培養土の作り方【花壇や野菜の土を自分で作る方法を詳しく解説】

資材

この記事では、花壇苗や野菜の苗の土について解説しています。市販の配合用土を購入して使用するのが一般的です。その市販されている土には

基準となる土があるのをご存じでしょうか。

基本となる標準用土というものがあり、自ら用土に使う資材を配合して苗を作る方法を解説します。

良い用土は生育と品質を両立します。

市販の野菜の土や花壇の土・プランターの土をホームセンターで購入し苗を育てていますが、結局のところ品質を何で選びますか?

価格?容量?重さ?袋の写真?

野菜の土やプランターの土は手軽で使い易いですし、商品がほんとに沢山あります。

いったいどのような土が苗やプランター栽培に良いのでしょう?

もちろん植物が育つ土でなくてはならないのです。当たり前のことなのですが、全ての市販されている培養土がそうではないかも。

そこで花壇苗や野菜苗の生産者の立場から解説していきます。

花壇苗は、9㎝のポリ鉢0.2㍑プランターは8㍑~15㍑入ります。

その土にはどんな役割が必要なのでしょう。

野菜苗・花壇苗は土を販売している

園芸用培土は色々と販売されています。使い勝手も様々で、プロ農家でも、土が変わるとまとも苗を育てる事ができないといわれます。

使い慣れた用土と自家製培養土を用いることで、苗の品質が維持されます。

また、苗農家さんは、9㎝ポットで1ポット300mⅬ詰めて100ポット作ると30㍑の用土が必要になります。

苗生産農家に至っては10,000ポットを4作はザラなので、40,000ポット以上は生産していますから、用土は12㎥が必要です。花苗は、いわば土を販売しているようなものですね。10tダンプ2台分です。

用土に求められる条件とその理由

苗を植えつけた後の生育は、苗の生育段階にもよりますが、用土の良しあしが大きく影響しています。苗の品質は用土次第といっても言い過ぎではありません。

最低限必要な良い用土の条件とは

  1. 軽量である。
  2. 物理性・化学性がよい。
  3. 均一である。
  4. 安定している。
  5. 安定して手に入り易い材料が良い。

つまり、良い用土の理由とは苗の管理のしやすさ

苗を育苗するためのポット(ポリ鉢)は、作業性を良くし管理する。移動することを前提とし育てていますからね。

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例えば重さ。鉢上げして苗を植えつけ、その後、光や温度を調整するために移動します。その作業性に大きくかかわるのが良い土の条件です。

流通でも重たい用土は嫌われます。カゴトレーで流通していますから。

用土は品質が一定でないといけません。

水をあげてもすぐ乾く、用土を使用するたびにムラができて生育が変わってくるのでは信頼して使う事ができません。

特にEC/PHが変わってくると生育がポットごとに変わり、いちいち分析して調整しないといけなくなります。

用土には、病害虫や雑草が含まれていないことが重要です。

用土にもし病害虫がいたら急速に増殖し、大きな被害が出ます。また、雑草が入っていると草抜き作業というひと手間かかりますね。

用土を大量に使うのであればコストを考えなければなりません。市販の配合用土は安定していますが、コストが割高です。

できるだけ質の良い安定した資材を使い化学的に納得したものを配合しましょう。

また、花壇苗や野菜苗の農家は、1ポット50円~60円で苗が取引されていますから、300mlの用土にかける費用は10%程度の5~6円に押さえる必要があります。

現在販売されている市販の培養土が25Ⅼ入りで900円程度なら、1ポットあたり33円です。

市販されている培土の選び方

市販されている「野菜の土や花壇の土・プランターの土」なにか基準があると思いますか?

