水稲の育苗保温の管理は暑すぎ注意【種まき~苗の管理】

水稲の育苗保温の管理は暑すぎ注意【種まき~苗の管理】

 

私の町の山ざくらの花がようやく開花。桜のお花見も2回楽しめます。

田んぼの苗の育苗が始まりました。この作業が1年の始まりのような気がします。

「去年は苗箱4枚いっぺんに運んでいけたのに、今年は3枚が限界かも(>_<)」

「おりゃ(/・ω・)/」「フッ」って声が漏れる、(;^ω^)

腰痛と労働の汗で、体力がどれだけあるのか何となくわかりますよ。田んぼの苗箱1枚5kgがしんどい今日この頃。出芽した稲をきれいにビニールハウスに並べ、植えられる状態まで管理します。

ビニールハウスですが保温するための施設なのに、暑さが危険とは?どういうことでしょう。

この時期は、太陽の強い光にさらされると苗が日焼けを起こして枯れてしまいます。そこで、不織布や太陽シート等で覆い直接強い光が当たらないようにします。水稲専用のビニールハウスでは、無色透明のビニールを使わず、あらかじめカスリ掛かっていたり、梨のような色のハウスで光を弱めています。その為に中の様子が見えにくいですよね。水滴で曇っているわけではありません。わざとです。人も同じです。春先の直射日光は気温のわりには非常に強いので日焼け止めクリームでお肌のケアもしっかりしないといけません。

では、なぜ暑くなりやすいのにビニールハウスを使うのでしょうか?

理由は最低気温にあります。この時期はまだ最低気温は0を下回る「霜」があるのです。それにあたると間違いなく枯れます。それを防ぐのが目的です。暑いとか寒いとかよくわかりません(笑)お米にとって温度変化の激しい気を張らないといけない季節なんです。

 

水稲の育苗保温の管理は気温の暑すぎ注意

水稲育苗の管理の方法

田んぼの苗は種を蒔いてから40日でだいたい田植えです。稲の栽培は田植えから収穫まで5か月ほど、その中で「苗半作」といわれる位大切です。最悪、苗を焼いてしまった。根の張りが悪くてボロボロこぼれてしまった。これではコメ作り以前の問題ですね。しっかりした苗を作りましょう。順を追って説明していきます。

①浸種(種もみを水につけて発芽の準備をします。)

・浸種は、発芽に必要な水分の供給ともみ殻の発芽阻害物質を除去し、発芽を揃える目的で行われます。

・浸種が足りないと発芽が揃わないので、十分に吸水させてください。

・水温は10~15℃とし、積算温度(水温×日数)を確保しましょう。

・浸種時の酸欠を防ぐため、2~3日毎に水を交換し、袋の位置を入れ替えるとともに、上下反転させましょう。

ポイント 10℃以上×10日間=積算温度100℃以上で発芽。

低水温(6℃前後)は悪影響を及ぼします。種子消毒の効果を高めるため、前半の4日間は水を取り替えないようにしましょう。しかし、30℃以上の温度で管理すると雑菌が増え、種もみが腐る原因になります。暑さに注意です。

②催芽(発芽させます)

・催芽は播種日に合わせて実施します(播種の3日前)。

・発芽温度は30℃、ハトムネ状態に仕上げます。30℃を超えると細菌性病害が発生しやすくなるので注意しましょう。

・日数は1~2日が目安ですが、発芽状態を確認してから終了してください。コシヒカリなどの発芽しにくい品種は、特に注意しましょう。

催芽に風呂等を使う場合もありましたが、ご家族の同意が中々難しい今日この頃です。

③播種(種まき)

催芽もみはこの状態です。ちょっと白いとんがったものがモミから見えますね。

・播種は薄播きを励行し、目標とする苗に合わせて播種量を設定します(乾籾100gは催芽籾125g)。

・かん水は、覆土に水がしみあがる程度を目安にします。

・均一に播種します(播種ムラは生育ムラや欠株につながります。

様 式 1箱あたりの播種量(乾籾) 10aあたりの必要苗箱数
稚 苗 150g~180g 22箱
中 苗 80g~120g 28箱

最近、密苗という技術があるのをご存じでしょうか?

1箱には、普通150g位のタネを撒きますが、密苗は、300g撒きます。①従来の2~3倍の高密度で播種・育苗する栽培技術 (移植時の目標苗姿:本葉の葉齢 2.0 ~ 2.3、苗丈 15cm 程度 ) ②精密に掻き取り、高精度に移植する田植機技術で少量掻き取り機構、土壌感度アシストなどを装備している専用機が必要とされています。

つまり、苗を半分の量で植えれるのでコスト削減を目的に普及しています。しかし、デメリットとして苗管理が非常に難しい。徒長・肥料切れを起こし易いため、20日育苗厳守が求められます。厚まき注意!

