ほうれん草の育て方 【失敗の原因は発芽?品種?】

ほうれん草

「ほうれん草蒔いたのに生えてこない」

「ほうれん草が大きくならずに茎がどんどん伸びてきた。」

「小松菜やチンゲン菜は、良く生えるけど、「ほうれん草」って栽培がちょっと難しいよ~」

ほうれん草、日本では圧倒的に多く消費されている葉物野菜なので作りたい。

この記事では、ほうれん草の品種と発芽について詳しく掲載しています。ほうれん草は、タネを撒く時期によって品種を使い分けたり、発芽しやすいように工夫がされています。

失敗談を踏まえて、ほうれん草を確実に発芽させ、育てるための品種選びができるようになります。

ほうれん草の発芽の方法

結論、ほうれん草の夏まきは最も難しい作型です。

夏に蒔いても大丈夫と書いてあってもやらない方が良い。25℃以上で発芽が極端に悪くなる。

ほうれん草の覆土(土をかける量)は深さ1㎝にする。

土をかける量は深さ1㎝がベストです。その訳は、深すぎると、発芽のそろいが悪くなります。浅すぎると、生えません。

ほうれん草の種子の問題

ほうれん草は、他の野菜の種子に比べ種子にばらつきがあるので、発芽がもともと良くありません。

せっかく発芽しても種子の力が弱いため、深すぎると中々土から芽を出すことができず、発芽がばらつきます。

浅すぎると発芽に光を嫌う「嫌好性種子」ので、これも発芽しません。

発芽を良くするために、古いタネは使わない。

種まき時を確かめて、種は新しいタネ使う。

ほうれん草の種子は作型や栽培管理、収穫量など多くの品種が販売されています。

例えば、秋まきと春まきを間違えるとほうれん草は「トウ立ち」します。

また、ほうれん草の種子は発芽を良くする為、ほうれん草の外皮を削ったり、溶かしたりした種子があるんです。そうすることで発芽が向上します。

ただし、ほうれん草のタネが余ったとしても次年度にとっておいても使えません。発芽率が大きく低下しています。保存期間が短くなります。

ほうれん草の品種は種のサイズから葉っぱの形まで多様。

ほうれん草のタネは色々ありすぎて正直わかんない。どれも同じでは?

って思っていませんか。

ほうれん草農家ではないから、そこまで詳しくなくても…

損してますよ。

コチラをご覧ください。知ってましたか?

ほうれん草の種子には、大きさに違いがある。

もちろんそれらが混ざった「無選別」も

Mサイズは、30,000粒入り1粒は直径2㎜位の大きさ。

Lサイズは20,000粒入り1粒の直径は4㎜位

単価は同じだったように思います。

種子の大きさが見比べると全然違います。ただしⅬサイズは10,000粒少ないです。どちらを買いますか。

私の栽培方法ならLサイズは20,000粒入りです。

なぜ、タネの大小のサイズがあるのでしょう?

〇発芽率が違う。具体的には発芽勢です。

種の芽が出る勢い、つまり生え揃うまでの日数がちがう。

これは種の大小で十分に充実した種を分けることができます。種子が小さい方が遅いのです。

〇生産者が求める栽培、それに伴って品種が多様化してます。プロとアマではすでに種から違います。深くは書きません。大人の事情です。

それと種苗メーカーにとって発芽が悪いことは致命的です。なので発芽を良くする為、種子の選別をして品質管理しています。

〇重さや大きさ、そして発芽した時の病気予防

ほうれん草は、野菜の中でも特に発芽が安定しない、また発芽後の生育に違いが出てくるため選別しているのです。またのほうれん草の収穫の方法で変わります。

〇例えば、一斉に収穫するか、順番に大きくなったものから収穫するか。

私がほうれん草を作るときに、「間引き」という作業をほとんどしません。間引きをするか、しないかで種子のサイズを決めています。この間引きをしない栽培は、ほうれん草の一斉収穫です。

