野菜作りの知恵【旧暦から学ぶ二十四節気・雑節を知る】①

野菜作りの知恵【旧暦から学ぶ二十四節気・雑節を知る】①

お正月に新しいカレンダーを掛ける時にふと思ったのですが、

「一粒万倍」「夏至」「〇」「●」などの言葉や記号がついていることに目が留まりました。

「〇」「一粒万倍日」とは一体何でしょう。「一粒万倍」と言うのは農事歴に出てくる言葉ですね。

最近は地球温暖化の影響で「5月なのに最高気温が30度」とか「1月なのに積雪が0㎝」異常気象が起こっています。

そう遠くない未来に季節感のずれを感じ、農事歴を見つめ直す日が来ているのかも知れません。

この記事では、旧暦と24節気について解説しています。先人たちは農書と呼ばれる月別の作業歴に沿って農業を行い、季節への関心が非常に高かったのです。つまり、四季の流れの中で作物と向かい合っていたのです。それが旧暦と農事歴です。こよみを参考に先人の知恵を学んでみましょう。

野菜作りの知恵

スーパーで買う野菜は、年中同じ野菜が並んでいます。本来、野菜には旬があり「適期適作」に栽培されたものが上質で安全な野菜を頂くためには旬・作り手の顔の見える方が良いという「スローフード」の考え方があります。

古人は、野菜の持つ力を十分に引き出せるように自然の営みを農事歴に残したのです。

現代人は、カロリーを気にし、燃料として食べ物を消費する生活に少なからず変化しています。

日本の旬、美味しいもの選択し、貯蔵、調理、見きわめるスキルをもう一度見直す時期なのではないでしょうか。

今回は旧暦と農事歴についてお話します。

冬至の日には「冬至南瓜」,冬の1月7日には「七草がゆ」を食べる風習が今も残っています。

これは、冬の間は風邪など体調を崩しやすので、その時期にあるビタミン野菜を食べることで体の抵抗力をつけ健康に過ごせます。

その書き記したものが農事歴の中にある「冬至南瓜」「七草がゆ」を書き記したのです。

つまり、カレンダーの隅っこに書いてある旧暦と農事歴は今も生きています。

健康に生きるため、自然に即した農業の知恵が「農事歴」に詰まっています。昔の農業技術は自然と対話し、合理的で効率良い生活が今の時代に必要なものではないでしょうか。

先人たちの知恵

農事歴とは

農事歴とは、「のうじごよみ・のうじれき」と読み、権力者が定めたものではなく、民衆がその土地の農事に合わせて絵などで示した民衆の「こよみ」です。

古人は季節や農に非常に関心が高いのです。

例えば「一粒万倍日」とは「大安」と並んでとても縁起の良い吉日です。

「一粒万倍」とは、一粒の籾(もみ)が万倍にも実る稲穂になるという意味で、一粒万倍日は何事を始めるにも良い日とされ、特に仕事始め、開店、種まき、お金を出すことに吉であるとされます。

但し、借金をしたり人から物を借りたりすることは苦労の種が万倍になるので凶とされます。

一粒万倍日は数が多いことから、他の暦注と重なる場合がある。その場合、吉日と重なったら一粒万倍日の効果が倍増し、凶日と重なったら半減するという。
*新しいことを始めるのに最適な日

仕事はじめ、開店、開業、お金を出す、納車、お財布を買う、お財布を使い始める、新しいものを買うなどに最適な日。

引用:Wikipedia

余談ですが、私が以前勤めていた種苗会社にも大きく「一粒万倍」と書かれた掛け軸があったことを思い出しました。

種屋が言うと「1粒を1万倍にして売れ!」って解釈しがちですが、私だけでしょうか(笑)

