大根の育て方【秋冬大根のつんぼりと野菜の貯蔵温度】

だいこん

福井県池田町は、福井県の山間部標高220mの中腹に位置し、豪雪地帯に指定され、

近年の温暖化で降雪は少なくなってきているものの2m近く雪が降ることがあります。

2018のピーク時は。

こんな状況です。一応これで除雪してます。

冬は雪で覆われるため畑で野菜を作ることができません。勿論収穫することも。

その為、夏に取れた野菜を塩漬けして取っておいたり、秋に取れた野菜を冬の間、家の周りの畑貯蔵して、必要な時に少しずつ野菜を使う文化が福井県池田町には当たり前のようにありました。

しかし今は、ほとんど残っていません。なぜなら

「冷蔵庫やスーパーがある」

今はスーパーへ行けばなんでも食材がそろう時代です。

いつでも新鮮な野菜が販売してますし、保存することがあっても野菜室で1週間位かな?

この記事では、地域の気候を利用し、冬を乗り切るための合理的な工夫を知ることができます。

その先人たちの知恵と工夫を知り、再現し、食べてみることで昔の生活とその食材の価値をお伝えしたいと思います。

冷蔵庫の野菜室に入れてはいけない野菜

冷蔵庫は便利。しかし、すべての野菜は冷蔵庫の野菜室で良いの?

冷暗所であったり、吊り下げたり、常温だったり、新聞でくるんだり、する理由は、貯蔵する温度や湿度など環境は種類によって違います。

冷蔵庫に不向きな野菜に一例

貯蔵するのに最適な温度

タマネギ0~5℃、

ニンジン0~5℃、

カボチャ10~15℃、

大根0~5℃、

ゴボウ、イモ類(サツマイモ13~15℃・里芋7~12℃・自然薯2~5℃)

バナナ14~20℃

常温保存が可能、あえて入れる必要はない。野菜室の温度は5~10℃です

冷蔵庫の野菜室の温度はすべての野菜に対応できないですよね。

大根の保存方法「つんぼり」

大根の貯蔵方法をお伝えします。大根の簡単な貯蔵方法は、収穫したら土付きのままで、冷暗所に置いておく事。

畑が凍結しない間に大根を一旦収穫し、排水の良い場所に葉を取って、土付きのまま土に埋めておく。

そうする事で、大根が凍結するのを防ぎ、保存することができます。

しかし、いちいちスコップで掘り起こすのは面倒で、使い勝手が悪いですね。

天然の冷蔵庫「つんぼり」をご紹介します。

池田町では昭和50年ごろまで、家の辺りに下の画像のようなワラできたものが冬の家の前の畑にありました。

冬の間しか作りませんから、雪の下で気付かないかもしれません。

野菜の貯蔵庫「つんぼり」と言います。言われはツンと立っている姿、掘り起こすからと言われていますが良くわかっていません。

つんぼりは、池田の冬を乗り切るために食料の貯蔵庫です。冬の間の12月~3月まで大根などの野菜を入れて置き、少しづつ掘り出して食べる風習がありました。

また「ばんこもち」を例に囲炉裏の上にヨモギやキビ・ひえ・あわなどを混ぜたくず米と餅米を混ぜて作ったものを囲炉裏の上に吊るしておきます。

そうすることによって、囲炉裏のすすが防腐剤の変わりをして保存できます。そして食べるときは水洗いし、水でもどして食していました。

このように雪国ならではの食文化が根付いているんです。

大根は寒さに比較的強い作物ですが、霜が降り、葉が枯れるころになっても収穫せずに畑においておくと、土から出ている首の部分が凍って傷み、やがて腐ります。

そこで「つんぼり」は野菜をワラの家の中に入れ、積雪によって直接外気に触れることないので、冬の凍結から野菜を守ることができます。

中には、大根、ニンジン、カブを入れていきます。勿論、大根は、土付きのまま生きていますので瑞々しく新鮮です。

旬の秋冬野菜を貯蔵するときは、土がついている分、野菜室より優秀なんですよ。

大根(だいこん)の貯蔵方法(つんぼりの作り方)

