枝豆の育て方のポイントは7つ【大豆農家が作るデータでみる枝豆の鮮度】

豆類
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枝豆は鮮度が大切な野菜

枝豆と大豆の違い

大豆と枝豆は色合いの違いなどもあって、全く違う印象を受けますが、実は同じ植物です。

言い換えれば、大豆も若いうちは枝豆として食べると美味しい。豆が成長して青い莢の未熟な豆を、柔らかいときに収穫するのが枝豆です。

近年は、えだまめ専用の品種、大豆専用品種が育成され、400種以上あるといわれています。地方の在来品種が多いのも枝豆の特徴です。

大豆と枝豆、違いをあえて書くのであれば、

枝豆の品種の特徴

甘みとコクのあるブランド品種がある「毛豆・茶豆・ダダチャ豆・黒豆」の地域限定品種がある。

全体の7~8割が3粒莢の品種が多い。1粒莢が少ない。マメの粒の形、色にこだわらない。

極早生・早生品種が多い。

大豆の品種の特徴

地域で、決められた品種と品質がある。草丈が高く、大粒が多い、収量がある。その分、1粒莢2粒莢が多い。

各用途(豆腐、納豆、煮豆、味噌)の複数の実需者に、加工しやすさや加工品の品質を求めている。マメの粒がきれい、丸い。

多収・晩生品種が多い。

枝豆の収穫適期

開花してから40日~50日経った頃に子実が膨らみ、ぷっくりして飛び出すように膨らむ頃が収穫の最適です。莢が黄色くなったら取り遅れです。

すべての豆が大きくなるのを待っていると、食べごろを逃して硬くなってしまいます。

全体の8割くらいがふくらんだタイミングで収穫するのがポイントです。

地域にもよりますが植え付けから大体80日~90日ぐらい(小袋に○○日と書いてある)が目安です。

枝豆の収穫期間は極端に短く、美味しく頂ける期間は約1週間~10日間程度しかありませんので、過熟(サヤが黄色になる)前に収穫するように気を付けなければいけません。

適期を過ぎると実は硬くなり、枝豆として品質が落ちていきます。

大豆の品種(エンレイ)ですが、枝豆としても非常においしいです。

2週間後↓

ここまで色づいてしまうと、もう枝豆として硬くて食べれません。

更に3週間後

莢が褐変し、莢が固く乾燥してきたので大豆として収穫します。

この後さらに乾燥(水分量13%)し、選別したものが大豆となります。

枝豆の旬は短い。美味しさの秘密

上の画像のように枝豆としての収穫適期は非常に短い

枝豆は非常に鮮度の落ちやすい野菜に分類されるため、気温の低い早朝に収穫します。そして予冷するなり、直売所へそのまま当日出荷販売しています。

枝豆の旬が短い、その理由とは?

鮮度が命の枝豆は、手際よくやらないと、味も落ちてしまうんだとか。

一体どれだけ鮮度が大事なのか実験データがありましたので。

呼吸をすると、ショ糖が消費されます。収穫すると新たにショ糖が作られなくなるため、ショ糖は減っていく一方になるわけです」。

収穫しても枝豆は呼吸をし、エネルギーであるショ糖を消費していきます。しかも、枝豆の呼吸量は他の野菜よりもはるかに多いんです。

だから、枝豆は鮮度が大事

えだまめ専用の品種は、収穫適期(しゅうかくてっき)が短く、収穫後はすぐに食味が落ちてしまいます。

その為、産地で消費され他県に出回らないことから、たくさんの地方品種があるようです。引用:所さんの目がテン!枝豆の化学

一 方、枝豆の品種によって、アミノ酸やショ糖の量はどれくらい違うのでしょう。

文献がありましたので引用します。山形県庄内地方のだだちゃ豆・秘伝豆・白山ダダチャはおいしい枝豆として有名です。

確かに旨味、甘味 、香りが 勝 りがすこぶる良いですね。

下の表、左下↓白山ダダチャをはじめ枝豆品種のショ糖、アミノ酸含有量の棒グラフです。

引用:生およびゆでエダマメの遊離アミノ酸および糖含量の品種間差異(山形大学農学部)