上司に確認した所、これは「種苗を携わる者は、常に時期・タイミングがとても重要。」と言う意味でした。

旧暦と新暦の関係

新暦とは

新暦とは現在採用されている暦のことを言います。したがって旧暦は現在の暦が使われる前まで採用されていた暦のことを言います。

今、私たちが使用している歴は「太陽暦」で新暦と呼ばれています。

これは太陽の動きを基にしたものです。

現在、日本ではグレゴリオ暦を使っています。

グレゴリオ暦=新暦西暦1582年・ローマ法王グレゴリオ13世

新暦に変わった理由とは

明治時代になって海外との交流が活発になり、国際基準に合わせる必要があったのが最大の理由です。

旧暦から新暦への改暦は、明治6年に施行されました。

旧暦とは

旧暦はグレゴリオ暦の前に使われていた天保暦となります。

旧暦は「太陰太陽歴」と呼ばれています。当然、旧暦は明治以前の歴です。

旧暦の1日は地球の自転を、1か月は、月の満ち欠けを単位としています。

太陽暦(新暦)と太陰太陽暦(旧暦)の違い

大きな違いは、旧暦は私たちの日常(新暦)よりも1か月ほどずれが生じています。

例えば新暦の2021年1月1日は、旧暦では2020年11月18日です。約1か月以上の誤差が生まれます。

旧暦は、地球の自転を目安にしています。1か月は、月の満ち欠けを単位としてます。

つまり、月の満月から月が欠け、再び満月になると1か月が終わります。これを12回重ねることによって1年が終わります。

これに対して新暦は、地球は太陽のまわりを回る地球の公転を単位とします。

1年=365.24日で太陽の周りを地球が1周します。

ちなみに、2015年の年央値では、地球が太陽の周りを回る周期は365.24218944日となっています。

これは地球から星の観測で求めることができます。近くにある恒星の見える方向が、1年を周期として変化します。

この地球の公転の証拠に現在私たちが使っている新暦になりました。

旧暦の月の満ち欠けの12か月は、354日あまりなので、太陽の1年より10日程短く、3年で1か月ほどのズレが生じます。

その為には調整が必要でそれが数年に1度の閏月(うるうつき)という年を設けて、1年に13か月と言う年を作り調整しました。

旧暦と月の満ち欠けについての記事月の満ち欠けと農業の関係【月の満ち欠けが植物の成長に関係している⁉】②もご覧ください。

昔の人々はのんびりですね。

カレンダーの日付けは、ほとんど必要なかったのでしょう。

昔の人々は、神社や村の年中行事をお寺や神社で教えてもらうことだけで十分だったのでしょうね。

旧暦の四季

旧暦の季節は明確に決まっています。

旧暦の四季の区分 【1~3月は春、4~6月は夏、7~9月は秋、10~12月は冬】

新暦の季節は、気象庁が天気予報をする際に用いている気象学上の月の区分にて、四季を定めています。

新暦の四季の区分 【3~5月は春、6~8月は夏、9~11月は秋、12~2月は冬】

旧暦の月の読み方

現在のように1月・2月・・・と数字で表すだけでなく各月には呼び名がありました。

  • 1月 睦月(むつき)お正月に親族が集まり中睦まじくする月
  • 2月 如月(きさらぎ)寒さから、衣類を重ね着する月
  • 3月 弥生(やよい)暖かくなり草木がいよいよ生い茂る月
  • 4月 卯月(うずき)卯の花が咲くころ、田畑に苗を植える月(植月)
  • 5月 皐月(さつき)早苗(さなえ)を植える月
  • 6月 水無月(みなづき)田んぼに水を引く月
  • 7月 文月(ふみづき・ふづき)七夕に歌や文を書く月
  • 8月 葉月(はづき)木々の葉が落ちる月
  • 9月 長月(ながつき)秋の夜長、夜がだんだん長くなる
  • 10月 神無月(かんなづき)日本各地の神様が出雲大社に集まるので、出雲地方では「神有月」その他の地域では神様がいなくなるので、神無月と言います。
  • 11月 霜月(しもつき)寒くなって霜が降りる月
  • 12月 師走(しわす)忙しくて師走も走り回る月