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ほうれん草は発芽が大事(発芽促進処理)

ほうれん草の種は新しいタネを使う事。種が余ったからとすぐに使うのなら良いですが、次の年に播くことはおススメできません。

その理由は、発芽処理している種子が多いからです。

種子の発芽促進処理

ほうれん草はもともと固い殻に覆われているので、十分に水を吸わないと発芽が安定しません。

その為、各種苗会社さんが競って発芽を良くする工夫をしているんです。その処理方法は、

「PRIMAX」「エクセルプライム」「クリスタルコート」って何?

ほうれん草などの種子を買うとこのような言葉がマークと一緒に袋に掲載されています。

上↑画像の下の方に「PRIMAX」って

「PRIMAX」「エクセルプライム」「クリスタルコート」

これらはぜんぶ同じ処理方法です。会社によって言い方が違う、ちょっとだけやり方が違う程度です。まぎらわしいですよね。

プライミング種子のことを指します。

「PRIMAX」はサカタのタネの技術

「エクセルプライム」は野菜。「クリスタルコート」は花。タキイ種苗の技術

プライミング種子とは?

種子の問題を解決

通常、種子は一定の温度、酸素、そして水分があると発芽します。ただし、発芽までの期間は一定ではありません。

自然界では、急な環境変異に対応できずに死滅することも考えられるため、発芽に適した環境にあったとしても一度に発芽しないようにできていて、園芸用に育成された品種でもその性質をもっています。

しかし不ぞろいな発芽は、農業の現場では、接ぎ木作業の効率化や一斉収穫の妨げになることがあります。

そこで、プライミング種子とい発芽促進処理をしたタネも増えています。

プライミング処理とは

わずかな水分を吸わせていったん発芽のスイッチを入れ、細胞分裂を始めた状態で止めたものです。

スタートの準備が整っているので、接ぎ木のタイミングをバッチリ合わせたいトマトや、硬い皮で覆われたホウレンソウの発芽を揃える目的で使われています。

ただし、プライミング種子の寿命は通常の種子より短く、また高温、高湿度条件では、劣化が早く進むため、保管も密閉状態で冷蔵5~10℃を保つなど注意が必要で、有効期限も6カ月~1年(品目による)に限定しています。

タキイの種子加工技術、「タキイ最前線」

ネーキッド種子

硬い皮を完全に取り除いたホウレンソウのタネです。

生育に支障が出る高温下で芽を出してしまうなどの欠点があり、今はないそうです。

私は「ネ―キッド種子」使った経験ありますが、発芽が良かったですね。

昔、ホウレンソウは水に浸けてからタネを播くのがセオリーだった?