 

④出芽期(4月14日)稚苗の様子↓↓

(です。種が発芽して、2~3日間した状態です。これまでは発芽器で発芽させます。その苗を今度は、ビニールハウスに広げて管理していきます。今日のノルマは1300枚約300㎡並べます。つまようじみたい(^^♪

⑤緑化の苗(4月17日)↓↓

白い芽の中から緑色の葉が出始めました。見た目はまだまだ、針の様に細いですがこの時期になると少し安心。緑になったら不織布シートを外し、太陽の光にならしていきます。水やりはやや控えめで、徒長しないように土の表面が乾いたらあげる程度で十分です。

⑥硬化期の苗(4月22日)↓↓苗を入れてから8日後の様子です。

ここから徐々に外気の温度に苗をならしていきます。

ビニールハウス内と外では、温度が10℃位違います。しっかり丈夫な苗に仕上げ、苗を植えた時にしっかりと根を張れるように鍛えてあげます。

このまま育てると、草丈ばかり伸びて根の張りが悪い苗となってしまいます。かといって早めに外気にさらすと成長が止まってしまいます。農家にとっても判断が難しい所です。

なんだか、子育てみたいですね。

良い苗のポイントは「朝、稲の葉に水滴がついているかどうか」です。

このような状態です。毎朝チェックしましょうね。

もし、下のようなことが見受けらたら障害が発生しています。参考にしてください。

異常害 対策・対応
葉っぱが巻いている。

苗が傾いている。

回りと色が違う。(薄い・濃い)

腐った匂いがする。

・水不足・早急に灌水

・生育のずれ・水平に

・品種や肥料の過不足・追肥等

・病害の発生・防除等

⑦失敗しない条件と方法

先にも話しましたが、「苗焼け」「根の張りが悪い」ということが起こるのは、ビニールで覆ったハウス内の温度管理が難しいことが理由です。寒暖の差が激しく日差しの強いのは4~6月です。この時期のハウス内の温度はもっと極端になります。下の図は、ビニールハウス内の4月の気温変化の様子です。

縦軸が気温温度。横軸が4月期間(30日間)。赤い折れ線が最高気温黄緑折れ線が最低気温青の折れ線が平均になります

これは、ハウスの開閉や換気をして温度を調節しているにも関わらず、日によっては、最高35℃最低5℃というデータが出ました。平均気温は適温ですが、天候によっては非常に温度変化があるのです。晴天の前日などは霜注意報で日中は高温。ビニールハウスだから大丈夫ということはありませんね。どちらかといえば最低気温の確保と水の管理で成長をするといった目的だと思います。

ハウス内温度を制御することは極めて困難ですが…。高温は致命傷になる事が多いので暑いよりは涼しい管理を行うことが良い結果になると思います。管理時の高温によるヤケ苗発生事例は、多くが45℃を超えると枯れます。5℃を下回ると多くが成長が止まります。

苗の生育障害が発生し致命傷となる温度

(高温)・40℃で根の伸長が止まる。45℃で出芽不良個体の発生・49℃では1分で枯死。

(低温)・5℃の5時間で発根障害によりマット形成が悪くなる。・1℃2時間で根が枯死。地上部壊死。

⑧育苗管理の温度の目安と注意点

        育苗(25日)
出芽期(3日) 緑化期(2~3日) 硬化期(15日)
被覆 4日をめどに出芽させる。(終了後、ハウスに並べ順次シートをかける。) 4日間被覆する。又は梨地ビニール使用。(④参考) 直射日光の強い日は換気に気を付け、苗ヤケ防止に努める。(⑤参考)
温度管理 30℃(超えない) 20~25℃ 15℃~20℃
30℃(超えない) 15~18℃ 10℃~15℃
灌水 播種時にたっぷり! 床土が乾いたら 1日 1回~2回

夕方はしない。

換気 しない 25℃以上でハウスを開ける 日中はハウスを全開し、苗に風を当てる
注意 ・高温による苗やけ

特に注意(30~35℃になる場合は換気が必要。

・ラブシートの1重管理が基本。(苗を光に馴らす時期) ・土が乾く時期(灌水不足)

・病害が発生する時期

補足 ・JAは3日

・出芽長が長いと徒長苗になりやすい。

・苗の草丈・根張が決まります(1葉の長さが長いほど次の葉も長くなる。) ・外気に馴らす・田植前4~5日前に窒素1~2g(箱)追肥。

 

⑨代表的な被覆資材とその特徴

特徴を理解して上手に使いましょう。

資材名 効果 特徴及び注意点
ラブシート

(不織布)

保温、通期、通水 ・単独で使用すると過乾燥しやすい。

・他シートと組み合わせて使用する場合は、ラブシートの上に他シートを被覆する。

ミラシート

(白スポンジ系)

保温、保湿 ・保温効果に優れ、低温対策として有効。

・温度が高い場合には、床土温度が上昇しやすいため苗ヤケの発生に注意が必要。

シルバーポリトウ#80(ポリ+アルミ複合) 保温、保湿、遮光 ・表面のアルミにより遮熱効果があり、床土の高温防止に役立つ。

・低温時にも保温効果が期待できるが、被覆する際に表裏を確認する必要がある。