例えばショ糖含有量

ショ糖含有量アミノ酸含有量
白山ダダチャ豆は、30mg11mg
サッポロ緑は、10mg、7.5mg

品種によってこれだけ指標の数値として美味しさの差が出ています

つまり品種選びも大事という事です。

枝豆の育て方の7つのポイント

①枝豆の品種選び

品種は、黒豆・茶豆など豆の色、豆の毛、早中晩の作季、豆のさや数など品種は様々です。その中でもおススメは、「地域の在来種」です。

理由は、枝豆の品種で在来種が多いということは、「地域の美味しい在来の枝豆が残っているということ」地域の名前が入った在来種の多さも枝豆の特徴です。

枝豆は交配種はありません。どれも育成種です。

つまり、毎年その地域で種を保存する中で、草丈、収量、粒のそろい、食味、形、病気になっていないものを自然と選別し後世に残しているのです。

莢の粒の数も重要な品種選び

ところで、皆さんが食べている枝豆は、1莢に何粒入っていますか?

2粒か3粒莢になっていないでしょうか?

1粒莢も中にはありますが、枝豆としては規格外なので市場にはありません。

枝豆の品種を育成している時に、3粒莢が多い株を選んで更新していくことで、遺伝的に3粒莢の多い品種が出来上がります(選抜育種法)

つまり、枝豆を栽培しながら、種として優良な個体をその中から選んでいます。

その為、必然的に地域に見合った、根付いた品種が生まれている訳です。

近い将来、枝豆は4粒莢になっているかもしれません。

最も、早く色づいた豆を来年のタネとして更新すると、来年の収穫は早くなる。

最も、大粒の豆を来年のタネとして更新すると、来年は大粒になる

を繰り返していく内に、その様な枝豆になり、それが「地域の宝」となった

枝豆栽培で失敗する原因

枝豆が生えない。

見た目は元気なんだけど、莢が付かない。

すぐに莢がついて大きくならない。これらの原因は?

 

①品種の早晩性の間違いが原因

もし、早生種を6月に蒔いたら、草丈が伸びずに開花着莢して小さな株になって小さな枝豆しか取れません。日数は短くなります。

もし、晩生種を5月に蒔いたら、草丈ばかり大きくなっていつまでたっても開花着莢しません。日数は長くなります。

枝豆は、早生、中生、晩生があります。一般的に極早生(75日~)は短く、中性(90日~110日)晩生(120日~)と長くなります。

それだけではありません。

枝豆、一般に大豆は、温度や日長(日の長さ)に非常に敏感に左右されます。

5月上旬に早生種、中旬に中早生種、6月中旬に中生種、晩生種は7月初旬に種まきします。

②枝豆の連作障害について

枝豆は一度育てた畑で連続して育てると、連作障害が出やすい作物。

病害虫や雑草、土壌の環境が固定してしまってだんだん作りにくくなります。

上の表を見ると黄色い棒グラフが大豆、黄緑がトウモロコシで、連作の年数による収量の変化を表したものです。

3年目以降急激に収量が落ちているのが解ります。2〜3年程度間隔を上げて栽培するようにします。

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③枝豆の古い種を使わない、発芽しないリスク。

枝豆の種の寿命は2〜3年程度と短いです。

原因は、大豆に含まれる油が酸化してしまう事。枝豆は、短命種子といわれます。

特に、「だだちゃ豆」など、糖分の高いシワクチャな豆は、尚更です。種は毎年更新するか、購入してください。

④ツルボケ(青立ち)。

ツルボケとは、茎や葉っぱは元気に育っているのに、莢ができないで、いつまでたっても落葉しない状態の事。

ツルボケになる原因は、2つあります。

1つは肥料を上げすぎて土壌の窒素が増えすぎて莢ができなくて栄養成長してしまっていること。

2つ目は病害虫に莢が食べられて、莢ができずに育ってしまったこと。カメムシなどの害虫の被害です。

さやを吸汁されてしまうと、豆が実らなかったり、変形したり、ウイルス病になってしまいます。害虫を見つけ防除します。

タイミングは莢ができる前の開花の時期に害虫を見つけたら防除が必要です。

⑤枝豆栽培で、摘芯、断根、支柱立ては必要なのでしょうか?

