自分や家族が普段食べているもの、それは、新鮮で、土づくりされた畑で取れたもの。

しかも、農薬や化学肥料を使っていないものです。そんな農産物を販売してみようからその取り組みが始まりました。

「その家庭菜園農家が集まって一つの直売所「こっぽい屋」ができたのです」

町の認定を受けた野菜を町の直売所「こっぽい屋」で販売ができるというシステムです。当然、池田町で農産物を作っている、認証制度のルールを守る、が絶対条件ですので「ゆうき・げんき正直農業」の農産物に認定しています。

3年以上無農薬無化学肥料で栽培された農産物から、今年から始めた無化学肥料・1回の農薬使用可の畑を対象に認定しています。

もちろん除草剤は使用できません。環境に配慮した農業を行い、正直に野菜作りをしている農業する事です。「101匠の会」という会に参加し、池田町の住民で畑がある事が入会の対象となります。

また町では、「ゆうき・げんき正直農業」を行う上で、環境に配慮し手間暇かかるかかりまし経費を一部負担して頂けます。

「101匠の会」とはゆうき・げんき認証制度に参加し、農産物を生産している団体(会員数約120人)

この会には憲章があります。

101匠の会は画像のようなおばちゃんたち「農業者」の集まりです。

隅っこの花に農薬をやってしまったら、直接野菜にはかけていませんが、それもカウントします。その他の農産物は認定はできませんが審査を受ければ町の直売所「こっぽい屋」へ出荷できます。山菜や果樹、花木など認定はしていません。天然のものとして扱います。中々きびしい内容ですが、101匠の会の皆さんは20年以上作ってこられています。

「慣れれは難しくないし、安全だし、美味しいとみんなが言ってくれるからうれしい」

「生きがいや~」

「もう、年やで、今年はやめようかと思っていたけど、玉ねぎ植えてしまったし今年もやるかの~」(笑)

必要な様式「福井県池田町の事例」

1、圃場登録の様式1枚

一般的には水田台帳があります。JAさんから送られてくる薄い緑のA3紙。様式は各市町村であると思います。なければ出荷先に確認してみるとよいでしょう。圃場登録はどの畑で野菜を作るのか確認します。また、その畑はどのような畑ですか。この情報を基に認証機関(公社・JA・役場)が審査を行います。そのため、畑の位置、面積、名前、前作などの情報を記入確認します。

2、栽培記録簿1枚

栽培記録簿は、農作業の日誌です。どのような野菜が、いつ、どこで買ったのか、肥料は何をいつ、何回。農薬は何をいつ、どこにやったのか、また、どのような生育状況なのか記入していくので当然、審査には必須アイテムです。

参考に私の町の記入様式を載せておきます。

3、野菜の審査申込み書1枚~

審査の申し込みをすると審査員が日程を調整し、審査日を決定します。私の町では毎月10日迄に申し込みしたものについては、20日前後に一斉に審査です。審査は家庭菜園を考慮して、毎月の末2~3日間にかけて40~50圃場を審査します。認定品目が多数存在するので、畑全体で審査となります。

4、土壌分析の検体3~4検体

土を畑から採取して土の状態を検査、健康な野菜が作れるような土なのか確認します。主な項目として、PH、EC、腐植等、もっと詳しい検査を希望するのであれば4,000円で細かな成分分析をします。作付け前が採取するには良いと思います。肥料をやってしまっては調整ができませんからね。土は50gあれば十分できますので畑の4か所をバケツにとり、それを拡販したものを検査に出します。

5、農産物出荷台帳1枚(毎月)

栽培記録とは別に出荷した農産物の記録をします。いつ、どれだけ、どれくらいの期間、野菜を販売したのか記帳します。今年の野菜の成果が記録として残りますね。私はアグリノートを利用したり、カレンダーにかきこんだりしています。

6、審査

栽培記録簿と圃場の現地審査になります。毎月25日頃、審査の申し込みがあった農家の畑に行き、現場で確認をします。審査は、栽培記録簿に書かれた野菜がちゃんと畑にあるかどうか、いつどれだけ出るのか審査員が確認し、聞き取りし後日合否判定をします。農薬をまき不合格になったとしても適正に農薬を使用していれば、農産物は出荷できます。

7、出荷

農産物に認定シールを張り付けて出荷します。

ゆうき資材を使っていなければ出荷できないという訳ではありません。農薬を使った野菜が農産物が悪いという訳ではありません。

真面目に大事に作った野菜は、「こっぽい屋の店員さんが自信をもってお客さんに販売できます。

また、農家さんの顔が思い浮かべば農家さんの得意な野菜や料理を伝えることができ、お客様も喜ばれます。

そんな顔が見れるとまた、頑張って野菜作りができますね。

正直農業、最高です。