品質のよい培養土は、標準的な栽培方法を基準に設計されています。

具体的な目安として商品名に品質表示があるかどうか確認しましょう。

培養土に①~⑥が適切に表示されている事。

①適応植物名もしくは、生長段階・播種・移植・ポット等

②内容量、できれば体積表示

③主な配合原材料、

④肥料の有無

⑤PHとEC

⑥製造業者及び責任者の住所

上記が、適切に表示されているものが最低必要な条件。

使いやすい培養土とは

ポリ鉢に使われる土は、今は無土壌配合土が一般的です。土が無い???って思いますが、

無土壌配合土とは、土を構成する鉱物が無土壌。

土壌は地殻の最上層。地殻表面の岩石が崩壊・分解して地表に堆積し、
それに動植物の遺体が加わって生成したもの。つまり、地表の土の事。

土壌、土を使わない資材で作る培土。

輸入資材がほとんどで、ピートをはじめパーライトやバーミキュライトがベースとなる配合が一般的です。輸入量も多く実用性が最もあります。軽くて、保水性、排水性が良く、均一が使い易いのが理由。

特にピートモスの使用が圧倒的に多く、大量に格安に取引されており、日本の苗生産現場ではほぼ使用している資材だと思います。

ピートモスとは

カナダやヨーロッパの泥炭層から切り出した複数の植物から作られる用土であり、ミズゴケ以外の複数の植物が原料のピートモスも存在しています。

一度完全に乾燥させると水をはじくようになり、再び水分を加えても完全には元に戻らないことがあります。水やりには十分注意しましょう。

重要なのが、phです。ピートモスは酸性(5.0)です。最近ではphを調整しているものもあります。表示を確認して石灰でphを調整します。

パーライトとは

火山岩として産出されるパーライト原石や珪藻土等を高温で熱処理してできる人工発泡体です。ガラス質の岩石中に含まれる構造水がガス化して発泡します。「真珠石」とも呼ばれています。

黒曜石系パーライトは排水性向上。真珠岩・珪藻土系パーライト保水性向上で、相反する性質をもつので注意が必要です。園芸培土では黒曜石系を使います

土壌配合用土とは、

用土や畑土や腐葉土やたい肥と合わせて熟成させたもので肥沃な土です。

これにピートを配合したものがピート土壌配合土、もみ殻くんたんを配合したもみ殻くんたん土壌配合土があります。

土壌配合土は一般的に肥料持ちがよく施肥管理が省力化できるが、細かな肥効調整ができなくなる。

また、畑土など自前で調達できるが、重く流通には向かないですね。

ピートモス配合の標準用土【無土壌配合土】

標準用土とは、入手が容易で軽く安全な用土は誰でも使いやすい。

用土の配合にそのような普遍性を持たせる事をいいます。つまり、基準となる用土の配合です。

標準用土は、土として何にでも使えます。

播種・挿し木・挿し芽用土・鉢花・花壇苗・野菜などの播種床、播種箱、プラグ育苗用土。
また、挿し木・挿し芽繁殖・植えつけ用土に花壇苗・鉢物植物・ハンギング生産の鉢物用土やポット。

標準培養土の作り方

ココでは2つの標準用土のレシピを紹介します。

標準培養土が作れるようになると、後は応用です。

土としてなんでも使えるのですが、植物の生育や生長、管理の方法によって調整しないといけません。例えば、置き肥・液肥で追肥をする。乾きすぎるなら赤玉土を入れてあげる。ランや観葉植物などには鹿沼土を入れてあげるなど応用していきます。

標準用土の配合の材料①(U.Cシステム)

資材名配合比率
ピートモス(ph無調整)75%
細砂25%
肥料名
硝酸カリ0.15kg/㎥
硫過リン酸石灰0.15kg/㎥
苦土石灰3.0kg/㎥
炭酸カルシュウム2.4kg/㎥

標準用土の配合の材料②(ピートライトミックスA)

資材名配合比率
ピートモス(ph無調整)50%
バーミキュライト50%
肥料名
硝酸カリ又は硝酸カルシュウム0.9kg/㎥
硫過リン酸石灰0.6kg/㎥
石灰3.0kg/㎥
微量要素0.07kg/㎥

