ほうれん草の苦み・えぐみの原因は栽培にあった【シュウ酸と硝酸態窒素】

ほうれん草

ほうれん草のえぐみ・苦みは、ほんとうの味⁉

ほうれん草の苦みの原因は「アク」

この記事では、ほうれん草の栽培での注意点と苦くなる原因を掲載しています。苦いものが当たり前と思っていませんか?食べると不味いだけでなく、体に悪影響を及ぼします。

ほうれん草に含まれる「シュウ酸」が原因。食べ方や栽培の仕方によって原因となる成分の量を減らせます。シュウ酸の少ないほうれん草を育て、美味しく頂きましょう。

「ほうれん草の茹で時間足りなかったのかな~、なんか苦みがあるね。」

と感じた経験があるでしょうか。

「えぐ味」とも言います。苦みや何とも言えないえぐみに舌全体を覆われて美味しくありません。

「これがほうれん草の味なんだよ」

違いますよ。健康のために緑黄色野菜を取って不健康になったら、本末転倒です。

摂取しすぎると「尿管結石」なっちゃう(笑)

ほうれん草の苦み・えぐみの原因は「シュウ酸」

ほうれん草を食べると、口の中がキシキシして独特のえぐみ・苦みを感じることがあります。

これは、ほうれん草の「シュウ酸」という有害物質が原因です。ほうれん草以外に、ふだん草・タケノコ等は必ず含まれています。

ほうれん草に含まれるシュウ酸と口内のカルシウムが結合「シュウ酸カルシュウム」に変化して微細なトゲトゲ結晶が口内に残ることで不快感になる。

このシュウ酸は厄介な成分で、口の中ではえぐみとなり、吸収されたあとに体内のカルシウムと結びつき、結石の原因になると言われています。

シュウ酸は、体内で鉄やカルシュウムの摂取を阻害し、決して良い働きはしません。

ほうれん草を食べている時の嫌な食感もシュウ酸が原因です。シュウ酸が歯の垢や唾液に含まれるカルシウムと結合し、ぎしぎしとした歯ごたえを生み出しています。

この食感が苦手というもの多いのではないでしょうか?

ただし、シュウ酸は下処理をしっかり行えば約7割が取り除けるそうです。

ほうれん草の下処理(茹でる・炒める)はしっかりと行いましょう。

「乳児にほうれん草を生で食べさせるな」ともいいますよね。

ほうれん草のゆでる時間はジャスト1分

大きな鍋でたっぷりのお湯を沸騰させ、1束のほうれん草を株元から入れて沸騰が止まらない。

この条件で1分です。

その理由は、ビタミンCの消耗と食感です。何日も冷蔵庫で放置したほうれん草を3分茹でたら栄養は空っぽ!

ほうれん草のゆで時間とビタミンCの残存率

  • 1分間→74%
  • 2分間→61%
  • 3分間→48%

炒めることで、えぐみを取る方法

油を使うことで舌に接触しないようにしたり、にがりを加えてゆでる事でなくなるらしい

↑のほうれん草の葉にある白いつぶつぶは、ほうれん草独特の症状です。有機酸が含まれていますが、その内3つの酸のうちシュウ酸が約6割を占めていています。
食べる前には水で洗い流した方が良いでしょう。

↑コレが原因の【シュウ酸の結晶】収穫時期のほうれん草の葉の表面にまで、付着蓄積してきます。

すいません。読者様より、情報提供頂きましたので謝罪し、訂正いたします。

↑従来はシュウ酸カリウムの結晶などと説明されてきたが、実は、有機酸などを含む水溶液が脂溶性の膜に包まれたものです。

本顆粒は直径0.1~0.2 mmの球形であり、葉の表面と裏、特に若い葉において高密度に観察される。白色顆粒を乾燥すると重量が90%程度減少する。

顆粒中には糖やアミノ酸はほとんど含まれない。白色顆粒は水溶性物質の結晶(シュウ酸カリウムの結晶)ではなく、半透性で脂溶性の膜が水溶液を包んで風船のように膨らんだものである。その有機酸(シュウ酸、リンゴ酸、クエン酸)が含まれています。ほうれん草由来ではありますが、生成メカニズム、植物生理学的には未解明な所が多い。

