花の苗の育て方・買い方【どこで買う、育たない苗がある。】

花・花壇苗の育て方

 

購入してきた花の苗をプランターに植えたけど、一向に大きくならない。

植えつけたまんまの状態が続く事ありませんか?確かに園芸ブームの追い風もあって、たくさんきれいな花が並び、寄せ植えして楽しもうと思って。市販のもので揃えて植えたけど、いまいち大きくならない。

購入した園芸店等でしっかりアドバイス頂けると良いのですが、中々難しいですよね。クレームみたいになってしまって言いにくいですし。

この記事では、花壇苗を作っている現場から、花壇苗の事情を解説しています。お店で販売されている花壇苗には、さまざまな種類や色とりどり品種が沢山あります。

なぜ、沢山の花が揃い販売されているのか。植え方、選び方の方法にお答えします。

花苗を購入する時のポイント

結論から言えば、開花したての花の苗を選ぶ。見切り品を買わない事。

つまり、花壇苗も新鮮で入荷仕立てのモノを選び、できるなら以前育てた経験のある定番品種を選ぶ事。当たり前の事と思うでしょうが実は意外とおろそかになっています。その理由を解説していきます。

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花壇苗を作る・売る側目線のぶっちゃけ話

花壇苗を「選ぶ」にはコツがあります。

色々な花苗が流通しています、手軽で花を実際見て買えます。また、タネから育てる方のは難しいし、面倒です。だから、花壇苗は園芸店やホームセンターで苗を購入する方が多いと思います。

しかし、購入した花壇苗を植えたけど枯れないけど大きくならない。植えて枯れた。花が咲かないなんて事ありませんか。園芸店で、プランターや苗・土や肥料などすべて揃えたのになんで?

それは育てた方の管理の仕方が良くなかった。だけでは無い可能性がある、育たない理由があったのでしょう。

先ず、花壇苗の生産現場を少しお話します。花壇苗は全国各地に生産者がいますが、どこの都道府県産とまでは書かれていません。もしかしたら九州の暖かい所で作られたものを寒い東北の園芸店で売られている。また、花壇苗の生産者の使う資材は、色々です。砂と粘土では水はけが全く違います。

つまり、同じ花壇苗を買ったのに、産地、苗、土の質、重さが全然違う。

お店では、きれいに見えたけど買ったらなんだか貧弱に見える。

これも良くある事です。

花壇苗と野菜苗の違い

違いがある大きな理由とは

販売店が求める花壇苗と購入者が求める花壇苗には大きく考え方が違います。」

この違いよって、「育たない苗」になっているのです。それは花壇苗と野菜苗を比較してみるとその違いが見えてきます。

↑野菜苗、花壇苗とは何が違うでしょう。同じ苗でも全然違うと思いませんか?

売り場での野菜苗と花壇苗の大きな違い。

〇野菜苗は畑に根が付くことが重要で、外見は気にしない。畑の植え時に苗の生長に合わせる。「一番根が付きやすく、植えるタイミングになったベストの大きさの苗。」

〇花壇苗は外見を気にする。花の付き、色、プランターや花壇など、込み合っている所に多様な種類を。出来るだけポット(鉢)に長く同じ形状でいてほしい。

つまり、野菜苗はすぐに植えなければならない苗。花壇苗は、すぐに植えなくても良い苗。

花苗を扱う人が変われば、求める形が違う。

花壇苗を売る人、作る人は、苗が売れれば良いのです。全てではありませんが、購入後はお客さんの責任。

つまり、花壇苗は苗で完成、野菜苗は収穫できて完成。

もう少し具体的に説明します。

花がきれいに咲いていれば、お客さんに手に取ってお金を支払ってもらえればそれで終わりです。大きくなろうが枯れようが関係ありません。それはお客さんの責任です。しかし、お客さんは花苗を育て長く楽しみたいと思っています。だから園芸店で、アドバイス受けたり、肥料を買ったりします。