  • 貯蔵できる品目 大根・人参・蕪・白菜など
  • 貯蔵温度  0℃~5℃
  • 湿度    80%~95%
  • 貯蔵日数  約3か月

電気代なし、資材費わずか(紐ぐらい)、藁やわら縄、ごみは畑に広げておけば、土に戻りますのでとってもエコです。

雪が降ることが前提で降雪が無いと保存することができません。

降雪地帯の北陸地方より北の日本海側、中山間部の積雪地域限定となっております。

雪が積もり、空気の層がある事によって外気温を遮断し、中の温度と湿度を一定にします。

ちょうど「かまくら」の中が暖かいのと同じですね。

また、水が入り込まないようにし、付着した土が水分と空気が大根の呼吸を助けています。

その証拠に取り出すときは、大根の新しいひげ根がびっしりと生えていますよ。

つんぼりの作り方

つんぼりを作る時期

積雪がある直前、気温が下がり雪が降り始める頃(12月初旬ごろ)。雪が降るギリギリでないとつんぼり作りはできません。今日(2019.11.23)は気温が高く20度を超えていました。

こんな日が続くと蒸れて腐ってしまいます。雪が降る直前までつんぼり作りは、お預けです。

つんぼりの材料

ワラ 40束
稲縄(わら縄) 1巻き
棒杭 10本
コモ 2枚(無ければ使わない)

エコなものばかりです。

「*稲縄も編む機械があるのですが、いつか頑張って再現します。今はちょっとできませんでした。」

でも材料は畑に還元でき、材料も自分で調達できるものばかりなので、

実質 0円

つんぼりの場所

つんぼりは冬に少しづつ中から野菜を取り出して必要な量だけ取り出して使います。

その為、家から近い所に設置しましょう。場所は畑です。下は土で、排水がよい所です。コンクリートの上は不可。

つんぼり作りの手順

場所を決めましょう。できるだけ水はけのよい場所を選び、半径2m位に藁やコモなどで地面にしき大根が地面に触れないようにしてください。

土付きが良い。畑にある大根を抜き、軽く土を払って葉っぱを根元から切り落とします。

③次に葉っぱの方を外に向け、大根を隙間なく積み上げていきます

つんぼりの大きさは1㎡位の大きさがちょうど良い大きさです。

中心部分は大根の先の部分ですのでくぼんできます。中に大根が滑ってピラミッド状態になりますね。

こんな感じです。結構高くまで積み上げていきます。

コツ大きな大根で外枠をきちっと作るといいでしょう。

ピラミッド状にできたら稲わらを大根に1束づつ隙間なく立てかけていきます

ここで注意してほしいのがワラは茎の固い下の部分を下に、稲穂がついていたうえの部分を上に立てかけてください。

逆は下に隙間ができてしまいます。また、細かなワラには手でそぎ落としておくとよいでしょう

下半分ができたので今度は上半分です。上からかぶせる傘を作ります

<傘の作り方>

傘は稲わらを7~10束をワラ縄で縛って傘の元を作ります。ワラを稲縄で縛るのですが、縛る位置は稲穂の部分つまり上から10㎝程度下のところです。

きつく縛らないと傘を開くときに外れてしいますので、男結びでしっかりと結んでください。

⑥藁の傘を広げて、上からかぶせます

*本当なら、もう一折して、傘を仕上げると、水が中に入らないのですが、藁の長さが足りなかったのでできませんでした。

ここまで出来たらほぼ完成です。

後は、風などに飛ばされないように、地面に杭を4~6か所刺して、つんぼりの頂点から、縄を張り、ワラが飛ばされないように縛り付けていきます。

最後につんぼりの頂点から水が浸入しないようにビニールの40㎝角に切った切れ端でしばりつけて完成です。

掘り起こし

1か月後では堀おこしてみましょう。

手がキンキンです。でも甘ーい大根が待ってる。

つんぼりから、野菜を取り出すのは、下からわらをかき分けて少しづつ取り出します。

本来なら積雪で、上から下に掘っていくのですが、最近の暖冬で簡単に掘れました。

瑞々しい、細かい根がびっしり生えていれば、大根が生きています。上出来ですね。

 

生で一口

「甘~~~い。なにこれ、梨みたい。全然辛くない!!」「めっちゃ!すごいい」

糖度はなんと 5度!

普通は3度位です。

そうなんです。理由はわかりませんが、秋には「つーん」とした大根の辛味が全くなくなっています。そして甘さだけが残っていました。

これを皆さんに是非味わってほしいと思い

直売所に出荷しました。

食べてみてください。甘いから」って自慢気に!!

ところが

そしたらお客さん「大根ね~」反応薄い。。。。。

あれっ……

普通の大根だ。

甘いけどあの甘さが無い。

あの大根は、その瞬間しか味わえないのかもしれません。

 

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