この記事では、ネギ・玉ネギを例に種まきから育苗について、又「プラグトレーを使った育苗方法」を掲載しています。
プラグトレーという資材を使うことで、野菜の種を発芽から苗まで無駄なく確実に作ることができます。
プラグトレーの使い方とメリット
苗は土付き・適正な大きさが良い。
タネをバラ蒔きで育苗すると、移植する時に必要以上に根を切ったりいじってしまいます。
また根を触ることで成長が止まり、病原菌が浸入し生育不良や病気の発症が起こります。
また、立ち枯れが発生した場合、発生は広範囲になってしまいます。
プラグトレーを使うことで、これらの危険性をかなり低くすることが出来るのです。
注意することは、水管理位です。土の量が制限されて少ないので乾燥し易いのです。
一般的に「ネギ・玉ねぎ」は抜き苗を使い、売られています。土が無い状態でも日持ちしますから、流通し易い「抜き苗」として販売され、それを移植します。
しかし、この「抜き苗」の植え方次第で苗がさらに根を痛めているわけです。
当然、土付きが良いに決まっています。
ネギ・玉ネギの育苗の方法
ネギ苗作りの失敗とは、
「生えない。生えたけど消えてしまった。苗が途中で黄色くなってきた。生育が揃わないから少ししか作れなかった」などでしょう。
これは、苗床を畑で作り、タネをバラマキして育苗し、抜き苗として使うからです。大量に苗を使う場合には有効な手段です。しかし、ロスも多いし、天候に左右されやすいですね。
良いネギ苗を作る大切な管理方法
これらの事が「プラグトレーを使えば手軽にできます」ネギ・玉ねぎ苗は簡単に作る事ができます。
バラマキしたら発芽しない。その原因とは
ネギをバラマキして、苗を作った経験があるある方は、ご存じだと思いますが、バラマキした種が生えた後、生育に「ムラ」ができます。
全てのネギ苗が同じ生育をしません。大きいもの、小さい苗様々です。
バラマキの発芽不良の原因は、密植。生えすぎ!もしくは、丁寧にしているつもりでも雑になっている。
プラグトレーでは「発芽ムラ・肥料ムラ」起こりません。
ネギのタネを均等に蒔いているつもりが、意外と多くタネを撒いています。
土にどれだけ種が落ちているのか、目視できません。生えないといけないから、多めに蒔いていますし、種の量が余分に余ったりして全部まいちゃったり。
発芽したら、超密植。
ネギの発芽で密になるとどうなるのか。
光当たりが悪くなり、光合成が十分にできず、光の奪い合いがネギ同士で起こります。こうなると、光を求めて苗が上に伸びます。
また、ネギ同士が根を伸ばそうとしているのを抑え、自力で養水分を集める能力を制限してしまいます。
これは、ネギ同士が競争しあい株間の競合が起こっているのです。こうなると苗の大小ができ、さらにその大きさの差が開くと言えます。
結果、ばらつきます。
ネギの苗床で厚まきしない方法として、ネギと同じ大きさ、重さの培養土(もみ殻燻炭でも可能)に一旦混ぜてそれを撒く方法があります。土で薄める感じです。
しかし、この方法も感覚で蒔いてますからあてになりません。
ネギ苗に使用する最適なプラグトレーとは
ネギの苗が安定しない原因の一つは「密植」です。これを避けるためには「プラグトレーが最適です」
プラグトレーの使い方
プラグトレーの規格
プラグとは「クサビの意味。 小さい四角錐または円錐状に整形されたプラスチックでできた連結ポットの事。
プラグトレーのメリットは、
・等間隔に穴が開いている為光あたりが良い。発芽ムラなし。
・他の苗の根と干渉しない。肥料の奪いあいもない。肥料ムラなし。
・生育に合わせた大きさを選べる。良い根鉢を作れる
・草が生えてこない。病原菌がいない。
・苗を土付きのまま植えることができるので根が傷まない。畑に植えた時活着が良い。
