ネギの苗つくりは簡単、押さえておくのは3つだけ【タネまき・発芽・育苗・管理】
- 2020.02.07
- ネギ・玉ネギ

失敗しない種まきの方法 「ネギ・玉ねぎ」です。ネギ玉ねぎがうまく発芽しない。生えても消えるとか。初めの頃に失敗することを良く耳にします。ネギ苗が売られていることを考えると苗づくりが難しいとか、失敗していることが多いのかもしれません。
ココでは、ネギの特性を説明し、ネギの苗の育て方・管理方法ついてポイントだけ詳しく掲載しています。要点を繰り返しますのでご了承ください。また、ネギ科の仲間、玉ねぎ・ニラにも同様の管理ができます。
もくじ
ネギの特性
〇ねぎはネギ科の多年生草本です。根、茎、葉に分けることができ、一番下のひげのような部分が根。そのすぐ上の部分が茎で「盤茎(茎盤)」と呼ばれます。ここが大事な部分。それ以外の上の部分、全体が葉です。一般的に葉っぱと呼ばれるところは「葉身」、その下が「葉鞘」、葉鞘が白い部分を「軟白」と呼びます。
〇ネギは寒さに強く、夏に弱い作物です。
夏はブルームをつけて暑さから身を守るので、白っぽくかすれた様になります。
また過湿に非常に弱いネギ苗は溶けます。
〇ある程度生育したネギが低温に遭遇して花芽を分化します。「ネギ坊主」です。
低温(7℃)などに当たると、植物は子孫を残すために種子の元となる花を作ります。早いものは5枚~晩抽性品種については11枚くらい。その後、温度が高かったり、窒素を吸ったりすることで花芽が生育します。
ネギの苗つくりは簡単、押さえておくのは3つだけ
実践!待ちにまった、種まき。
ネギの種まきの時期がやってきました。2月に入って私も種まきを始めます。今年は暖冬ですが、2月はまだまだ寒くとても畑で作業はできません。当然、苗床を作ることも然り。なので、電熱線で床を温めて、温度を一定に保ち、発芽させます。設定温度は20℃にしました。
ネギのポイントは下に記載しています。お時間ないときは「結論」までジャンプしてご覧ください。
種まきの方法は?
①288穴のプラグトレーに種まき専用「TM-1セル培養土(タキイ)」の土を詰めます。
*TM-1培土でなくても構いません。種まき用の市販の育苗培土を用いてください。
たっぷりと水をかけ、培養土に水が十分しみこむ迄、しつこく、何回も与えます。
土って一度乾くと意外と水を含みません。まず「土に水を限界まで含ませることが必ず必要」です。
購入培養土は、ほとんど乾燥していますのでこの作業「土壌水分の飽和」が必要です。
使う培養土はコチラ、プラグ専用培土(タキイセ、ル培土TM-1)、ネギ専用の培養土、市販の細かな培養土を使います。
なぜ、プラグトレーを使うのかは、ネギは生長するときに、ネギ同士が競争して、生育に「ばらつき」が出ます。
また、私の町の土壌は重粘土質の土壌なので、苗を作るのに気候が向いていないからです。
後、苗を作るのに有機肥料では効き目が穏やか過ぎて植える時期に間に合わない。
それならいっそ、ちょっと手間ですが、確実なプラグ苗を作りました。
絵に書いてあるようにプラグトレー専用培土です。土が細かくてとても使いやすいです。
しかし、肥料は入っていますが、長く持ちません。(プラグの土の中に含まれる肥料だけでは全然足りないです。)
何度も繰り返しますが、最初は水がしみこみにくいので注意してください。
移植して、ポットに移し替えるまでの土と思ってください。そのほか、ネギの専用培土もあるので検索してみてくださいね。
・トレーに土を詰めますが、上から培土をかけ、板で上を成らすようにまんべんなく詰めます。そして、たっぷり水をかけ落ち着かせます。
最初に育苗土にしっかり水をあげ、しみ込ませる。
土が落ち着いたら、プラグトレーを10㎝程度持ち上げて、手を放し、トントンと2~3回落とします。そうすると土が少し沈みます。
これは土がトレーの上まで土があるとタネを落とす時、穴を開けないといけない手間を、省いたものです。
均等に2割程度、土が沈むことで、タネの深さと後にかける土のスペースを確保します。
②ホワイトスター(タキイ)一粒づつ落とします。今回は機械でまいています。
穴が開いていて、そこにタネが掃除機の様に吸引、それをプラグトレーに落とすという仕組みです。
金属の上にタネがひっついているのがわかりますね。下にはプラグトレーがあり、その上にタネを置くような仕組みです。
たっぷりとしみこませたプラグトレーの上にタネがきちんと整列して乗りました。!(^^)!
