失敗しない種まきの方法 「ネギ・玉ねぎ」編です。
「ネギ・玉ねぎがうまく発芽しない。」「芽が出てもいつの間にか消える」。初めの頃に失敗することを耳にします。
ネギ苗として市販していることも考えるとネギ苗づくりが難しい、失敗していることが多いのが理由の1つかもしれませんね。
ネギの特性を説明し、ネギの苗の育て方・管理方法ついてポイントだけ詳しく掲載しています。要点を繰り返しますがご了承ください。また、ネギ科の仲間、玉ねぎ・ニラにも同様の管理ができます。
ネギの苗つくりは簡単、押さえておくのは3つだけ
ネギの3つのポイントは下に記載しています。お時間が無いときは「苗づくり結論」までジャンプしてご覧ください。
【最重要】ネギ類の特性を理解しよう。
〇ネギはヒガンバナ科ネギ亜科ネギ属です。ニラ・ラッキョウ・玉ねぎ・ニンニク・分葱も同じ仲間です。
根、茎、葉に分けることができ、一番下のひげのような部分が根。
そのすぐ上の部分が茎で「盤茎(茎盤)」と呼ばれます。←ここがネギの大事な部分。
それ以外の上の部分、全体が葉です。一般的に葉っぱと呼ばれるところは「葉身」、その下が「葉鞘」、葉鞘が白い部分を「軟白」と分けて呼んでいます。
〇ネギは寒さに強く、夏に弱い作物です。
夏はブルームをつけて暑さから身を守るので、白っぽくかすれた葉になります。
また過湿に非常に弱いネギ苗は蒸れて溶けます(腐ります)。
〇ある程度生育したネギが低温に遭遇して花芽を分化します。いわゆる「ネギ坊主」です。
「ネギは低温(7℃)などに当たると、植物は子孫を残すために種子の元となる花を作ります。早いものは5枚~晩抽性品種については11枚くらい。その後、温度が高かったり、窒素を吸ったりすることで花芽が生育します。」
実践!待ちにまった、種まき。
ネギの種まきの時期がやってきました。2月に入って私も種まきを始めます。今年は暖冬ですが、2月はまだまだ寒くとても畑で作業はできません。
当然、苗床を作ることも然り。なので、電熱線で床を温めて、温度を一定に保ち、発芽させます。温床の設定温度は20℃にしました。
ネギの育苗管理する期間は、約50日間です。
ネギの種まき方法は
288穴のプラグトレーに種まき専用培土「TM-1セル培養土(タキイ種苗)」の土を詰めます。おススメです。
*TM-1培土でなくても構いません。種まき用の目の細かい市販の育苗培土を用いてください。ネギ専用培土もあります。
専用培土を使う理由は、雑草が生えない。使い方によって培土を選択できる。むらなく均一な発芽が期待できる事が理由です。
培土を使う時のポイント
培土はプラグに詰めたら、たっぷりと水をかけ、培養土に水が十分しみこむ迄、しつこく、何回も与えます。
培養土は、一度乾くと中々と水を含みません。まず「培土に水を限界まで含ませることが必ず必要」です。
購入培養土は、輸送の重量を軽くする・品質を維持する為、できるだけ乾燥していますので、水を含ませる「土壌水分の飽和」必要があります。
使う培養土は、プラグ専用培土(タキイ種苗 セル培土TM-1)、ネギ専用の培養土、市販の軽くて細かなバーミキュライト主体の種まき用の培養土を使います。
プラグトレーを使うメリット
なぜ、プラグトレーを使うの?