答えは、晩生品種(丹波黒豆など)の大型で莢付きが遅い品種は支柱を立て摘芯し、株の生長を止め、枝豆の方へ養分を送るきっかけを与えます。

そうすることで、着莢が良くなります。

摘芯の手順

1つは本葉が5枚程度になったら摘心します。摘心とは、主茎から生える新しい本葉を切り取る方法です。

摘心は、収穫量を増やし、草丈を低くして倒伏することを防ぎます。

また枝の数を増やすことが、たくさんの収穫に繋がります。そのため、主茎の栄養をなるべく側枝にまわしてあげます。

もう1つは、種まき後、子葉が出て初生葉が若干伸びてきたころ、根を切り(断根)と初生葉を切り(摘心)、土に挿す栽培方法です。

枝豆の根は強いので、しばらくすると根が付き、子葉の間から2本の脇芽が出てきます。

こうすることで、丈夫な根がたくさん張り、2本の脇芽が莢を多くつけ一株の収量をあげます。

この枝豆の摘心の技術、私はいたしません。

しても苗床を作って、移植する程度です。それは枝豆の双葉が鳩の被害に遭いそうな時です。

手間とリスクを考えて選択するとよいと思います。

支柱立ての方法

そもそも枝豆は土寄せします。倒伏防止と発根促進のためです。

支柱を立てる必要があるのは、土寄せができないプランター栽培の場合と、「丹波大納言」のような背丈が100㎝以上にもなるような晩生品種に使います。

これも「丹波大納言黒豆」の枝豆は風味があって大変美味しいですが、超晩生なので10月中旬の時期ですから、趣味の範囲ですね。

⑥枝豆の肥料は最初の肥料(元肥)だけで十分。追肥はしない。

枝豆はマメ科の植物で、根に「根粒菌」がつきます。根粒菌は、根に住んでいて、空気中の窒素を固定し、栄養分を作り出す効果があります。
自ら栄養分を作ることができるので、追肥はしません。逆に肥料分が多いと、茎や葉っぱばかり伸びて豆が付きません。(青立ち現象)
元肥にするには、有機肥料を少し(10アール当たり5kg)程度です。

豆を引っこ抜いて根粒菌が無かったら、それは肥料のやり過ぎです。

⑦枝豆の栽培で重要なのは「土寄せ」です。

土寄せとは、畝の間を軽く耕して、株元(下葉が隠れる位)に土を寄せてすこし土をこんもりと盛ってあげます。

土寄せをすることで、倒伏を防ぎ、根の張りが良くなります。

また、雑草が生えてくるのを防いだり、酸素を根まで届けます。

草丈10cmのときと、20〜30cmになった2回行います。

花が咲くころには2回目の土寄せを終わらせてください。

⑧面積当たりの収量は豆の株数に左右されません。

つまり株間を狭くすると「粒が小さくなるが、数が取れます」

株間を広くすると「粒が大きくなり、数が少なくなります」

結果、収量は変わらない。

最近、大豆の密植栽培があり、収量をあげていると聞きます。しかし、倒伏、雑草などリスクも高い事。病害とか極端な密植なら影響してきますし、当然、豆同士が重なり合い個体が競争しあい茎葉の身長が助長され草丈が伸び結果倒伏します。賭け要素が高いかもしれません。

一般的な栽培間隔目安は、最終的に1~2粒×株間10㎝×条間60㎝です。

 

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