この記事では、私が農業を好きになった理由と農業体験についてのホスト側を説明しています。
私が10代、若いころは、絶対になりたくない、ありえない職業それが農業でした。
ところが今は農業を仕事として25年以上続けています。
経験談を踏まえて、農業体験を実際やった農業者目線でお話したいと思います。
川遊びや、山遊び、農業体験を希望する方がコ〇ナの影響か、体験者が多くなっているように思います。そんな時代にどのような農業体験すればいいのでしょう。対象となる方は老若男女様々ですよね。
農業体験をしたい方の要望とは
「農業の良さ、すばらしさを体験したい」「農業について子供に興味を持ってほしい。自然に親しんでほしい。」
「作り育てる喜びを教えたい。」「共同作業・協調の必要性を教えたい。」「食べ物の大切さを教えたい。」
このような理由で体験されています。まさに正論です。
中には、「畑の草むしりをさせてください。」なんてご意見も。だけど、除草の理由がわからないと飽きちゃう。だって重要だけど補助的な作業ですからね。農業は大変だ!って感想しか残らないと思いますよ。
さて置き、「農業を学びたい」を体験に盛り込め感じて頂けるなら良いのですがね、私の意見はちょっと違うかもしれません。
農業を好きになった理由
私の農業を職業としたきっかけ・経験談
そもそも田舎が嫌いだった。
私は福井県の田舎に住んでいて、最近ドラックストアーができた、信号が2つしかない町、病院は診療所、高校はありません。福井県人にも「池田町って言ったことが無い」ど田舎に住んいます。
当然、都会にあこがれます。田舎者あるあるです。
都市でのサラリーマン生活「当時、私はアフターファイブ、5時から男にあこがれてました。」です。
思想家・吉本隆明さんは人間の本質的な心的な傾向として「遠隔対称性」を挙げる。
簡単に言えば、人の心は長じて、自分から遠いものに憧れる。身近にも存在し、「隣の芝は青い」「お隣の嫁さんがきれいに見える⁈」もそう。
田舎では、街灯も消え、家の親父は18時には寝て、朝は4時に起きてましたね。(笑)
食事は煮物が中心、カレーの時は、大鍋いっぱいに作って、4日間はカレーざんまい。ファーストフード・スイーツって何?柿・イチジク・イモ?
遊びはアウトドア、たまに買い物について都会に行くのがちょっとうれしい。
「早寝早起き」は田舎では当たり前。今は都会から田舎にあこがれる若者が多い時代ですが、それでも田舎残る若者は多くはありません。
因みにその当時農業は、職業として3Kと言われ「キツイ・汚い・危険」の代表で、職業する人は奇人扱いだったと思います。
農業を好きになったきっかけは、大学時代の夏休みのバイトを北海道での農作業。
農業体験記
大学の夏休みで、どこか1人で旅行したいと思っていました。
だた大学時代はお金が無いので「旅先でバイトしながら北海道バイクで回れればいいな~」
そんな軽い気持ちで、片道切符とわずかなお小遣いで茨城県からフェリーでバイクをもって北海道に行きました。場所は北海道(道南)で選んだアルバイトが
「住み込み食事つき農業作業」という事が最大の魅力。大学の先輩がから聞き、その農家に連絡して「農業の勉強をさせてください」
その当時は、農業にまったく興味がありません。元々田舎暮らしなので当たり前を農業を兼業でしていますから、田んぼも畑もあります。つまり経験済みだからあえて仕事まで農業する必要ないという思いがありました。決定的なのは食事と住み込みができた事でした。
実は北海道の農家にアルバイトさせてください。とは言えませんでした。お金をもらえるだけの仕事ができるのか自信が全くなかったからです。
住み込みで食事付きななら何とかなる、ダメなら辞めればよい。そんな安易な気持ちです。
後は一所懸命、体を動かし、北海道旅行するだけ。
農家民泊と農作業
受け入れ農家は園芸農家、家族7人の2世帯住宅で、私が住まわせていただく場所は、家の隣の農舎です。農産物出荷場の作業場の一部のスペースです。
驚いたのが周りに野菜、メロンやかぼちゃがごろごろ転がってました。甘い香りが充満し、ホコリがありましたが、3日間で匂いになれました。
また、その年は冷夏で気温の低い年。8月中旬ですが、あまりに寒かったのでお願いして石油ストーブを入れて寝てました。
農作業の内容の流れ