これをベースに市販の培養土が作られています。

パーライトや赤玉土を10~15%加えて使用している所も多いです。

これらの原材料をムラなく攪拌することで標準用土を作ることができます。

だけど、ムラなく配合するのが難しいです。

ただ何回も何回もかき混ぜればいいのですが、いくら軽いとはいえ大量に作るには機械力がいりますし、人力では中々大変です。

用土をむらなく配合する手順は

水分含有量と材料の重さがキーポイント

用土は比重が異なる軽量資材が分離せず互いによく絡み合う事が重要です。

①用土の比重の軽いものを下に敷き、または最初に攪拌していく。

比重が軽い物>比重が重い物

ピートモス>パーライト>バーミキュライト>山土>石灰>肥料>その他微量要素が比重の軽い順番です。

軽いものは上に行きやすく、重いものは下に沈みやすいから逆に添加します。

②各用土を適当な土壌水分にします。適度な水分は、土を手で握りしめて放したときに自然にひび割れする程度です。

水を少しづつ何回かに分けて加えていきます。

握りしめ法っていう方法で土の水分状態を確認します。これによって材料が絡み合います。

結構、ピートモスが厄介です。乾燥しきっているので、中々水を含みません。こまめな灌水が必要です。

ピートモスは水を含んでくると、色が湿った濃い感じになりますよ。

③土を切り返しをします。

配合された土を均一に混ぜます。土を切るように反転させながら混ぜていくので「切り返し」って言われるのだと思います。

切り返の方法

撹拌機や配合機が無い場合には、コンクリートかアスファルトの平らな地面で人力で行う事も出来ます。

人力で攪拌する手順

軽い用土をから積み重ねるように用土を地面に広げます。

用土が入れ終わったら、水を散水します。あまり多くあげすぎないようにしましょう。

ポイントは攪拌したい資材の軽いものをから順に下に敷いておくと混ざりやすくなります。

スコップ「角スコップ」で攪拌していきます。

用土を空いているスペースに送り出すように移動させます。スコップをクルッっと反転させます。

この時スコップで①~④の順で用土が均一に混ざるように→の様にスコップが交差するように送り出します。

この作業は左右2人で行うと早いですね。

土がひと塊りになったら、また水を与え水分量を調整します。

今度は、反対にもう一回切り返ししていきます。これを3回行います。

これをもう一回すれば3回「切り返し」したことになり均一な培土が仕上がります。

乾いているのものと重い物、軽い物は混じりあいにくいのでこのような方法を取ります。

また、粉じんが舞い、健康上も良くないのでマスク等の防御もしっかりして作業を行ってください。

 

 

用土の保管方法

積み上げ後は、汚染と乾燥を防ぐためにもブルーシートをかけておきましょう。

肥料も水分も少なくなるので、なるべく早く使った方がよいですね。

用土は水質の影響を受けやすい。

最近、水質に何らかの問題が生じている例が多くなっています

酸性に傾いているとか、藻の発生など無土壌配合土は、土壌配合土より、水質に敏感です。

酸性に傾いている、鉄の含有量が多い、塩素、ナトリウムなど。ため池や生活用水、水田除草剤の流出も要注意。

まあ、最低限の基準を普通はクリアしていますのでまず問題ないレベルですが、どこで生育の影響が出るかわかりません。

標準用土を購入する方法

配合を自分ですると、ピートモスやバーミキュライトの置き場所や、配合するには撹拌機であったり、施設や労力がいります。

そこで市販されている標準用土を使ってもお得です。

標準用土の代表的な「メトロミックス」「BM-1」の商品名で販売等が使われています。

標準用土と配合は大体同じです。

メトロミックス

BM-1「イワタニアグリグリーン株式会社」栽培用。

圧縮されていますので、倍以上の容量が使えます。

底面給水栽培、一般栽培、順化用にと幅広い用途に使えます。安定した品質・均一な培土です。
E.C(1:5)=0.4ms/cmの適正肥料です。PH値=5.5~6.5に調整済み。
荷姿=3.8CUB(230ℓ→108ℓ)及び5.5CUB(315ℓ→155ℓ)に圧縮梱包。

一度、基本に立ち返り「標準培養土」使ってみてはいかがでしょう。

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