農家や流通者は花苗が売れる迄の事。しかも、花苗が売れるまで、仕入れた時と同じ状態にとどまる方が長く貯蔵できて良い

言い換えれば、生育がそれ以上大きくなっては困る。だって大きくなったら売れなくなってしまうし、日持ちしないものは扱いたくありません。

勿論、これは全てに当てはまるとは言いませんが、多いでしょう。

もう少し、具体的にお話していきましょう。

花苗は、かごトレーに色々な事情が詰まってます。

花や野菜の苗は一般的にカゴトレーというものでケース単位で市場では取引されています。↓画像。カゴトレーの中に花の苗がきれいに並んで入って、入る数は24・40鉢等とまちまちですが、1カゴ幾らって感じです。

↑コチラ(カゴトレー)です。

市場に流通している苗は、仲介業者が納得のいく商品・品質である事

私の経験談  マリーゴールドの苗を市場に販売した時

苗農家は、直接市場か仲介業者・又は契約ホームセンターに苗を販売します。その場合に販売は1ケース単位。その為には、マリーゴールドの色違いの苗を6種類作ります販売はケース単位ですからから最低40本鉢分の苗が必要です。縦5鉢×横8鉢=計40鉢=1ケース。品種によっては、若干変わります。

定番となる、イエロー・オレンジを中心に赤や斑入りの新しい品種を混ぜます。

1ケースの農家手取り価格はまちまちですが、マリーゴールド1鉢あたり30~60円が相場

小売り店に並ぶときは輸送費や手数料がかかるのでもう少し高くなると思います。1ケースは1600円~2400円位でしょうか。

最近では、プラグで4個セットものもありますで規格によって価格差はあると思います。出荷は大量に数十ケース、数百出荷することも良くあって、大量だと仲介業者さんに現場迄取りに来ていただくこともあります。

 仲介業者さんは、苗を売るプロです。一瞬でこの商品がいくらで売れるか判断できます。セリ市は、ほんの1~数秒です。下見はしてると思いますが、もう少し見てほしい(>_<)

この時は農家は参加していません。見学位かな

花苗のプロが選ぶ判断基準とは、

その時期の市場の需要の価格帯、売れるときに欲しいのは当然ですが、あくまで品質は高品質が最低ラインです。貧弱な悪い物は値がつかず売れません。

要求される品質とは

・がっちりした、徒長していないもの。

・1輪、1蕾が最低必要条件。(マリーゴールド、パンジー、日日草、ペチュニア等)

・花葉の色が良いもの、配色のバランスが良い。

・すべての背丈が他の品種の色とそろっていること。

・母の日など需要期にそろうこと

・土が軽い事

・新品種が最低1つは入っているなど。(サルビア・マリーゴールドの定番はこれを除く)

裏技として丈の大小あるものは中央を大きな苗で、かごの周りを小さな苗で埋めるカマボコ状に仕上げます。

そうすることで、店頭できれいに見え、大体これで1つの商品となります。

中にはサルビアのように、花より、葉の方が重要なものもあります。赤い蕾が3㎝位迄のものですが、花よりも葉の色や姿の方が重要なものもあります。

重要なのは、かごに入った時の見た目です。これで価格が決まります。

極端に言えば粗悪なものは値段が付きません。0円です。

出荷前に、苗が乾燥しないようにたっぷりと水を苗に与え、出荷したことで、苗の重量が重たくなって、トレーがバキバキ割れて苗を落とすことがありました。(;’∀’)重量が軽い事も大きなポイントです。でも、消費者は関係ないですよね。

農家が作る花苗の基準

花苗農家は、早く出荷したいのが本音。周年で何回も苗を作り続けています。

ビニールハウスの中で基本的には年に3回前後位作ります。早春出荷のパンジー等、5月のペチュニア・マリーゴールドの春、日日草、ケイトウ。7月には12月に販売する、葉ボタン、パンジーのタネを蒔きます。と1年中、所狭しと苗を生産し効率化を図っています。

