白菜に限らずアブラナ科の野菜は害虫の発生が激しく、手だけによる駆除だけではとても追いつきません。
害虫被害が出た圃場です。全て商品にはできません。
色々な要因がありますが、一番は、植えつけ時期が早く害虫の一番発生しやすい時期に植えたことでした。
秋野菜は、害虫による被害を受けやすく、害虫対策をしないと葉を食いつくされて、穴だらけ、無残に葉脈だけが残り、やがて枯れてしまいます。
それを防ぐためには害虫駆除で効果が高く、手間もかからない、農薬散布が一番効果的です。
しかしできるだけ無農薬でつくりたいものですね。
ココでは白菜につく害虫のなかでも、特に被害の大きな害虫を4種類紹介します。
また、できるだけ農薬を使わないで害虫予防する方法を掲載しています。
ハクサイの栽培に関する記事、白菜(ハクサイ)の育て方。結球するのに植え時が大事【水と肥料を切らさない】をご覧ください。
はくさいの品種に関する記事、白菜栽培で失敗しない苗の作り方・植え方をご覧ください。
白菜につく害虫を覚えておこう。
アオムシ(青虫)
アオムシは蝶の幼虫、中でもシロチョウ科に代表されるため、一般的にアオムシと言った場合、多くはモンシロチョウの幼虫を指します。
なかには蛾の幼虫のアオムシや蝶の幼虫のケムシもいます。
発生時期・寿命
成虫のモンシロチョウは3月後半~11月頃まで、北海道から九州まで日本全国どこでも見ることができます。
蝶になってからの寿命はおよそ1ヵ月半~2ヵ月程度。その間に雄と雌が出会い、産卵します。
卵はおよそ1週間でふ化してアオムシに。
1週間程度でふ化しますが、ふ化したばかりの幼虫(アオムシ)は体長3~5㎜淡い黄色をしていて、緑色の葉を食べることで緑色になっていきます。
脱皮をするたびに大きくなっていき、4回目の脱皮を終えると体長は30~40mm程度まで成長します。
モンシロチョウの産卵は春~初夏にかけて最も多く、真夏には少なくなって秋にまた増えます。
4月〜6月と9月〜11月頃
ちょうど9月の秋野菜を時期と一緒ですね。
11月22日、白菜の裏側の、こんなところに隠れていました。もうすぐ雪が舞い落ちる頃です。
なのにどうしてでしょう。モンシロチョウのサナギです。このまま越冬してしまいます。
葉虫(ダイコンサルハムシ)
ダイコンサルハムシ・ダイコンハムシ(大根葉虫)とも言う。幼虫、成虫ともに、アブラナ科の柔らかい葉部を好んで食べます。
発生時期・寿命
成虫は年2、3回の発生で、枯れ草や石下などで成虫で越冬した個体が4月頃から活動を開始する。
夏は仮眠し気温が 20℃前になる秋に再び姿を現します。1~2世代発生し 11 月上旬に越冬に入る。
卵からほぼ1ヶ月で成虫になり、成虫になってからは約500日の寿命があり、約1200個の卵を産む。
観察していると
卵をまず双葉の茎の外側に産み付けます。
大根を種まきして、3日後、双葉が展開した時にすでにダイコンサルハムシが1本の茎に2〜3個ずつ、茎の中に埋め込むように産み付けています。大きさはモンシロチョウの卵より少し小さいくらいの黄色い卵です。1本の茎に2〜3個ずつ、茎の中に埋め込むように産み付けています。
発生が多いと、葉脈だけ残して網目状、レース状に食い荒らします。飛翔せず歩いて移動し、揺らすと葉から転がり落ちます。
成虫でも卵でも越冬し、1年半生きるという長寿の害虫、これが秋の害虫の中では一番厄介だと私は思います。
農薬の初期粒剤が効かなかったりすることもあります。
ひどい場合は4日間でこうなりました。葉の内部まで侵入し、外葉をとっても穴の開いた葉ばかりで商品になりません。
ナメクジ
大きな穴をあけ、白菜の葉っぱの隙間に入り込んでいますよね。白菜の中に入りやすく、内部まで食い荒らされることがあります。ナメクジの食欲は旺盛なので、実りの季節に大量発生すると大被害となります。
発生時期・寿命