50・72・128・200・288・406穴の色々なタイプ、深さも浅い物から深い物まで多種あります。プラグトレーの大きさはある程度決まっています。
約、縦30×横60㎝です。培養土は2~4リットル入ります。メーカーによって若干違いますが。
穴の数が少なくなると、穴の大きさが大きくなり、穴の数が多くなるほど穴の大きさが小さくなります。
レタス、白菜、キャベツ、ブロッコリーなど野菜は128穴~200穴がおススメ。
カボチャ、キュウリ、ナス、トマト、トウモロコシなどの比較的大きな種は、128穴がおススメ
ネギ・玉ねぎは288穴深型がおススメ
パンジー、ベゴニア、ペチュニアなどの細かいタネの花壇苗には、288穴浅型がおススメ
プラグトレーで、野菜や花を育苗し、それを畑やポリ鉢に植えるけるので、水管理や持ち運びに便利です。
外枠が一段下がっているものが良いと思います。持ち運びが良い。ただし割れやすい。
↓コチラのプラグトレーは、機械用なの割れにくく弾力があります。けど、グニャグニャして持ち運びがつらい。
↓使用する培土はコチラ
ネギ苗を作る土は、種まき専用の軽く目が細かい土、そのまま使える培土が良い。
市販されている「ネギ専用培土」「種まき培土」がおススメです。
ここではタキイセル培土TM-1を使います。
肥料は約2週間分位しかありませんので、タネが生えそろってきたら、液肥での追肥が必要です。
プラグトレーを使った育苗方法の手順
注意点はこの3つ
プラグトレーの端は潅水してもかかりにくく、また一株ごとに土が分かれているためムラが出易く、最初は使いにくいかもしれません。
市販の培土を使う事。
水やりの方法をマスターする事。
プラグトレーの選び方
プラグトレーを使うには、野菜の苗をどの程度の大きさまで育苗するのかによって、大きさを使い分けます。
例えば、かぼちゃ、キュウリなど、ウリ類であれば、発芽した時点で大きいので128穴の大きな穴の物を使います。本葉2~3枚まで育苗し、ポリ鉢9㎝の物に移植し管理します。
ネギやピーマンなど比較的苗が小さいもの、長期間栽培できるものは、288穴の小さい穴のものを使います
これは、野菜の種が発芽し、その苗の大きさに見合った大きさのトレーを使う。
また段階的に、鉢の大きさを変えることで丈夫な根を張ることができるのです。
プラグトレーに培養土を入れ種まき準備
①まず最初にプラグトレーに、培養土を詰めます。プラグトレーは下に穴が開いていますが、そのまま培養土を詰めて大丈夫です。
培養土が乾燥しすぎているとプラグトレーの下から培養土がこぼれますが気にしない。軽く土をかけ、棒などを使って平らにします。
手で土を押さえないようにしましょう。
②培養土の入ったプラグトレーに水をたっぷり与えます。水のムラが出ないようにします。
培養土は乾燥しているので水をはじくことがあります。
水をシャワー状にし、、蓮口じょうろでプラグトレー角をなぞるように水やりすると上手く行き渡ります。優しく何回もかけて下さい。
そうすることでプラグトレーの下まで水がいきわたります。
③プラグトレーの培養土に水がなじむまで少し放置します。培養土によりますが5分くらいです。
④その後、プラグトレーを10㎝程度持ち上げて、地面に落とし、土を締めます。そうすることで培養土が落ち、8分目位に培養土が沈みます。
これで、プラグトレーを使って種まきができる準備が整いました。
プラグトレーを使ったネギの種まき
ネギ・玉ねぎの「プラグトレー」の穴の数は、200~288穴の深型タイプを使用しましょう。
ネギの種まきから植えつけまで、育苗期間は大体50日間かかるといわれています。
ネギ(葱)・玉ねぎの種の発芽温度は15~25℃位です。寒い場合は、ビニルトンネルで保温しましょう。
コチラ↑は種まき、2月10日のネギ「ホワイトスター」画像です。
種まきはピンセットで1穴に1粒づつ播いていきます。心配ですが、2粒入れないように!
