ほうれん草が育たないのは土づくりが原因!?。
この記事では、ほうれん草を育てるための基本的な情報を掲載しています。ほうれん草は他の野菜に比べ、いくつかの栽培方法に違いがあります。
そのポイントを押さえないと上手く育ちません。ほうれん草の土作りと栽培方法を解説します。
ほうれん草を育てるキホン
ほうれん草を育てる基本的なことを踏まえてから「土づくり」についてお話していきます。
基本をおさらいしてみましょう。
〇有機無農薬栽培ができます。病害虫に強く、有機質肥料との相性が良いです。
〇ほうれん草は種まきから収穫まで、適温で40日間(冬季は約60日)、0℃の低温にも耐えます。
〇発芽温度は20℃付近が最も良い。(夏まきはおススメしません)
発芽までの日数は7日程度と若干遅めです。温度が高いと極端に発芽が悪くなり、まばらに生えてきます。
〇(最重要)ほうれん草の大敵は酸性土壌です。最適はPH6.5、一般的な土のPHは5.0~5.5位
葉が全体的に黄色くなり、枯れていきます。後で石灰を振っても手遅れです。
〇(最重要)生育期間は排水が悪いと生育が悪く病気になります。
水が必要なのは最初の種まきの時だけ、後は収穫までほとんどいりません。排水が悪い所では、必ず畝立てします。
〇ほうれん草にはちゃんと覆土しましょう。ほうれん草は乾燥を好みますが、芽が揃うまでは覆土してないと根が乾いて枯れます。
〇ほうれん草の特徴として、本葉2~3枚までは生長がめっちゃゆっくりです。その後8~10枚で急速に成長します。ほうれん草は直根性。
理由は生長が止まるその間、根の発達を優先しているのですが、生育の段階でどこを優先するのかはっきりしているのもほうれん草の面白い所。
〇ほうれん草の品種選びは重要です。品種を間違えるとトウ立ちします。
〇ほうれん草は雄と雌の株がはっきり分かれることです。
雌雄異株(雄の株と雌の株がある野菜)です。もちろんタネの段階で雌雄はありません。生育するだんかいになって初めて決まるのです。不思議ですね。
ほうれん草の土づくりに大事なのは【石灰の量】
ほうれん草と言えば、なぜか「石灰を蒔きましょう」です。
酸性に「弱い」から、アルカリ性が好きだから、「石灰」を必ず畑にまきますよね。
畑が真白になるほど石灰を畑にふりかけていませんか?
はっきり言って「やり過ぎです」phを調整する為なのですが、肥料ではありませんから毎年、多くは必要ありません。
もしくは「全く畑に石灰をやったことが無い」
このどちらかです。
ほうれん草はアルカリ性が好きではありません。6.5~7.0の弱酸性が好みます。
土のPHが5.8の場合のほうれん草の生育↓
まばらに生えています。発芽したのはいいけれど、どんどんほうれん草が消えていきます。
土のPHが8.2の場合のほうれん草↓
下葉が黄色く、葉先がどんどん枯れていきます。ほうれん草自体の生育が良くありません。
こんな感じです。
これが、石灰をうまく使えなかったので生育が悪くなった症状になります。
もし、石灰をやり過ぎてしまった場合は、そう簡単に取り除くことができません。
露地栽培では、数年石灰を入れなければもとに戻りますが、特に風雨にさらされないハウス栽培では高PHになりがちです。
そうした場合には、深耕して、土の量を増やす。もしくは、イオウなどの強酸性資材を散布して畑を攪拌します。
石灰をまく目的はなんですか?。
「土づくり資材だから」「消毒」「早く窒素が効く」「みんながまいてるから、まいた」「ようわからん」( 一一)
こんな感じではありませんよね。(笑)
ほうれん草に石灰をまく理由
「カルシウムの補給」と「酸性土壌の中和」の2つです。
日本の土は、元々石灰やマグネシウムなどの栄養分が少ないです。そして日本の気候は多雨によって栄養分が失われ、酸性土壌になっています。
雨が多く地形が急峻な事から、腐植も増加しない、世界大陸のそれと比べて未熟な土が多いからといわれています。
石灰の使い方
石灰をやり過ぎると他の肥料が吸えなくなったり、土が固く締まったり、他の作物が作りにくくなり弊害の方が多くなります。
特に粉の消石灰は、すぐに水に溶けて、一時的に強アルカリ条件になります。こうなると土の微生物も死んでしまいますね。
石灰資材は、1年に1回以下で十分、酸性土壌に弱い作物(ほうれん草・アスパラガス・トウガラシ・玉ねぎ等)にだけに石灰を撒く程度。私は3年に1回でもよいと思ってます。
土の酸度が、6.5程度であれば石灰をやらなくても大丈夫。
簡易な土壌PH計(5000円~)もありますのでphを測って見ましょう。
4.5~5.5の強酸性土壌の畑は、ほとんどないと思いますが、日本の土はPH 5.5程度の所が多いので、水田転作とか、石灰を一度も使用したことが無い畑では石灰によるPH調整は必須です。
有機質石灰を使いましょう
カキ殻・帆立貝殻を粉砕した有機質100%の石灰資材を使いましょう。ホウ素・モリブデン・苦ドなどミネラル分も入っています。
消石灰は「粒子が細かく効き目が早い」のですが、効きすぎ。過リン酸石灰・苦ド石灰は、肥料バランスを見て調整しないといけません。
上↑画像はカキ殻を粉砕した資材「セルカ」商品名です。「有機ミネラル」資材を探すと結構どこにでもある資材です。
ほうれん草を育てるのに肥料をどのくらい与えればいいの?