そもそもネギを抜き苗で扱うことができるのは、ネギは乾燥に強く、盤茎に養分を貯めているからです。ですが、地面から苗を抜く場合、根や茎を痛め、その養分を無駄に消費する必要はありません。
また、ネギは生長するときに、ネギ同士がくっついていると競争して、生育に優劣がつき「生育のばらつき」が出ます。
つまり、ネギ同士の根を隔離して作り、ネギの根を痛めないように植えつけできるので生育と活着が良い。
また、私の町の土壌は重粘土質の土壌なので、苗を作り抜き苗するのに気候が向いていないので、畑で苗を作りません。
作れるのですが、過湿によって消えることが多いし、移植しようとねぎ苗を掘り起こした時に、根が土から離れずにちぎれます。
後、苗を作るのに有機肥料だけでは効き目が穏やか過ぎて植える適期に間に合わないのも理由の一つ。
それなら確実なプラグで苗を作ります。
絵に書いてあるようにプラグトレー専用培土です。土が細かくてとても使いやすいです。
袋にプラグトレーに使える野菜の絵が描かれてあるのでわかりやすいですね。
肥料は培養土に入っていますが、長く持ちません。2週間程度まで(プラグの土の中に含まれる肥料だけでは全然足りないです。)
何度も繰り返しますが、最初は水がしみこみにくいので注意してください。
移植するのが前提です。畑・ポットに移し替えるまでの土と思ってください。そのほか、ネギの専用培土もあるので検索してみてくださいね。
種まきの手順
①ここで使うトレーは「288穴 深型 セルトレー」を使っています。
規格化されたセルトレー30㎝×60㎝の容器。で20㎜角で深さ40㎜のセルが横12個、縦24個あります。
・トレーに土を詰めますが、上から培土をかけ、板で上を成らすように均一にまんべんなく詰めます。
・たっぷり水をかけ落ち着かせます。数回に分けて、蓮口じょうろで水を与えるようにします。
最初に育苗土にたっぷり水を与え、十分しみ込ませる。
・土が落ち着いたら、プラグトレーを10㎝程度持ち上げて、手を放し、トントンと2~3回落とします。そうすると土が少し沈みます。
これは土がトレーの上まで土があるとタネを落とす時、穴を開けないといけない手間を、省いたものです。
均等に2割程度、土が沈むことで、タネの深さと後にかける土のスペースを確保します。
もし、十分に水が当たっていないと、土が浮き上がり、均一に土が入ってないところは、土が半分以上沈みますので注意してください。
②ネギのタネを「ホワイトスター(タキイ)」1粒づつ落とします。今回は機械で蒔いています。
機械の板に穴が開いていて、そこにタネが掃除機の様に吸引、それをプラグトレーに落とすという仕組みです。
金属の上にタネがひっついているのがわかりますね。下にはプラグトレーがあり、その上にタネを置くような仕組みです。
たっぷりとしみこませたプラグトレーの上にタネがきちんと整列して乗りました。!(^^)!
③再び、培養土で土をかぶせ、水をかけます。(覆土)種まきの完成です。
この覆土に使う培養土は同じものを使いますが、乾燥したものを使い、最初と同じ様に上から培土をかけ、板で上を成らすように均一にまんべんなく詰めます。
灌水も丁寧に特に、トレーの角の4隅が当たりにくいのでトレーの縁をなぞるように水やりすると良いでしょう。
ネギの発芽には暗闇を好みます。覆土(2~5㎜)をしっかりしましょう。
よくある失敗が、昨年「苗床でネギ苗作ったのだけど、全然生えんかったわ~種2袋も撒いたのに~」と話してきました。
「種が悪かったんかの~」って、バラマキして生えなかったって事があります。その場所を見ると、もみ殻が沢山上にのせてありました。
理由を聞けば、土をかけると重すぎて生えてこないのではないかと心配して、代わりに軽いもみ殻を用いたそうです。
この生えなかった原因として光が当たると上手く発芽しません。覆土が足りなかった、さらに乾燥してしまったことです。
少し慎重になってしまったんですね。土ともみ殻を混ぜて土をかけてやればよいとアドバイスしました。
よく聞けば、めっちゃ生える時と偏って生えるときが多いという事なので、たぶん覆土のバラツキ。それが原因です。
ネギの育苗管理
④ネギの発芽がそろうまでは、土の表面を必ず乾かないようにします。また、気温の低い時期は温度確保のためトンネル栽培に!
プラグトレーの底面に、育苗箱・防草シート・ブルーシートを張った地面に置きましょう。また、苗箱を少し浮かして管理しても良い。
シートを張ることで、セルトレーの中に根が張ることになります。土に密着させてしまうとプラグトレーの底面の穴から根を張って、根鉢ができにくくなりますので注意してください。
給水時は、セルトレイの底穴から水を与える事で、むらなく全体に水がしみこみます。また、底面から給水して育苗することにより、約50日で根鉢が形成され、かつ生育のそろった苗ができます(図1)。
条件が良ければ1週間程度で発芽します。家庭菜園であれば、4月末~5月初旬の日当たりの良い玄関先の温度で十分。
新聞紙などをかけて保温する必要はありません。逆に過湿になり過ぎて間延びぢたり腐るかもしれません。
気温が低いとこれよりも日数が必要となりますが、逆に25度以上の高温になると発芽不良になりやすくなりますので注意してください。
発芽が揃うまでは、適湿状態を保ってやらないと、発芽ムラが生じたり、タネのカラと子葉が上がってきたりしてしまいます。
そのため、子葉が跳ね上がるまでは、
過湿にならない程度に適湿を保ちましょう。
補足です。、普通は1年で新しい種子を購入しましょう。つまり使い切りましょう。多くタネが入っているので余りますが、
ネギの種子の寿命は種子のなかでも短い品目です。状態が良ければ3年は持ちましたが、保存状態を確保するのは一般では難しいです。
ネギの芽が出てからの管理は?