二十四節気・雑節

二十四節気とは

旧暦を見るうえで重要なのが「24節気」です。これは実際の季節と暦のずれを補うもので、農家が田植えや種まきするための季節の基準となります。

この二十四節気の考え方は今でも農作業の目安とされている例があり、秋まきほうれん草は、「白露」に種まきする農家がいます。

二十四節気は太陽の動きをもとにしています。太陽が移動する天球上の道を黄道といい、黄道を24等分したものが二十四節気です。

発症は中国なので日本とは少々ズレます。が耳にしたことがあるのではないでしょうか。

春】

立春  「雪から雨へと変わり、降り積もった雪も溶けだす頃という意味です。」

雨水  「雪から雨へと変わり、降り積もった雪も溶けだす頃という意味です。」

啓蟄  「大地が温まって、冬ごもりから目覚めた虫が、穴をひらいて顔を出す頃。「啓」はひらく、「蟄」は土の中にとじこもっていた虫(蛙や蛇)という意味です。」

春分  「昼夜の長さがほぼ同じになる日で、この日を境に陽が延びていきます。」

清明  「清明は「清浄明潔」の略で、万物がけがれなく清らかで生き生きしているという意味です。」

穀雨  「春の柔らかな雨に農作物がうるおうという意味です。」

【夏】

立夏  「この日から立秋の前日までが暦の上では夏となります。」

小満  「陽気がよくなり草木が成長して茂るという意味です。」

芒種  「「芒」とはイネ科植物の穂先にある毛のような部分のことで、稲などの穀物の種をまく時期という意味です。」

夏至  「北半球では、太陽が最も高く昇り、1年で最も昼が長い日です。」

小暑  「だんだん暑さが増していくという意味です。」

大暑  「夏の暑さが本格的になるという意味です。」

【秋】

立秋  「厳しい残暑は続きますが、この日から暦の上では秋となります。」

処暑  「夏の暑さがおさまるという意味です。」

白露  「秋が深まり、草花に朝露がつきはじめる頃という意味です。」

秋分  「昼夜の長さがほぼ同じになる日で、この日を境に日が短くなり、秋の夜長に向かいます。」

寒露  「草木に冷たい露が降りる頃という意味です。」

霜降  「早朝に霜が降りはじめる頃という意味です。」

【冬】

立冬  「この日から立春の前日までが暦の上では冬となります。」

小雪  「木々の葉が落ち、山には初雪が舞い始める頃です。」

大雪  「冷え込みもはげしく、寒さが最も厳しい頃。」

冬至  「太陽が最も低い位置にあり、1年で最も夜が長く、昼が短い日です。」

小寒  「池や川の氷も厚みを増し、寒さが厳しくなる頃です。」

大寒  「冷え込みもはげしく、寒さが最も厳しい頃。」

これらの言葉は季節と連動しています。ここでは詳しく掲載していません。

1例を挙げるなら、「雨水」は草木が萌え動くころで、着物の萌黄色はネギが萌え出る色からきているのでこの時期に着ます。

「啓蟄」は巣に閉じこもった虫などが外に出て、芋虫がモンシロチョウになる頃。そして「春の彼岸」。暑さ寒さも彼岸まで、畑の季節ですね。

春の訪れを牡丹餅でお祝いします。

因みに、春のお彼岸に食べる餅菓子はその姿が牡丹の花に似ているのでぼた餅。秋のお彼岸では餅のつぶつぶが萩の花に似ているので「おはぎ」と言います。

雑節とは

二十四節気の考え方を日本での季節の移り変わりをより的確につかむために、日本人の生活体験から生まれ、追加されたものが「雑節」です。

現代にはこちらの方が馴染み深いです。

節分   2月3日頃「立春」の前日。もともとは季節の節目をさし、「立夏」「立秋」「立冬」の前日も指していました。

彼岸   3月17日~3日頃。9月19日~25日頃。「春分」と「秋分」の前後3日ずつ、計7日間の事。初日を彼岸の入り、当日を中日、終日を明けと呼びます。

社日   1年に2回あります。「春分」と「秋分」に最も近い「戊の日」。春には五穀の種を備えて豊作を祈り、秋には収穫のお礼参りをする日です。

八十八夜 5月1日頃「立春」から数えて88日目。霜が降りることが少なくなる頃です。

入梅   6月10日頃。「夏至」を中心に約30~40日間梅雨期に入る。

半夏生  7月1日頃。「夏至」から数えて11日目。梅雨の終期にあたり、田植えを終える目安。

土用   最近では夏の土用を指すことが多いが、元は「立春」「立夏」「立秋」「立冬」の前18日間をいいます。最初の日は土用入り、最終日は節分。

二百十日 9月1日頃。「立春」から数えて210日目。稲の開花期に当たり、台風に警戒する頃。

二百二十日9月10日頃。「立春」から数えて220日目。二百十日と同様に台風に注意する頃。

旧正月は、旧暦の正月のこと。

中国からの観光客が圧倒的に増えてきた今の日本において、注目度が必然的に上昇しているのが「旧正月」です。

馴染みがない日本人にとっては不思議な感覚に陥ってしまうでしょう。

しかし、この旧正月を大切にしている中国・韓国・ベトナム・モンゴル・台湾・香港などでは当たり前となっていますので、これらの観光客を迎えている方々も当たり前のように受け入れられるようにした方が良いです。

2021年の旧暦1月1日は2月12日ですので、旧正月としてのお祝いがされるのは2月11日~17日と予想されています。

日本でもグレゴリオ暦に変更する前まではこの旧暦のお正月を今のお正月のようにしっかりとお祝いしていたのは事実ですが、

日本で旧正月を祝う風習は無くなっており、謎になっています。