3:30起床
4:00大根収穫
7:00朝食
7:30大根集荷
10:00大根選果
12:00昼食・昼寝
13:30かぼちゃ磨き
17:00休憩
18:30夕食
19:30休憩
22:00就寝
仕事内容
まだ薄暗い早朝4時起きで作業開始です。8月中旬の北海道ってめっちゃ寒い。農作業の大根の収穫です。私のほかにアルバイトの方が2人ほどいて、
大根を抜いて、葉っぱを揃えてマルチの上に置くだけの簡単な作業です。最初から力任せに抜いていると途中でバテます。吐きます。倒れます。
他の2人の方は、淡々と仕事してましたけど、後で聞いたら本業は自衛官だそうで、基本的な体力スペックが違いました。
それでもバテてましたよ。
大根は時間まで、できるだけ抜くのですが丘の地平線まで見渡す限り大根です。距離にして4列を500m以上はあったと思います。
その後の大根をトラクターの荷台に積み込むのですが、大根を4~5本持ち上げてプールの中に下ろすことの繰り返しです。
引用
「腰が痛いのを通り越して、動かなくなります」これを毎日やっているのかと思う尚更しんどい。
単調な作業は、後半が非常にキツイと痛感。
お昼はちょっと暑かったので長くなりました。北海道の人は暑さに弱くて暑いと仕事休みます。
私にはそんなに暑く感じませんでしたけど「ラッキー」って思っちゃいました。
午後からの作業は、かぼちゃの磨き作業です。
かぼちゃをブラシのついた機械にかけてホコリを取り、磨くことによってかぼちゃに艶が出ます。
その機械にひたすらかぼちゃを1つづつ入れる、出てきたかぼちゃをまたひたすら並べる。
引用
それが初日の仕事でした。
仕事内容は、日によって変わります。農家の気分次第。違うと思いますが、、そう見えました。
食事
食事は家の方で皆さんと一緒に毎日頂きました。毎日最高です。絶対食べれないだろうと思うくらい出てきます。私、好き嫌いは多い方ですが、好きなものだけ頂いても満腹。
また、特に夕食はすごくてアルバイトしていた方も含め10人以上でごちそうを食べました。農家の食事はまず品数が多い8品以上はあったとおもいます。肉・魚・煮物や唐揚げ、飲み物はなんでも、当然メロンやスイカもあって一人1/2切り。冷蔵庫に入らなない野菜は、私が寝ている所の段ボールに山盛り、
たぶん冷蔵庫は肉と魚しかないだろう。
農家の食事は貴族です。
また、「石狩鍋」「チャンジャ焼き」ご近所さんとの「バーベキュー」なども開催して頂きました。
ここで約3週間、ここでは農業のお手伝いをさせて頂きました。
人間は慣れる生き物
最初、さみしいやらキツイやら逃げたくなりました。
携帯も無かったし自転車で公衆電話まで行って、大学の彼女と話すのが唯一の気晴らしで、今日はどこどこにバイクで言ったなんて嘘ついて話したりです。
でも、人間て順応する動物なんですね。慣れていくんですこの環境に。1週間もすれば、コツをつかみ体の使い方の要領がよくなったのか、筋肉通も腰痛も無くなります。
後、たぶん農家の方が仕事内容を変えて負担を軽くして頂いたのだと思います。
遊びも豪快
お腹いっぱいでもメロンを食べたり、その後ボーリングやカラオケ行ったりしてました。
カラオケはスナック貸し切りできるの?って思う位農家のたまり場です。誰かしらない農家さんのキープしている酒を飲みます。ただ酒(*_*)
特ボーリングはすごかったです。農家の方や自衛官でしょ。16ポンド(7.2kg)の玉を軽々もって、ビュンビュンドカーンって破壊音を立てているんだもん。
痛快・爽快って表現が合ってるかと思います。点数なんでどうでもよくなっちゃいました。(笑)
実は最後の日に手間賃としてアルバイト料を頂きました。報酬のことは一切話ししていませんし、頂くつもりもありませんでした。
ですが「ほんの気持ちだから」と言って頂きました。あと、段ボールいっぱいの野菜も後で送って頂きました。
この体験は、農業体験のほんの一部です。あの後も各地に回ってきました。私にとって大きな財産です。この年になってもあの体験から学ぶことは多く、あの体験が無ければ地元にも居なかったでしょう。
K・Sさん、その他の農業者様には、本当に感謝申し上げます。
農業の体で覚えるとはこういう事
目の前のことにひたすら向き合う。
黙々と何かに取り組むことはありますか?