100%発芽促進処理済のほうれん草を水に浸けて撒くとどうなるでしょう……。

そのセオリーが通じるのは、水稲の種もみか、おばあちゃんが「自家採取した種」だけです。

今の市販のタネは、種子の加工技術が進化していますので、その手間はかえって逆効果になります。

ほうれん草を撒くときは、畑が乾燥した高温期です。そこに浸漬したタネを播くのは、芽が出た時の条件が非常に悪いです。

暑くて、水が無くて、そんな条件のところにスムーズに根が張れませんよ。

種皮が硬い硬実種子だからといって、なんでもかんでも水に浸けてからタネ播きするというのは、間違いですね。

硬いオクラのタネもメーカーでの含水率を調整しているので、心配いりません。

発芽条件が揃えばそのまま播くだけでOKです。

ほうれん草の品種選び

ほうれん草は万能のものはない。

実際選ぶ基準として以下に上げますので参考にして見てください。

だからと言って、ほうれん草がその通りに生育するとは限りませんし、あくまで目安です。

「作ってみたけど、そんなに株が大きくならなかったのだけれども」

良くある事だと思っていいです。品種特性は、あくまで目安

その地域に遭った品種を自分で栽培して探さないと本当に自分が欲しいほうれん草が見つかりません。

出典:タキイ最前線

出典:サカタのタネ 品種特性一覧

大手、種苗メーカーのほうれん草の特徴一覧です。新しい品種が続々出ていますが、使い慣れた昔の良い品種あるのでほんの一部です。これらの品種は一代雑種です。

一代雑種とは

東洋種と西洋種の組み合わせによって育成されています。生育が早く多収で肉厚が厚い。またトウ立ちが遅い特徴があります。現在育成されているほうれん草のほとんどがこの品種。西洋種と東洋種のいいとこ取りで、そろいも良い。

その他の品種の分類

東洋種

一般に角種子で、葉は葉肉が薄く切れ込みが深い、葉柄の基が濃いのが特徴です。トウ立ちが早いのが欠点。秋まきに適しています。

西洋種

一般的に丸種、葉肉が厚く、切れ込みが少なく、葉のちぢみがあるのがおおい。晩生種なので春まきに適している。

交雑種

東洋種と西洋種との自然交雑の後代から選別したもの。生育が早く収量が多い。トウ立ちは東洋種より遅い。小袋に良く売られています。

ほうれん草の種を選ぶ時に特に注目する点

表を見比べてながら、品種を選びます。

草姿とは、1~6段階で数字が大きくなるほど葉が立つという特徴。数字が低くなれば広がります。

又は、立性、極立性とほうれん草は横に広がる特徴がありますがこれを改良して葉っぱが立つというもの。

葉色とは、ほうれん草の葉の色で、淡、中、濃、極濃と、スーパーや地域によっては、色の濃いものが喜ばれる。

株張りとは、1株当たりの重量の事、重量があれば少ない面積で沢山取れ収量があがるというもの。中、中大(やや大)、大、

抽苔性とは、トウ立ちする速さ、早、中、晩

適応型・栽培表とは、そのほうれん草が最も適している作型(時期)

品種を選ぶ時の重要なポイントは

◎トウ立ちしない品種を選ぶ

適応作型・トウ立ちの所を見る。蒔きたい時期に合っているかどうか。晩抽性があるかどうか。

ほうれん草のトウ立ち↑

ほうれん草のトウ立ちは品物になりません。ほうれん草は代表的な長日作物です。

一般的に長日・低温によって花芽分化し、分化した花芽は高温によって発育しトウ立ちします。

トウ立ちに向かう時期は、冬から春にかけてです。

暖かくなってほうれん草が大きくなる時期でもあり、旬であり、美味しい時期。

逆に、日長が短日から長日に変化するお彼岸以降は6月20日頃の夏至をピークがとても栽培しにくくなる時期になります。

◎発芽が安定している。収穫し易い、重量が採れる品種を選ぶ

収穫の方法には、収穫の大きさに達した株から順次間引いていく方法と収穫を一斉にする2つの収穫方法があります。

一斉収穫は、秋まきで1ほうれん草の葉の枚数が7枚~15枚です。ほうれん草の収穫は早朝に行い、鮮度の高い内に出荷しないといけません。その為、高温になる日中を避け、早晩に収穫調整、また、予冷して品質を保持しています。

ほうれん草を収穫作業をできるだけ早く、沢山しないといけない。

品種もできるだけ重量があって、収穫作業がし易いほうれん草が良い

このようなスタイルの農業の場合には、品種の草姿・株張りの所を見ています。

例えば、極立性、6段階中、6のほうれん草は収穫しやすいですが、株張りがその分落ち重量が軽くなります。つまり、本数が余計にいるのです。逆に、展開性、1のほうれん草は、収穫しにくいが、株張りが良く重量がある。少ない本数で重量が取れる。ただし、地域格差もあり、すべてにおいて万能ではありません。

栽培する作型に求められる特徴を知り、どんなほうれん草が良いか判断しましょう。

きっと、良い品種が見つかると思います。

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