白色顆粒は指などで触れれば簡単に落ちる。本顆粒が付着したホウレンソウ葉をそのまま食したとしても、顆粒由来のシュウ酸の摂取量は無視できる量である。

参考文献:農研機構・野菜茶業研究所(2007)成果報告情報

 

朝日新聞の記事によると

「医学論文を検索し「シュウ酸の摂取と腎結石のリスク」という論文がありました(この場合、腎結石と尿路結石はほぼ同じものと考えていいです)。

アメリカ合衆国で行われた、10万人規模の男性医療従事者および女性看護師を対象にした大規模な研究です。

食物摂取頻度調査を行ったところ、食事由来のシュウ酸のおおよそ40%がホウレンソウ由来でした。ホウレンソウ以外のシュウ酸摂取源は、ジャガイモ、シリアル食品、オレンジ、ミックスナッツ、コーヒーなどでした。」アピタル・酒井健司さん参考引用「

サラダほうれん草という品種やスーパーではサラダ(生)でほうれん草を使っている所もあります。私的にはグレー商品だと思います。

確かにほうれん草はサラダで食べることができます。しかし、先に述べたようにほうれん草にはシュウ酸がつきもの。

表面のシュウ酸を洗い流したとしても、内部にも含まれます。「そういう品種」「水耕栽培」だとして柔らかくサラダにしても食べれます。

シュウ酸が入っていないから安全です。とは違います。そこを理解しておく必要があると思います。

私の作っているほうれん草は「甘いし、美味しく食べれますけど茹るか炒めてください

因みに、わずかですが、シュウ酸は、お茶にも含まれています。日本人の場合毎日飲んでますから結構摂取しているかもしれません。

ほうれん草の「シュウ酸」は栽培方法で変わる。

栽培方法の中で、肥料に含まれる窒素の過剰が1つの要因です。ほうれん草の栽培方法で「シュウ酸」の濃度が低いほうれん草になります。

有機栽培をすることで「シュウ酸」が減ります。だたし、有機質肥料を沢山与えればよいというものでもありません。

「BLOF理論」というものに出会いそれを実践してます。

ほうれん草のシュウ酸の蓄積は、硝酸態窒素の過剰摂取が原因です。

硝酸態窒素は、ほうれん草やレタスなど葉菜にある物質です。化学肥料を使い多肥栽培で栄養過多の栽培方法をしている場合に多く見られ、ハウス栽培でのほうれん草の周年栽培で増加しています。

高濃度に硝酸態窒素を含むほうれん草とタンパク質と一緒に食べると口の中で噛んでいるうちにアミノ酸と結合してニトロソアミンと言う発がん性物質にも変わります。

ほうれん草が好きだからと言って特定の野菜だけ食べるのは避け、バランスよく食事をとりましょう。

これは栄養分析をしてみたら、分かったこと。失敗して分かった事。野菜の栄養分析と診断。その結果は!【家庭菜園】に詳しく掲載しています。

 

「ほうれん草が苦い原因」を理解し、美味しいほうれん草を作りたいと思っています。

ほうれん草の生育から見えてくる

なぜ、ほうれん草は「シュウ酸」が蓄積されるのでしょう?

ほうれん草の生育特徴「ド真面目・バカ正直」

〇ほうれん草は肥料が大好きです。どんどん肥料を吸って成長します。

〇ほうれん草は乾燥が大好きです。直根性なので、一旦根が張ってしまえば深く地中に根を張るので土の表面が乾いてもへっちゃらです。

〇ほうれん草は寒さが大好きです。生育適温は15~20℃で、氷点下でも枯れません。むしろ元気です。

条件が揃えば、肥料を沢山吸収して、どんどんほうれん草は成長します。農家が出荷する時に硝酸態窒素の量は測っていません。

ほうれん草の窒素肥料を施した量とシュウ酸は正の相関があると学術論文では報告されています。

窒素濃度の調節によりホウレンソウのシュウ酸含量を低下させることは困難と判断され、一方では、窒素の形態によってシュウ酸、硝酸 含量は変わる。

つまり、硝酸態窒素とアンモニア態窒素の施用を調節することによりシュウ酸、硝酸含量の低いホウレンソウ栽培が可能です

簡単に言えば、硝酸態窒素を少なくすることでシュウ酸が少なくなるという事です。

ただ、そう単純にはいかないのが農業と痛感してます(*_*)