価格は安定ですが収益を上げるためには少ない面積の中で何回も沢山苗を作らないといけません。

その為、栽培期間が長くなると管理する手間が増えるので、早く出荷したい。

ポットや土や肥料など資材、タネなど費用も掛かりますから経費を無駄にしたくはないものです。さらに市場の需要と規格がありますのでそれに合わせた規格(選別)に作り上げます。

例えばマリーゴールドの選別

売れ筋は、黄色とオレンジの2種類。学校や公共施設では定番の色です。農家としてはこのような定番の色は、地元で大量に消費しますので多く作ります。求められるものは、定番色と環境に強い。世話をしなくても育つ。これが売れます。

しかし、市場ではどうでしょう。花業者あくまで40入りセットのトレー販売ですから、5種類違う配色がいるので、なければ出荷できません。後、他に違う色を3種類(赤・ゴールド・マジェンタ等)そろわないと販売できないのです。

品種を沢山作れば作るほど、手間がかかるし、一斉に咲かせるのが難しく難易度が上がります。

また、同じ品種で色が違うだけであっても生き物ですので、生育が同じとは限らないわけですね。

生育がそろわない、数が揃わなく出荷できない。

だから、同じ品種でも、色や生育を合わせるために、時期や品種、栽培方法を変える花摘み・ピンチなどの技術があり長く販売を維持しています。

花壇苗の生長をコントロールする技術

・種まき(移植)をずらす。開花までの期間のずれを調整する。(段まき)

・土はできるだけ軽く、水はけが良い。持ち運びや管理がしやすい。

ピンチ(生長点を止め、一旦生育を止める)する。長く持たせ、1輪1蕾を作り出す。

摘花(花を摘み取る)して次の花と蕾を残す、ワキ芽を取る。開花した花を取り、次の出荷に備える。

・ずらし順化(ポット同士の隙間を開ける)して株を整える。長く伸びないように、寒さに当てたり、苗の間隔を広げたりする。

ホルモン処理(生育が止まる)してこれ以上は伸びないようにする。薬剤によって強制的に成長を止める。

・水を極端に絞る。小量灌水

このようにして花苗の生長をコントロールしてトレーに揃えるのですが、これは色々な実践によって得られる経験です。長年作られている方の方が圧倒的に有利で、初めての方ではまず、そろわないと思っていいでしょう。

上のような管理作業をことをする事で、品種間の色を揃えます。何も問題ないように思えますよね。

でもこれは見た目上の生育が揃っているだけで

同じトレーに入っていても同じ生育とは限りません。

生育をコントロールした結果、地面の中や植物の生育にはすでに生育が違っている可能性がある。花壇苗の中で大きなずれが生じている、混在している可能性もあります。

花壇苗の生長のずれとは

花苗が薬剤によって成長が止められ、その効果が持続中。

花苗の肥料が多い、切れている。

花苗が適期に作られていない。施設など温室と外で育てられているのもがある。

花苗の生育ステージがそろっていない。

つまり、花壇苗の生長をコントロールする技術によって、肥料切れや根腐れ、ホルモン処理によって植えてもしばらく大きくならないものがバラバラにトレーの中に含まれている可能性があるのです。

また販売店では、市場からの仕入れですから、生産農家は同じとは限りません。あれだけの沢山のトレーに花苗が並んでいますから、同じものは少ないでしょう。

苗の購入者がトレーの中から好きなものを選ぶのだから問題ない。そう販売者は解釈するかもしれませんが、苗の事情が分からないそんな苗では普通に植えただけでは上手く育たないと思いますよ。育ってもばらつきます。

余談ですが最近では、自分で配合して培養土を作ることは少なくなってきています。これは市販の培養土の性質が均一であり、安定して良くなっている。また軽量で加え使いやすいことがあげられます。

消費者が求める基準とは

時代によって花苗は変わってきました

消費者が求めるものは、時代によって変化しています。1960年代の頃は東京オリンピックの頃、ポットマムやハイポネックスなどによってプランター栽培というものが一気に普及してきました。

それから1970年代、日本万博などのイベント用の花壇苗が使われるようになって、花壇苗の技術も一気に上昇していった時代です。それからハーブや洋らんが出始め、ホームセンターや園芸店で取り扱うようになり、私たちにとって身近な存在となりました。