農業の世界では目の前のことに100%の意識を向けなければなりません。とにかく大根を抜く。
とにかく目の前の大根をを折らずに傷つけずに抜くためにはどうしたら良いのか、葉っぱをどこに捨てるのか。
気がつけば、目の前のことをうまくやる、次の作業がしやすいようにするにはどうするべきなのかということを頭をフル回転させて考えています。
大根を抜くときに折ったり・傷をつけてしまうと商品価値が下がります。葉っぱを取ってしますと新鮮さが無く、見た目も悪くなります。
全力で大根抜きし、きれいに並べられた地平線までつづく大根。
このときに得られるであろう解放感・快感と達成感は感動します。
自分と向き合い、努力の大きさとそれに対する成果をすぐに感じることができます。
私が農業の世界にはまった1つ目の大きな理由は、この達成感です。
それまで、目の前の事にひたむきに向き合った経験・機会も無く、毎日をただ忙しく、過ごしていただけ。
大根をひたすら抜き、地平線のゴールまで向かい、やっと到達。
ふと振り返るときれいに並んだ大根。
「俺がやったんだ」という達成感がわく瞬間。
同じ大根を抜いていた農家と自衛官との朝食。
それを選果場へ持っていき、他の農家と自慢げに調整。
「お前、どっから来たん?○○農家にいるんか。がんばれよ」
めっちゃ疲れるけど、めっちゃ気持ちいいよ。
相手への感謝
農作業を経験すると、自分がその日1日行ってきたことを毎日絶やすことなく行っている農家の方を尊敬します。
まだ大根の鮮度が落ちないように朝日が昇らない時間帯から、痛めないように収穫し、選果して良いものを出荷する。
そんな農家の気持ちに対して感謝の気持ちが自然と沸き、当たり前に提供される野菜がどうやって作られるのか。
また経験から、この作業を毎日続けるのにどれだけの体力と忍耐力が必要になるのか知ることができます。
農業は、私たちの生活を支えるために必要な仕事ではあるけれど、「3K」などと、どこかしら見下していた人はいませんか?
私がそうでした。あんな仕事って
普段は気付けないかもしれません。しかし、小さなことにも感謝の気持ちを持てるようになっているはず。
大根なんでどれも同じだって思っていたのが恥ずかしくなります。
私が農業の世界にはまった2つ目の大きな理由は、この農業者の感謝です。
なぜ、ここの大根がこんなにきれいなのか?
痛めないよう大根を抜くのに集中して気が付かなかったのですが、大根の生育がどれも同じ、あれだけ大きな面積なのに悪い大根が見当たらない。シュウ品率がめちゃくちゃ良い。
収穫だけが大変な作業では無い、大根の間引き・除草・施肥これらができていないと大根が曲がったり病気になったり、秀品率が下がり、出荷された値段も当然下がります。
この作業手間を、これだけ広大な面積をこなしてきたその成果と努力の結晶を見つけることができた。
農家さんは言っていました。「人はウソつくけど、野菜はウソつかない」
ちゃんとやったことに対して答えてくれると。
人は、ウソつくかもしれないけど、人と接し、共感したり、理解したりできるものです。
小さなことに気づき、人に感謝できるようになります。
マジモードの農家はしゃべらないけど…経営が学べます
体験者(被験者)は大根の「株ま、条間、株の大きさ、収穫物の規格、色、調整、出荷先、機械や道具、最高の品質に触れる、失敗も見ることができる」など自ら体験しています。
その時は農家はいちいち説明はしてくれません。農業には農繁期と閑散期と言って時期によって忙しい時期とそうでない時期があります。
農業体験の時期は農家にとってとっても忙しい時期、農繁期です。猫の手も借りたい時期であり、ひたすら気を払い、一番気を使う時期なのです。マジモード
細かく指示飛んできます。しかし、なぜそうなるのか素人相手に詳しく説明している余裕がありません。そんな状況で品質に影響する作業をまだ体験させて頂けているだけでも感謝するべきなのです。
その時は全く理解できず、がむしゃらに必死に付いていくだけだと思います。
その言葉は、後になって自分で野菜を作る仕事に携わるようになって初めてその言葉が理解できるようになります。野菜栽培の正解のイメージがつかめるはず。
例えば「大根の収穫する大きさ・時間帯・葉の切り方・規格の分け方・1人が大根を抜ける数・効率よくきれいに大根を運ぶ方法」経営については家族経営での役割分担、経営面積・食事のとり方に至るまで全てが、新鮮で貴重な経験です。
大根作るのにホント細かいところまで考えて仕事しています。
「明日の仕事がスムーズにできるように道具の位置など最後まで整理整頓」
「天候に加減を予測して、作業内容を見直したり」