えぐみの無いほうれん草は市場には少ない。消費者にはわからない。

市場のほうれん草は「緑が濃くて、1株1株が大きい」です。

なぜなら、ほうれん草を作る生産農家、外国の輸入品は、経営上、生産性をあげ、収量を確保するために努力しています。

例えば、冷凍野菜・パウダー加工に使うほうれん草は、一般的なほうれん草の規格長さ25㎝程度ですが、加工用となるとその倍50㎝以上です。

でも、生産性を上げるには肥料を与え、大きなほうれん草を沢山、何回も作ることになります。そうすると肥料を過剰投下となった畑で作られたほうれん草になります。

「美味しいほうれん草・硝酸態窒素の少ないもの」を作ったとして、どれだけの収益・利益が出るでしょうか。

農家の事情

ほうれん草に占める生産費のほとんどが、収穫と調整です。つまり、人件費。

ほうれん草自体単価が低い為、たくさん収穫して、たくさん出荷しないと経営が成り立ちません。

「沢山作って沢山売たい」そのため、農家はどうするでしょう。

肥料を与え、早く成長させ、色の濃いほうれん草を栽培をします

問題なのが、肥料です。与えれば大きくどんどん成長するのでついつい多く与えてしまいます。

こればかりはしょうがない。

消費者が意識してそのような農産物に価値を与えないと、「色の濃い緑が良いとは限らないのです。」

健康に配慮している野菜を作っている農家を比較して選ぶ事をしないと変わらないと思います。

現在の日本のほうれん草の「硝酸態窒素」の食品安全はどうなっているのでしょう

食品安全に関するリスクプロファイル

出典:農林水産省:食品安全に関するリスクプロファイルシート

上表「日本食品標準成分表」に記載されている野菜中の硝酸イオン濃度(文部科学省)では

ほうれん草は、0.2gNO₃/100g以下に設定され

上表市販の国産野菜中の硝酸態窒素含有濃度(2002-2004 年度)(独)農林水産消費技術センター(当時)が、市販の国産野菜に含まれる硝酸態窒素の含有実態を調査では

サンプル数208
平均3070
中央2990
最大9220

と適正範囲です。ですが、

海外はどうでしょう。

EUの基準は一定の基準を設けています。

生鮮ほうれん草   3500以下

加工冷凍ほうれん草 2000以下

日本のほうれん草の結構ギリギリ、場合によってはアウト(*_*)

しかも、農家が野菜の硝酸態窒素を調べ記載する必要はありません。あくまで基準であり調査結果です。

まとめ

〇植物の必要な養分である窒素を根から水と一緒に吸収します。化学肥料であれ有機肥料でどんな肥料であれ、植物は無機質の硝酸態窒素を吸収します(当然、例外もあります。)

〇ほうれん草のえぐみ・苦みは「硝酸態窒素の過剰」=「シュウ酸の蓄積」で起こります。

〇ほうれん草の食品安全に関するリスクのガイドラインは国によって違います。強制力はありません。

ただし、肥料の種類・作る時期によって植物が吸収する硝酸態窒素の量が変わってくるのです。農業でもこの分野は多種多様な要因が関係してくるので解明できないといわれています。

 

コメント

  1. 高島 佳世 より:

    こんにちは
    ほうれん草について、よくまとめられているなーと感心しながら拝読いたしました、通りすがりの有機農家です。
    ほんとうによく観察、研究されていますね。大変参考になりました。
    ただ1点、本記事にあるほうれん草の葉の白い粉状のものについて写真の下に「シュウ酸の結晶」と記載されていますが、それは誤りです。
    この粉は野菜の生育過程で生理的に代謝されたもので、結晶ではありません。俗に「ブルーム」と呼ぶかたもおられますが、正確には植物の細胞の中でグルタミン酸が合成される際に生成された有機酸(シュウ酸の他にクエン酸、アミノ酸なども含まれます)の水溶液が脂溶性の膜で覆われ、粒状になって排出されたものです。
    この粉には何の毒性もありませんし野菜本体のシュウ酸の含有量の多少を示すものではありません。「危険な結晶が葉に付いている」的な表現は改められたほうが良いかと思います。

    有意義な発信に出会えてとても嬉しく思います。
    お互い今後とも良い栽培を目指してゆきましょうね。

    • さびまり より:

      高島佳世様 初めまして、さびまりです。ブログをご覧頂きありがとうございます。
      貴重なご意見ありがとうございます。謝罪し、また、上書きし訂正いたしました。
      私は、有機農業をしたいと思っていますが、全ての野菜では中々できないので難しいと実感しております。
      ほうれん草の白い粒粒をあらためて調べて、植物の不思議を実感しています。ありがとうございます。確かに「シュウ酸の結晶」は間違ってます。しかも葉に危険な物が付いているという風にとられる表現は適切ではありませんね。
      私といたしましては、ほうれん草の美味しさを害するといった意味あいでしたが、私の感情が入ってしまいました。
      「ブルーム」と呼ぶ方も居られるんですね。たぶんキュウリの表面につく白い粉のような物と考えられておられるのでしょうか?そちらは、シリカ(sio2)を主成分とした物質の事ではないでしょうか。
      キュウリの穂木にかぼちゃを台木として接ぎ木することで「ブルームレス」となるものです。間違いでしたらすみません、ご参考まで。ブログ記事では、できるだけ正確な情報提供を心掛けているつもりでしたが浅はかでした。
      本当に、野菜作りをする中で植物の不思議な現象には驚かされ、大変興味深く、楽しいです。
      私の様な未熟者の記事をお読み頂き感謝し、貴重なご意見を頂けたこと、励ましのお言葉、感謝申し上げます。
      高島様も、暑さが厳しくなりますが、お体に十分留意され園芸ライフお過ごしくださいませ。

  2. 高島 佳世 より:

    さびまりさんこんにちは
    お返事ありがとうございます!!
    たった一つの気がかりに丁寧に対応くださり、その真摯さに頭の下がる思いです。
    ご指摘のとおり「ブルーム」は通常キュウリやブドウの表面に見られるものを言いますね。ブロッコリーなんかにも発生し、野菜自身の保護のための物質で、作物によって成分がまちまちです。
    ほうれん草の場合、「俗に」と言いましたように厳密にはブルームではないのです。そう呼ばれるかたは「植物自身から発生したもので異物ではない」ことを伝えたいのでしょうね。共に農薬やら微生物やらに勘違いされる存在なので。
    農業は、食物の生産であるとともに植物や虫や微生物その他いろんな生物の不思議の解明ですよね。
    有機農業と言っても私などはただ化学合成した肥料や農薬を使っていないというだけで、まだ有機的世界の端っこをかじっているだけのようなものです。理解のある消費者さんに恵まれてようやく専業農家と名乗れています。
    消費者さんの信用を得るため、私としてはできるだけオカルト農法に走らずに根拠のはっきりした知識を持ちたいと思っています。科学の子でありながら、自然界の下僕(!?)(敵わないということです!!)でありたいと願ってます。
    改めてこのブログを拝見させていただき、よくぞここまで調べて整理して、わかりやすく発信されているなぁと感動すらしております。
    そしてご自身の経験を常にフィードバックされている。これからもどんどんブラッシュアップされていくのだろうなと思うとワクワクします。
    特に目新しかったのはアグリノートの記事です。
    私は20年経っても日々の記録の方法、それをデータとして残す方法に四苦八苦しております。
    農業は営農規模がまちまちなので、私のような中量中品目小規模農家は汎用的なやり方を求めず自分なりのやり方で進む方がいいのかな、というところに落ち着きそうです。
    またこれからもブログを読ませていただきます。
    そして機会があったら、いつかさびまりさんの農場を見学させて頂きたいと願っています!

    • さびまり より:

      高島佳世様、お世話になります。
      そうですね。自然との共存をしていく中で、植物を少しでも理解し有益な栽培ができると嬉しいです。私は、まだまだ翻弄しております。(笑)
      また、消費者もそのようなコアな情報を求めているのではないでしょうか。
      自身の勉強を兼ねての、忘備録ブログなのでまだまだ足りない部分等がまだあろうかと思います。
      最近は更新頻度が落ちていますが、些細な事や気づきを大事に更新していけたらよいと思います。
      また、これからGAPの様に、「アグリノート」の様な営農支援アプリを活用し、農業経営が増えてきますよね。
      もし、お近くまで来られる機会御座いましたら、是非お立ち寄りくださいませ、お待ちしています。
      ありがとうございました。
      今後とも、よろしくお願い申し上げます。

      さびまり