このころになると、サントリーという大企業がサフィニアペチュニアというボリュウム出るペチュニアが発売されたこともこの時期です。サフィニアって確かナス科で繁殖力があるから挿し木で簡単に増やせるんですよね~。

1990年代には秋だしパンジーが有名ですね。この時期になるとプラグ苗で流通しだしました。

農家さんは幼苗を購入して、ほぼ育苗管理だけの手間だけて苗の回転数を上げて生産するスタイルも登場し、分業化が始まったといえます。この頃が一番の園芸のピークだったと思います。

2000年以降は、花と緑の博覧会等や園芸ブームなどがありますが、今まで9㎝のポリ鉢による販売が4株ミニポットのセット販売や通信販売による希少品種が多数存在する時代だと感じます。

ただ、やっぱり時代が変わっても4~6月の春の花壇苗はとても人気なのは変わらないようです

売れる定番、花壇苗は品種はそんなに大きく変わっていない。

現在流通している苗ものの種類は100種類以上になりますが、市場ベスト10に入る品種は苗ものの生産量の60%以上を占めています。

ベスト20位までになると75%とか。希少価値を狙った特殊な苗ものもありますが、安定して売れません。「多様化の時代」ですが惑わされないようにしましょう。やっぱり定番が売れています。

平成6年の(大阪植物取引所)のデータで今から25年以上前です。花壇苗の取り扱いトップ10(金額ベース)

順位種目数量
1位パンジー4797107
2位Bセンパ1716806
3位ペチュニア1590154
4位葉ボタン811065
5位プリムラ類660666
6位ビンカ(日日草)1083292
7位菊苗667490
8位インパチェンス792028
9位ナデシコ(撫子)853878
10位サルビア688816

以下マリーゴールド・ゼラニューム等が続きます。順位が前後していますが金額ベースでした。

どうでしょう。皆さん今並んでいるものが現在でも多くありませんか?これらは何かしら理由があって大きな需要を生み出しているようになっています。

これから見ると、最大の需要期は春の4月~5月・学校や公共機関・地域自治会の活動・冬から春にかけたての草花だといえますね。

まとめ

花苗の流通は、花を楽しむという事、きれいにそろえ、規格に当てはめた商品になっています。

同じ品種であっても老化苗や根腐れを起こしている肥料が切れている苗が存在します。長く同じ状態を維持したい。大きくなっては困る。花壇苗は花1輪と蕾1つで完成です。

では野菜苗はどうでしょう。野菜苗にはこのような規格は存在しない。野菜苗は果実を取ることが目的ですので、園芸店やホームセンターで並んだ時に花の色や見た目は関係ありません。畑に植えつけたらちゃんと根が付くかどうかです。健康な苗です。

花壇苗は根がついて成長し大きくなることが販売者にとってあまり重要ではないと言えます。

極端かもしれませんが、花壇苗を判断する目を養う必要があるのではないでしょうか。

花壇苗の見分け方(まとめ)

一番良いのは、花壇苗を生産している農家で購入すると間違いなく良い苗ですし、アドバイスも頂けます。また、花壇苗の生長過程が見られ、良し悪しの判別眼が養われます。

品種別に市販されている場合は

私の家の庭、ようやく家の庭先がにぎやかになってきました。

コチラは庭先のボケとシャクナゲです。3日前までは蕾でまだ寒いのでまだ先のことと思っていましたが早いものです。

草木が一番春の訪れを知っているんですよね。私はまだストーブが離せません。草木の目覚めは、あっという間に大きく膨らみ、開花しだしまします。

雑草も( ノД`)シクシク…大変だな草むしり。私は、この開花する間際が一番きれいだと思いますね。(^^♪黄色の水仙も

園芸店は草花でとても賑やかになりとても、買わなくてもとっても癒されますよね。

また、新しい品種が続々と登場し、買う側にとっては一つぐらいはチャレンジしたくなるものです。春の訪れをめ~いっぱい感じましょう。

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