シャガイモの品種が最近とても多くなりました。調理によって、色や味が違う品種を使って見る事は楽しみですね。
ジャガイモには色々な品種があることは以前、ジャガイモの栽培についてお話しましたが、いったいどれを選んだらよいのでしょうね。
この記事ではジャガイモを収穫して、貯蔵しているときにジャガイモの成分が変化しています。その特徴をうまく利用して保存している田舎の常識を紹介します。
と、1月の町の直売所のお惣菜コーナー、そこのコメントに
「ちんころ最高です」( ゚Д゚)!!「ちんころってどれや?」「ちんころいも」って何!!
もう少し具体的に書いてくれると嬉しいですね。
ちんころイモは、6月に収穫したジャガイモを1月位まで貯蔵したイモを使います。
お醤油と砂糖で甘じょっぱくに詰めたもので、郷土料理です。1年中保存しジャガイモを各家庭で使用しています。これが3度イモと呼ばれています。
ジャガイモは貯蔵期間によって、成分が変化する。
ジャガイモの貯蔵における養分の変化
ちょっと見にくいですが、ジャガイモの貯蔵とアミノ酸・アミド含有量の調査した結果です。
出典:野菜園芸大百科 社団法人 農山漁村文化協会
これはシャガイモの貯蔵におけるアミノ酸、アミド酸含量の貯蔵期間4か月の推移です。
*アミノ酸が7月に1.46~10月には2.58
*アミド酸が7月に12.3~10月には33.02に上昇
その合計では7月の21.88~10月には52.0と数値があがっているのがわかります。
ジャガイモの主要な貯蔵養分であるデンプン。
でんぷんが、完熟に先立って一部が加水分解してアミノ酸に変化した事。
アミノ酸とは
食料品の成分表を見ると、調味料としてアミノ酸などと記載されているものを多く見かけます。アミノ酸はタンパク質を構成するもので、天然には20数種もあり、種類によって味が異なります。アミノ酸は、甘味、苦味、酸味やうま味を持っています。
ひと口に甘味や苦味といっても、その味はアミノ酸により様々です。
〇旨味:グルタミン酸ナトリウム、アスパラギン酸
〇苦み:イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニンなど
〇甘味:アラニン、グリシン
〇酸味:グルタミン酸また、一つのアミノ酸が、複数の味を呈するものもあり、プロリンは、甘味もあれば苦みもあります。さらに、アミノ酸は濃度によって味が変化し、アラニンなどは薄いと甘味だけですが、濃くなると甘味以外に旨味を呈するようになります。
天然食品では、これらアミノ酸の組成が異なり、このことが食品固有の味を呈することになるわけです。
アミノ酸は、味以外に臭いにも関係しており、アミノ酸と糖が加熱されるとアミノカルボニル反応で、その食品の特徴になる臭いを発することになります。
その中にはアミド類が多く4倍ほど多く含まれジャガイモの成熟に従って蓄積され、安定な休眠に入るというわけです。(休眠=ある時期が来ないと芽が出ない状態)
そこで取れたてのシャガイモと貯蔵しておいたジャガイモでは、食感も味も変わるという事です。
これが「3度イモ」と言われる由縁ですね。
3度楽しめる、ジャガイモの味が変わる時期と期間
①収穫の時(7月頃)
でんぷん質たっぷりのホクホクのした触感。ジャガイモの香りが引き立つ。こふき芋に最適。
②貯蔵後3か月後(10月頃)
デンプン質がアミノ酸成分や糖に代わって、しっとりした触感。甘みと旨味のあるイモに変化。煮物に最適
③貯蔵後5か月後(12月頃)
水分とでんぷん質がかなり抜けた状態、ホクホク感はなく、イモも張りがなくしわが発生。甘みと旨味がある。
3回、食べる時期によって、美味しく食べる旬があるいも=さんどいも
ほくほくのいも 1回目の旬(6月中旬~8月初旬の男爵Lサイズ以上)
例、こふきいも=男爵イモは粉質でホクホクとしています。収穫したのじゃがバター最高です。
またでんぷんが多く15%、粉ふき芋やマッシュポテト、ポテトサラダ、コロッケなどに向いています。
甘くて煮崩れしない、いも 2回目の旬(8月中旬~11月の男爵Mサイズ以上)
例、肉じゃが=そんな男爵いもですが、保存していくとでんぷんが糖分へと変わり、甘みが増し荷崩れもしにくくなります。煮物で使えば荷崩れもしにくくなり甘みも増していきます。そのかわりにホクホク感は薄れていきます。