③再び、培養土で土をかぶせ、水をかけます。(覆土)種まきの完成です。
ネギの発芽には暗闇を好みます。覆土をしっかりしましょう。
よくある失敗が、昨年「苗床でネギ苗作ったのだけど、全然生えんかったわ~種2袋も撒いたのに~」と話してきました。
「種が悪かったんかの~」って、バラマキして生えなかったって事があります。その場所を見ると、もみ殻が沢山上にのせてありました。
理由を聞けば、土をかけると重すぎて生えてこないのではないかと心配して、代わりに軽いもみ殻を用いたそうです。
この生えなかった原因として覆土が足りなかった、さらに乾燥してしまったことです。
少し慎重になってしまったんですね。土ともみ殻を混ぜて土をかけてやればよいとアドバイスしました。
よく聞けば、めっちゃ生える時と偏って生えるときが多いという事なので、たぶんそれが原因です。
④発芽がそろうまでは、土の表面が乾かないように、また、温度確保のためトンネル栽培に!
ネギの発芽適温は15~20度で、27℃以上で種子が夏眠し、発芽しなくなります。
条件が良ければ1週間程度で発芽します。
気温が低いとこれよりも日数が必要となりますが、逆に25度以上の高温になると発芽不良になりやすくなりますので注意してください。
発芽が揃うまでは、適湿状態を保ってやらないと、発芽ムラが生じたり、タネのカラと子葉が上がってきたりしてしまいます。
そのため、子葉が跳ね上がるまでは、
過湿にならない程度に適湿を保ちましょう。
補足です。、普通は1年で新しい種子を購入しましょう。つまり使い切りましょう。多くタネが入っているので余りますが、
ネギの種子の寿命は種子のなかでも短い品目です。状態が良ければ3年は持ちましたが、保存状態を確保するのは一般では難しいです。
芽が出てからの管理は?
タネを蒔くと、芽が出てきます。よく、双葉といいますが、ねぎは子葉がひとつだけです。
くの字に降り曲がって、黒いタネを地面に置きながら伸びてきます。
ハウス育苗の場合、2月までは透明マルチのベタ掛けで温度確保に努め、3月以降については、白い健苗シートのベタ掛けで、高温を抑えての管理とします。
この状態↑になったら、
発芽したら、今度は少しづつ乾燥気味に育てます。これからの育苗の段階でも同じです。
ネギは基本的に乾燥には強く過湿には弱い野菜です。
何度も繰り返してすいません。それだけ重要。
子葉が跳ね上がり、第1葉が上がってくれば、灌水は乾いたらやる程度に抑えます。
この時期にあまり過湿にしてしまうと、立枯病などで欠株になっていく危険性が高くなりますので、土の乾き具合を見ながら調整をしていきます。
追肥は、1か月後から1週間に1回、液肥を散布して肥料切れをおこさないように管理します。
また、培土の種類によっても排水性・保水性が異なりますし、表面は乾いているように見えても、下の方は過湿になっているケースもあります。そのため、よく観察をしながら灌水は行ってください。少し持ち上げてみるとわかります。
乾いているトレーは非常に軽いです。
最終的に、草丈15cm、太さ2~3mm、葉枚数2~3枚(子葉含む)を目安です。
植えつける苗の大きさは「割りばし割った太さ」
プラグで管理していても苗が伸びすぎてしまった。貧弱になる場合があります。この場合
「葉切り」で太くがっちり苗にします。
詳しくはネギ・玉ねぎ苗の育て方【プラグトレーの使い方】 コチラをご覧ください。
ここまでできればあとは、植えるだけです。
結論
ポイント① プラグでつくり、発芽の覆土はしっかりかぶせる。
ポイント② 発芽するまで絶対に水を切らさない。
ポイント③ 発芽したら水を控える。表面が乾いたら水やり。
夏のネギは硬く甘くないのはなぜ?