最善の肥料の計算方法は土壌分析
必要な量を必要な時期にまくのですが、一番良いのは土の専門機関に頼んで土の分析すれば数値で解ります。
ただし、経費(4000~6000円程度)と時間(2週間程度)がかかります。
また、秋の天候や気温と肥料の種類なども関係してくるので農業のプロは土の分析を依頼していますね。
ココでは効き目が穏やかな有機質肥料100%を使うことをお勧めします。
ほうれん草に石灰を撒く目安
有機石灰の肥料の袋には、目安として200kg/10アール当たりと書いてあります。
1㎡辺りでは200gの計算になります。
おおよその目安として、畑の土深さ10㎝のPHを1上げるのに石灰200g必要。
毎年、石灰を入れている場合は、少し減らしましょう。残肥があり高PHになっていることがあります。
一度上がってしまったPHは、病害の原因にもなりますし、中々下げることができません。(硫黄など強制的にPHを下げることができますがおススメしません)
- pH調整には有機質石灰(牡蠣殻やホタテの貝)・・・ 1㎡あたり 120g
- 土づくりにはたい肥 ・・・1㎡あたり3kg
- 肥料には有機肥料(油粕・鶏糞・魚粉など) ・・・ 1㎡あたり 100g(全層施肥)
ほうれん草の耕し方
肥料と石灰を先に蒔いてから、なるべく深く20㎝を目標に耕してください。
〇何回も起こして細かくしすぎると生えにくいです。ゆっくり、丁寧にです。
〇覆土は必ずしてください。種が光に当たると生えてきません。
〇ほうれん草は直根性です。
大根のように下に深く下に根が伸びていく植物です。
ほうれん草の蒔き方
栽培履歴の一例ですが、すべてのほうれん草がこの履歴に当てはまりません。
ほうれん草は、春まき・夏まき・秋冬蒔きの種類があります。
実は種も失敗しないためには重要。
少しだけ、説明するとタネの袋を開けたらすぐに蒔いてください。そして発芽するまで地面を乾かさない事。です。
この表をあてにしないで、
品種ごとに栽培ごよみが違います。種まき時期をチェックしましょう。
暑い夏場は無理です。生えません。遮光するか、涼しい季節で栽培しましょう。
タネの覆土(土をかける)の深さは、1㎝未満です。
かけすぎても、浅すぎてもダメ。
浅いと発芽しません。逆に深すぎると、まばらになります。
乾燥とちょっとごろごろした土が好きなので、覆土は荒くかけてあげましょう。
びっしり土をかけると空気の層がすくなくなって生えにくいです。
ほうれん草をシーダーテープを使ってタネを撒きましょう。
テープシーダーとは
直接圃場にタネを播くのではなくホルセロンという水溶性のテープやメッシュロンという土中でバクテリア分解される不織布のテープなどに種子の封入をします。
この種子の入った紐を「シーダーテープ」と呼んでいます。
この方法のメリットは
〇1粒まきで欠株しにくい。
〇深さが一定なので発芽が揃う
〇種子間隔が一定で、風通しよく、病害が少ない。間引き等が省略できる。
シーダーテープ種子
コチラ↑画像 ほうれん草(トラッド) 1粒×5㎝×800m巻きに加工して頂きました。
お近くの種苗店で1~2週間で加工してもらえます。
シーダーテープ播種機
コチラ↑画像 手押しの播種機(TSAー7ひばり)
この手押し式で十分きれいに蒔けます。
ほうれん草の水やりの方法
灌水は、種まきした時にすぐに与えます。乾燥している時期の種まきとなりますので、
種をまいたら、その日の内に、しっかりとたっぷり水を与えます。
具体的には発芽するまで、地面を乾かさない事。
水やりするのはこの時だけです。
後は、収穫まで一切水やりしません、与えません。土の表面が乾いても大丈夫です。
ほうれん草の「直根性」「乾燥に強い」信じてください。
畑の表面が乾いても全然問題ありません。
ほうれん草の収穫時期の画像です。
一斉取りするため300㎡のハウスで5日間ですべて収穫します。
このような作り方には、シーダーテープがおススメです
ほうれん草がちょっと色が薄く、ほうれん草にしては黄緑色で薄くはないですか?
この画像見てほうれん草の葉色を見てこのように感じませんでしたか。皆さんの知っているほうれん草は濃緑色ではないですか。
実は画像処理、一切していません。
窒素が欠乏?? いえ、窒素は十分あります。
実は、有機肥料100%をカレコレ10年以上で作り続けています。
ほうれん草の収穫の流れ
私の写真の撮り方が下手なだけです。
有機質肥料を使うと、化学肥料に比べて、葉色が薄くなります。土の水分状態が高めだともう少し濃い緑になりますが、
明らかに違います。またえぐみも少なく、やわらかいので、長く炒めると、溶けてなくなります。
ほうれん草1袋150~200gが規格なのですが、普通4~6株入る所
10~12株入ります。
ハウスで有機肥料100%を与えた栽培では柔らかくて葉っぱが折れます。収穫調整は、丁寧に扱いましょう。
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