熱に弱く荷崩れしやすいですが、
旨味が凝縮された、いも 3回目の旬(12月~3月の男爵Sサイズ以上)
じゃがいものでんぷんがグルタミン酸やアミノ酸に変わり熟成した最終形態と秘伝の囲炉美しょうゆとのコラボで完成した期間限定の究極の一品。「ちんころいも」です。
「ジャガイモのちんころ煮」
いわれ
昔は、しょうゆを大鍋で煮る時、上に出るアクをすくい取り、そのアクで小さいジャガイモを囲炉の火で気長に煮た。誰がつけたのかあの味が忘れられずいつの間にか「ちんころ芋」と
ちんころいもの作り方 レシピ
簡単な作り方「ちんころいも」
できるだけ小さなシャガイモ1㎏を1粒1粒丁寧に洗い、約2倍の水を入れ、しょうゆカップ0.8、砂糖大さじ3杯、サラダ油大さじ2杯加え、始め強火でじゃがいもに橋が通るようになったら弱火にして4~5時間汁がなくなるまで煮る。(時々、鍋の両耳をもって上下返します)注意
*芋が小さく、皮を剥かずそのまま使うため、丁寧に洗わないと土臭い。
*強火で煮ると、うまみが少ないので弱火で煮ること
昔は、しょうゆも家庭で作っていました。その時のアクを調味料として使い、家に貯蔵していたジャガイモを使ったというわけです。
しょうゆの仕込みの時期は冬から5月まで、これから温かくなっていく期間にする作業でした。その時に出るアクを使って、「萎びたジャガイモ」を美味しく食べる調理法が、その当時の「福井県池田町の伝統的な食文化」だったんです。
いやはや、先人は無駄がない。合理的すぎます…..
この「ちんころいも」は地域によっては「イモ煮干し」とも言われていたそうです。そう言われてみれば、イモがしわくちゃで「梅干し」みたいですね。
本題に書いたことですが、田舎のおばあちゃんが良く言っていたんです「さんどいも」って。
普通考えたって1年に3回も、じゃがいもを栽培できません。
私は、春に作る「男爵」「キタアカリ」「メークイン」などと秋に作る「デジマ」「ニシユタカ」「農林1号」などを言っていて、他にも夏に昔は作っていたのかと思っていました。
それは、いくら池田町が標高200mの山間の里とは言え、無理があるしかも、豪雪地帯。2作が限界かといって、そんな時代にジャガイモの品種がそれほど多くあったように思えない。もしかして、じゃがいもの事では無いのかも。
ご近所さんのおばあちゃんに聞いてみました。
おばあちゃん「じゃがいもは男爵しか作くってえんよ~、そのあとは小豆か大根やで~」とのこと。
私「さんどイモってジャガイモの事だよね」
おばあちゃん「そうじゃ、そじゃ」「なんでかの~」
私「しらんのか~い」(/・ω・)/心の声
( ^^) _旦~~ 方言なんてそんなもんかもしれません。
私の色々聞き取りした解釈ですが、昔はジャガイモといえば「男爵」のみの1作です。4月の雪解けを待って、1番の作業が「シャガイモ植え」そして1番最初に収穫するのが、「男爵」でその後は栽培していません。今は、色々な用途に合わせた品種があって多様化していますが、その当時はありませんでした。
ジャガイモの貯蔵
じゃがいもを6月中旬から7月にかけ収穫したら、まず陰干しして農舎の隅の入れ物に入れて保存します。
そこからなんと来年のタネ芋まで貯蔵します。その間なんと8か月(240日)以上です。
秋作のジャガイモを併せれば、1年中食べることができるシャガイモってすごい食材です。
農舎は風通しがよく、温度変化が極力少ない所に置いてありますが。
そこから少しづつ食べる分だけ取り出してジャガイモを1年中食べています。
大きいイモから順に、残っている萎びた小さなじゃがいもイモまで、それが「ちんころいも」として料理され1月頃から食べられているんです。
使用するジャガイモはこの時期、こんな状態かもしれません。眠りから覚め、もう芽が出てきました。
シャガイモの保存温度は、凍らない程度の低温2~3度といわれています。
一般家庭ではこの温度で貯蔵はさすがに難しいです。
下の様になっていますね。
しかし、しっかり芽を欠いてあげれば
大丈夫、大丈夫!! まだシワクチャじゃないよ。これからもっと美味しくいただけます。
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