覆土は丁寧に
〇タネを撒きを土をかけます。
〇棒で培養土を丁寧に均します。
〇均すことで、均一な覆土になり発芽が揃います。
〇均しが済んだら、たっぷり水を灌水します。
ネギ類は苗が競争するので強い苗を選別することができるといわれたことがありましたが、今の種子は選別しなくても、きれいにそろいます。
ネギは湿気に弱い作物です。しかし発芽には水がたっぷり必要です。乾燥しないようにしっかり水を与えてください。
培土は「TM-1 タキイ種苗」です。ネギ苗専用培土もあります。そのような培土を使うと発芽が揃いますよ。
プラグトレーを使ったネギ・玉ねぎの育苗方法
コチラ↑は種まき後4日、2月14日のネギ「ホワイトスター」画像です。意外と早いですね。
因みにビニールトンネルで温床電熱線を張って暖かくしてあります。温度は最低温度を20℃に設定しました。
コチラ↑は種まき後9日、2月19日のネギ「ホワイトスター」画像です。
ネギが生えてきました。頭を「く」の字になって生えるのがネギの特徴です。土が軽いと黒いタネの殻がぶら下がっていますが問題ありません。
本当なら土の中で殻を落とすのですが、土が軽いため、そのまま上がってきます。
苗は5cm程度、針の様に細く小さいですね。
肥料も培養土に残っていますので必要はありません。
繰り返しますが、この↓状態でも水はきらさないように十分に注意しましょう。
温度は20℃位保ちましょう。日中は暑いので外気にならし、風を通すとよいでしょう。
コチラ↑は種まき後29日、3月10日のネギ「ホワイトスター」の画像です。
大きく太く色も濃くなってきました。10㎝程度でしょうか。中々大きくなんないです。後20日間でほんとうに植えれるのでしょうか?
↑この頃から、水を少しづつ減らしていきます。
ネギは乾燥には強いですが、湿気には弱い作物です。
湿気を防ぐ方法
プラグトレーの下に見にくいですが、苗箱をうら返しにしてネギ苗の下に置いてあります。
こうすることによって水が底面に溜まり、過剰にならないようにしています。また、根が下から伸びて広がらない、出ないようにしています。
液肥を散布します。
この時期になると培養土に入っていた肥料がなくなってくる頃です。
その為肥料を追加しないといけません。1週間に1回する。
粒の肥料を与えるとうまく肥料が行き渡らない為に苗にムラができる。そこでで液肥を使います。
液肥を規定量の倍率に薄めて、じょうろで苗の上から散布します。
ちょっと注意が必要です。ないと思いますが日の当たる日中に散布すると苗が肥料焼けを起こす可能性がありますので夕方、もしくは早朝に肥料を与えましょう。
液肥は速攻性がありますが、肥料がすぐに切れるので、7~10間隔で継続して行いましょう。
野菜や花、観葉植物など、なんにでも使える液肥もありますのでご参考にしてください。
因みにネギ苗に使用す場合、1000培に水で薄めてじょうろで土に撒いてください。朝夕の日射の弱い時間帯です。この時間帯なら少々ネギの葉っぱにかかっても葉焼けを起こさないので大丈夫です。
ネギ・玉ねぎ苗は葉切りでがっちり苗。
葉切りとは
ネギの葉先3分の1程度を切ることによって一時的に成長を止めます。
そうすると、葉が一旦成長を止め、その分根の張りが良くなって、葉が太ります。しっかりとした太い苗にしあがるという訳です。そのタイミングで追肥をしても良いですね。
ある程度大きくなり苗が伸びてきます。そうなると苗が倒れ出します。長さは十分ですが、根の張りと苗の太さが足りません。これでは、蒸れてネギ苗が痛みます。
葉切りは、プラグトレー斜めに持ち上げて、はさみで上の葉を5cm程度切っていきます。こうすることで苗の大きさもそろい、全体の光あたりも良くなります。
苗の大きさにもよりますが、2回ほど「葉切り」すると丈夫で太い苗が作れます。
コチラは↑4月3日のネギ20㎝位の草丈となりました。
確実に根がしっかり付く苗ができました。
プラグトレーから苗を取りだす方法
十分に水を与えてから取り出します。こうすることで、苗の土を崩さずきれいにとることができます。
乾燥していると、土が崩れて、根がむき出しの状態になります。せっかくプラグトレーで育てたので土を崩さないように慎重にしましょう。
プラグトレーの苗の土はしっかり根鉢ができています。手で苗をもって抜き取ることができます。畑にさして行くだけで、定植できます。
プラグトレーを使ったキュウリやナスなど苗は、育苗期間が短く根鉢が十分にない場合があります。
その時はプラグトレーの穴にピンセットを刺し、引き抜くことで苗を取ることができます。
また、下から割りばしなどで押し上げる方法もあります。
ピンセットを土にさして、少し挟むような感じで苗を持ち上げます。プラグトレイの土が乾いているとくずれますが、湿って根が張っていればその形のまま取り出すことができ、ポットへの移植が容易です。ピンセットで刺したときに多少根を傷めてしまいますが、問題なく移植できます。
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