タネを蒔くと、芽が出てきます。よく、双葉といいますが、ねぎは子葉がひとつだけです。
ネギの発芽は、くの字に降り曲がって、黒いタネを地面に置きながら伸びてきます。
ハウス育苗の場合、2月までは透明マルチのベタ掛けで温度確保に努め、3月以降については、白い健苗シートのベタ掛けで、高温を抑えての管理とします。
この状態↑になったら、
発芽したら、今度は少しづつ乾燥気味に育てます。これからの育苗の段階でも同じで乾燥気味に管理します。
ネギは基本的に乾燥には強く過湿には弱い野菜です。徐々に乾かし、乾燥に馴らしていきます。
何度も繰り返してすいません。それだけ重要。
子葉が跳ね上がり、第1葉が上がってくれば、灌水は1日~2日に1回程度、乾いたらやるにします。
この時期にあまり過湿にしてしまうと、立枯病などで欠株になっていく危険性が高くなりますので、土の乾き具合を見ながら調整をしていきます。
追肥は、発芽して2週間後から1週間に1回、液肥を散布して肥料切れをおこさないように管理します。
また、培土の種類によっても排水性・保水性が異なりますし、表面は乾いているように見えても、下の方は過湿になっているケースもあります。
その為、よく観察をしながら灌水は行ってください。少し持ち上げてみるとわかります。
乾いているトレーは軽いです。
ネギ苗の適正な大きさは、草丈15cm、太さ3~5mm、葉枚数2~3枚(子葉含む)を目安です。
苗の大きさは「割りばし割った太さ」
プラグで管理していても苗が伸びすぎてしまった。貧弱になる場合があります。この場合
「葉切り」で太くがっちり苗にします。
ネギの葉切りとは、ネギ苗をそのまま育てるとネギの葉が伸びますが、十分な太さが得られません。そこで、ネギの葉を3分の1程度ハサミでカットします。そうすることでネギの苗が太く、根が張ります。これを2回するとがっちり苗に仕上がります。
葉切りした後は、液肥を与えておくと良いでしょう。
↑の画像は1回だけ「葉切り」した苗です。
玉ねぎ苗も同じように作ります。
ここまでできればあとは、葉をつまんで引き抜き、ネギを畑に植えるだけです。
結論
ポイント① プラグで1粒づつ播き、発芽の覆土はしっかりかぶせる。
ポイント② 発芽するまで絶対に水を切らさない。
ポイント③ 発芽したら水を控える。表面が乾いたら水やり。
夏のネギは硬く甘くないのはなぜ?
暑い時期のネギは「コワくて、おいしくないよ」って聞きますよね。コワい=固い「福井弁です」
ネギは暑さに非常に弱いのです。ネギの故郷は乾燥地帯です。乾燥地帯の夏が暑すぎるので冬眠します。冬眠ではなく「夏眠」ですね。
ネギは夏を嫌います。乾燥と暑さに耐えるために、「休眠」するのです。玉ねぎ・ニンニクも同じ仲間なのでねぎを想像するとよいでしょう。
つまり、成長を止めた仮死状態です。成長を冬の寒さから身を守るための防御には甘くなりますが、仮死状態は、呼吸の為、ただ養分を消費している状態なので美味しくないですね。
夏の暑い時期を前に玉ねぎは収穫します。休眠した玉ねぎを乾燥して貯蔵するでしょ。ネギも同じ。
この時が「夏眠」状態です。そして、玉ねぎやニンニクは秋になると眠りから覚めて動き出します。
「ネギは自分のことをよく知っていますよね」私はまだ自分が良く分かっていないのに( ;∀;)
寝ている「休眠状態」時は葉の付け根あたりが一番エネルギーを貯めます。
ねぎの茎のことを「盤茎(ばんけい)」といいます。ちなみに、ねぎの成長にとって、茎の部分がいちばん重要。
つまり、この付け根が充実しているネギは夏眠後の生育が良くなるのです。
ねぎの苗がけっこう腐る!加湿に弱い?