ナメクジは「雌雄同体」という生物に分類される生物です。「雌雄同体」とは、1匹がオスでもメスでもあるという意味であり、ナメクジが2匹いれば、2匹がそれぞれ精子を交換して、卵を産み、繁殖していきます。寿命は2、3年ほど。
ナメクジは夜行性であり冬は活動せずに目立たない場所にとどまりますが、春になると動き始め、石の裏や植木鉢の裏など、暗くて湿気た場所に卵を産み付けます。
秋野菜や花などの作物がナメクジの「隠れ場所」にもなるため、白菜も格好の隠れ家となっているようです。卵の殻とか、コメぬかを撒くことで被害を軽減できると思いますが、すべてではありません。できるだけ農薬は使いたくありませんから。
アブラムシ
アブラムシは種類によって生態も違いますが、翅(ハネ)のある有翅型(ユウシガタ)は植物から植物に飛んで移動することができます。
発生時期・寿命
翅(ハネ)のないタイプの無翅型(ムシガタ)のアブラムシは、春から秋の間は交尾をすることなく単性生殖のメスだけで増えます。
秋の終わりごろになるとオスが発生し産卵、メスとオスが交尾しメスは卵を産みつけます。
春に越冬後の卵から産まれるアブラムシは翅がないアブラムシ。このサイクルを繰り返します。
幼虫は10日前後で成虫となり、毎日5匹程度の幼虫を産むと言います。
これは結構白菜につきやすいですが。活動範囲は決して広くなように思います。
畑の外側それも1株か2株がびっしりと着き気持ち悪いくらい集中的にやられます。
しかし、他の白菜に被害がそれほど被害の広がりがありません。多分気温の影響が大きと推測します。
白菜(秋野菜)を害虫から守る方法
防虫ネットで被膜することで、飛来して卵を産みつける害虫の予防はできます。
そして、害虫の発生がかなり軽減され、後は手による駆除が十分可能になります。
ネットをしても、害虫をネットの中に入れてしまうようでは意味がありません。白菜に卵を産みつけさせない事が大事です。
ネットの中に侵入させないためには
(近くにモンシロチョウが飛んでいたら、卵やアオムシがいる可能性が大きい)(葉の表面に糞を見つけたときもアオムシがいる可能性は大きい)すぐに駆除する
天然忌避剤の使い方
「ニームケーキ」の説明です。コチラも効果が期待できます。
農薬を使わない、野菜に害虫を寄せ付けない方法。その1 ニーム
防虫ネットの使い方
「不織布」の説明をしています。コチラも効果が期待できます。
農薬を使わず、野菜に虫を寄せ付けない方法 その2 不織布・防虫ネット
薬剤で予防
害虫を退治する薬剤として、種まきした時や移植した時に浸透移行性のある薬剤の粒剤を、根元にまいておくと、野菜自体が殺虫効果を持つようになります。
予防の効果は1ヵ月くらい続きます。
秋野菜は、最も害虫被害が大きい野菜と言えます。できるだけ農薬に頼らない努力はもちろん大事です。
しかし、何も野菜が取れないで、放置することで次年度以降も害虫被害がさらにひどくなります。
また同じ薬剤を何度も使用すると害虫に薬剤耐性が付きます。
このような事態にならないためにも、最初の駆除も考えておくべきではないでしょうか。
薬剤を適正に使用することで農薬が野菜に残留することはありません。
中途半端でな気持ちでは害虫にやられてしまいます。(´;ω;`)ウゥゥ
白菜のゴマ症
害虫被害ではないです。よく見かける白菜自体がもつ生理反応によるもので、「ゴマ症」とも言われています。
主な原因は、三大栄要素の一つである窒素の過剰吸収だと言われています。
細胞内の窒素濃度が上昇すると、細胞内外の窒素濃度の差を減らすために細胞は水分を吸収しようとします。
すると細胞は取りこんだ水分によって膨らむことになります。この細胞の膨張によって、細胞にストレスがかかり、ポリフェノール類の色素合成が促進されます。その結果、はくさいの表面に黒い斑点が現れてしまいます。ゴマ症の色素合成反応は、ブドウの色素と同様の過程なので、食べても問題ありません。
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