暑い時期のネギは「コワくて、おいしくないよ」って聞きますよね。コワい=固い「福井弁です」
ネギは暑さに非常に弱いのです。ネギの故郷は乾燥地帯です。乾燥地帯は夏が暑すぎるので冬眠します。冬眠ではなく「夏眠」ですね。玉ねぎ・ニンニクも同じ仲間なので玉ねぎを想像するとよいでしょう。
夏の暑い時期を前に玉ねぎを収穫します。そして乾燥して貯蔵するでしょ。ネギも同じ。
この時が「夏眠」状態です。そして、玉ねぎやニンニクは秋になると眠りから覚めて動き出します。
「ネギは自分のことをよく知っていますよね」私はまだ自分が良く分かっていないのに( ;∀;)
寝ているときは葉の付け根あたりにエネルギーを貯めます。
ねぎの茎のことを「盤茎(ばんけい)」といいます。ちなみに、ねぎの成長にとって、茎の部分がいちばん重要。
だからこの付け根がしっかりいていると「夏眠」後の生育が良くなるのです。
ねぎの苗がけっこう腐る!加湿に弱い?
ネギ苗(抜き苗)を購入した時って束になっていることが多いです。50本束とか、100本束。
「今日は天気が悪いから、明日植えよう」
ネギ苗を水を張ったバケツに根を水につけて貯蔵していませんか?
これって、苗が黄色くなって腐りませんか?
苗の保存方法が間違っています‼
販売店でもそうしている事があるのですが、これはネギ苗にとっては最悪ですね。できるだけ早く植えるのが良いのですが
新聞紙で根の部分だけ、包みくるんでおく程度で十分。日陰に広げる方が良い。
畑で抜いた時はしっかりしていいのですが、輸送中やお店に並べるときに傷みが出てしまうのは仕方無いです。
ただし、抜き苗の収穫した天気も影響しています。これはネギ苗生産農家が雨の降った日に苗を収穫して出荷した場合。
最悪!!苗は輸送中ほぼ腐ります。これは決して良い苗にはなりません。
私も段ボールで購入、開けたら葉っぱが黄色くなって、ネギの腐ったにおいがきつく使い物になりませんでした。クレームですね。
そう、最近の異常気象、ゲリラ豪雨などで、雨が降ると、ねぎが腐ってなくなってしまう。
過湿にはめっぽう弱い!!!マジ弱いです。
水が必要なのは発芽までです。
ネギの産地が関東を中心とした関東ロームの深い排水の良い土に多いのがその理由だと思います。
福井県の土は粘土質の湿田のジメジメした場所が多いので、ネギは白い所が少ない九条ネギが一般的に作られています。とってもあの白い部分が長い1本ネギは中々ハードルが高いです。
ネギは一本ネギ派、それとも青ネギ葉??
ネギの原産地は諸説あり、中国西部もしくは西シベリア南部のアルタイ地方との説が有力とされています。その頃から太ネギとも呼ばれる白ネギや、葉ネギ、太ネギと葉ネギの中間的なタイプの3つが作られていたようです。日本は日本書記に記録があるから結構古くから作られているんですね。
福井県の土の深さが15㎝位の水田がほとんどしかも粘土質ですから、下は石だらけのかぶせる土がもともと少ないのね。
ねぎの白いところは、冬ねぎだと普通30cmなければいけない、といわれます。場所によっては40cmというのもあります。
無理~~~土ない( ;∀;)でも本当に、今、30cmも必要なのか?
関西は湿度と土の量が少ない地域がら
だから、青ネギ(九条ネギ)や曲がりネギがを食べることが多いのかもしれませんね。
私的には、白いところは20 cm程度で、葉っぱの部分を食べてもいいのでは…、と考えています。それに九条ネギには、耐暑性が強く分けつしやすい細系の品種と、耐寒性が強く分けつしにくい太系の品種があります。薬味としてだけでなく、ネギ焼きなどの焼き物や、すき焼きや鍋料理、酢味噌和え(ぬた)などの和え物、お味噌汁など幅広く利用できる青ネギです。是非、作ってみてくださいね。
ネギは、白いところも葉っぱ。茎ではない。
ねぎの茎のことを「盤茎(ばんけい)」ねぎの成長にとって、繰り返しますが、この茎の部分がいちばん重要です。生育に影響し、ここが傷ついてしまったりすると、すぐに病気が入ります。
ねぎは、成長点に近い部分が最も甘い。ほうれん草の根っこの部分を食べるのと同じこと。やはり、成長点のあるところが、いちばん濃度が濃くなる。冬場、凍ってしまうと、成長点がやられてしまうので…ということは
根元に近い所が甘い(^_-)-☆
生き残るための色々な工夫が、野菜の甘さに影響するとは、「人間も苦労をした方が味がある人間になるのでしょうか?でもあまり苦労はしたくないですけど」
立場が違えばですね。(^^♪
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