ネギの抜き苗の保存の仕方
また、ネギ苗(抜き苗)を購入した時って束になっていることが多いです。50本束とか、100本束。
「今日は天気が悪いから、明日植えよう」
ネギ苗を水を張ったバケツに根を水につけて貯蔵していませんか?
苗が黄色くなって腐りませんか?
また、ネギ苗は、葉の部分を切った状態で売られていることがあります。黄色くなったり、腐ったりするのを防ぐためにしています。
苗の保存方法が間違っています‼苗がムレにより腐ってきます。
販売店でもそうしている事があるのですが、これはネギ苗にとっては最悪ですね。できるだけ早く植えるのが良いのですが
新聞紙で根の部分だけ包み、くるんでおく程度で十分。日陰に広げる方が良い。
勿論、畑でネギ苗を抜く時は、水にぬらさない事。雨の日には取らない。
畑で抜いた時はしっかりしていいのですが、輸送中やお店に並べるときに傷みが出てしまうのは仕方無いです。
ただし、抜き苗の収穫した天気も影響しています。これはネギ苗生産農家が雨の降った日に苗を収穫して出荷した場合。
最悪!!苗は輸送中ほぼ腐ります。これは決して良い苗にはなりません。
私も段ボールで購入、開けたら葉っぱが黄色くなって、ネギの腐ったにおいがきつく使い物になりませんでした。クレームですね。
そう、最近の異常気象、ゲリラ豪雨などで、雨が降ると、ねぎが腐ってなくなってしまう。
過湿にはめっぽう弱い!!!マジ弱いです。
水が必要なのは発芽まで、苗を抜く時、植える時は晴天の日。
ネギの産地が関東を中心とした関東ロームの深い排水の良い土に多いのがその理由だと思います。
植えた時は、必ず水を与えますが。根を土と密着させる為、さっと水が抜けるようにしてください。
福井県の土は粘土質の湿田のジメジメした場所が多いので、ネギは白い所が少ない九条ネギが一般的に作られています。とってもあの白い部分が長い1本ネギは中々ハードルが高いです。
ネギは一本ネギ派、それとも青ネギ葉?
ネギの原産地は諸説あり、中国西部もしくは西シベリア南部のアルタイ地方との説が有力とされています。
その頃から太ネギとも呼ばれる白ネギや、葉ネギ、太ネギと葉ネギの中間的なタイプの3つが作られていたようです。
日本は日本書記に記録があるから結構古くから作られているんですね。
福井県の土の深さが15㎝位の水田がほとんどしかも粘土質ですから、下は石だらけのかぶせる土がもともと少ないのね。
ねぎの白いところは、冬ねぎだと普通30cmなければいけない、といわれます。場所によっては40cmというのもあります。
無理~~~土ない( ;∀;)でも本当に、今、30cmも必要なのか?
関西は湿度と土の量が少ない地域がらだから、青ネギ(九条ネギ)や曲がりネギがを食べることが多いのかもしれませんね。
私的には、白いところは20 cm程度で、葉っぱの部分を食べてもおいしい葉ネギ派です。
それに九条ネギには、耐暑性が強く分けつしやすい細系の品種と、耐寒性が強く分けつしにくい太系の品種があります。
薬味としてだけでなく、ネギ焼きなどの焼き物や、すき焼きや鍋料理、酢味噌和え(ぬた)などの和え物、お味噌汁など幅広く利用できる青ネギです。
柔らかく甘くて風味豊かなので是非、作ってみてくださいね。
ネギは、白いところも葉っぱ。茎ではない。
ねぎの茎のことを「盤茎(ばんけい)」ねぎの成長にとって、繰り返しますが、この茎の部分がいちばん重要です。生育に影響し、ここが傷ついてしまったりすると、すぐに病気が入ります。
ねぎは、成長点に近い部分が最も甘い。ほうれん草の根っこの部分を食べるのと同じこと。やはり、成長点のあるところが、いちばん濃度が濃くなる。冬場、凍ってしまうと、成長点がやられてしまうので…ということは
根元に近い所が甘い(^_-)-☆
生き残るための色々な工夫が、野菜の甘さに影響するとは、「人間も苦労をした方が味がある人間になるのでしょうか?でもあまり苦労はしたくないですけど」
立場が違えばですね。(^^♪
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