「農業機械の値段交渉で、怒鳴ったり、かと思えば笑ったり」
普段は冗談言ってる人ほど、ほとん、しゃべらないですよ。(笑)マジモード。話しかけるな!オーラ出まくってます。農家は仏様ではありません人間です。ちょっと人間離れしてますけど。迷惑にならないようにマジモードでは、おとなしくしていて下さい。笑
農業を体験し向き合ったとは一生忘れません。
私はこれで農業を好きになるきっかけになりました。
そして、今ではいくつか農業体験を行っています。体験活動とはどのようなものでしょう。法律では以下の通りです。
食育基本法において、食に関する体験活動について、「広く国民が家庭、学校、保育所、地域その他のあらゆる機会とあらゆる場所を利用して、食料の生産から消費等に至るまでの食に関する様々な体験活動を行う」とされ、
農林漁業体験については、「農林漁業に関する体験活動等が食に関する国民の関心及び理解を増進する上で重要な意義を有する」ことを踏まえ、農林漁業者及び農林漁業に関する団体は、多様な体験の機会を積極的に提供し、教育関係者等と相互に連携して食育の推進に関する活動を行うよう努めることとされています。
子供を対象とした「稲刈り体験」感動できる
稲刈り体験プログラム(2020.9.26)
先日、農村体験プロフラムの中で9月の体験として「稲刈り体験」を行いました。
対象者は小学生低学年、父兄合わせて40名程度です。時間は9:30~11:15、稲刈り面積は200㎡。5月に田植え体験も実施。
先に半分は、稲刈りしハサ掛けの場所を作り、刈り取った稲は当日までに、精米して、当日持ち帰り。
指導として、私が「稲刈りカマの使い方」「稲の束の仕方」「稲の運び方」、お米についての話。
父兄とも稲刈り体験はほぼ初心者、天候は曇りでしたが、ハサ掛けなので問題ありません。
私の感想です。最初の30分は私の注意事項について、こちらは小学生でも分かりやすいように丁寧にケガしないように説明しました。
小学生は「田んぼに入って稲刈りしたい」その前に「カマを持ってみたい」の欲求で、ちょっと危なっかしい。
最初は順調に稲を順番に刈るのですが、
約1時間後、一部の小学生、飽きた、泣いた、転んだ、どこか行った。
カエル探し、予想通りの展開が( 一一)。
「ああ、たぶん稲全部刈り取れない」と思い。私も少し入るか。「お~し、もう少しで終わりそうやね」と
そして、ある程度進んで、稲刈りが半分位進んだ頃、子供たちが黙々と作業し始めたんです。
「ぼく頑張る。」「稲の束のくくり方教えて」「ハサにかけて」言葉もでだし
集中しだしました。みんなが一生懸命、稲刈り特に男の子が、稲刈り作業に慣れてきたんです。
ハサかけがどんどん埋まり、お昼の時間までには終了し、みんな笑顔の記念撮影。
この時に小学生だけではなく父兄の方々・それに関わる関係者も、達成感、解放感を感じたのではないでしょうか。
また、そのお米を食べた方からの感想として「今まで食べた中で一番美味しかった」
「鎌で稲刈りを行うことにより、昔の農業の大変さ・お米の大切さについて知った。」
「参加した保護者からは、子どもと一緒に農業体験をし貴重な体験ができた。」
お昼は「地域のお母さんが作った田舎料理をみんなで頂きました。」みんなお替りして、ご飯も料理も空っぽ。
帰ったら、収穫したての新米を頂く。
体験ツアーみんなで成し遂げた達成感を与えてあげる事。そして、感謝。
私たち、ホスト側も、体験者の方々に感謝です。元気もらいました。
一所懸命にした子供たちには、ほめてあげる。飽きたらほっとく、無理にさせない。父兄も労働力!
一緒にみんなで食事。できるなら地元の方も入れて同じものを提供。
私が農業を好きになったきっかけや理由を、子供たちに少しでも感じて頂けると嬉しいですね。農業は肌で感じることが多い。
その為、農業体験をするときは、可能な限り丸1日体験に費やしましょう。
「人間は思い出に生きる」とある方が言っていましたが財産ですよね。
体験記については「農村がっこうの記録」のブログもご覧ください。
中途半端や盛沢山な農業体験はやらない方が良い。
全然身に入ってこないんですよね。書類や数本ある野菜見たってイメージできないのと同じ( 一一)
「若い男女がみんなで菜園作って楽しみたい。」の方。責任者がいないので失敗します。私が嫌い。
「いきなり、特殊な農法てチャレンジ」の方。無理です。机でやって、宗教に入るかもしれません。
「夏休みに体験したい」先生のわがままです。農業、舐めてます。無視しましょう。
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