野菜の構造をがわかるととっても楽しいです。生育の変化が現れる前に、植物の気持ちを汲み取って、天候を予測して、農作業する。
「野菜作りは楽しいよ」 野菜の仕組みをもっと知れば楽しくなるはず。
植物も自然の摂理に沿って考えて育つ、その姿がいとおしく感じます。
ナスの育て方「先ず花を見るべし。」
ナスの受粉(花)の仕組み。
生育診断する上で重要なのは、ナスの花を見ます。
植物は自然に受粉します。風やハチによって花粉がめしべについて受粉して実がなるって、小学校の理科の授業で習った記憶がありますよね。
ナスはナス科植物で、同じ仲間にトマト、ピーマン、ジャガイモなどがあります。少し花の仕組みに違いがあるトマトと比べながらナスはどのように受粉しているのか見てみましょう。
ナスの花は人工受粉が必要なの?
結論を言えばナスは、トマト同様に勝手に自分で受粉します。(自家受粉)人工的に受粉する(ホルモン処理)という方法もあります。人工受粉は、ビニルハウスなどの外と隔離された環境では必要になります。これは受粉に必要な環境(虫・風)にさらされないからです。
ですが、ナス栽培で家庭菜園で受粉はあまり気にしないでもいいかもしれません。
外の畑では受粉しなかったからナスがならなくなったということはあまり聞いたことがありません。
花が咲いてもナスがならなかった原因は他にあるようです。
構造的にはナスは自家受粉します。(植物の同一の個体のなかで受粉の起ることをいいます。)
つまり、ナスも1つの花の中に雄しべと雌しべがあって、受粉が起こります。
1つの両性花のなかで受粉が起る同花受粉です。
対義語として他花受粉があります。(例えば、かぼちゃやスイカ、きゅうりとかね。おしべとめしべが別々の花の植物です。)
自家受粉するメリットとしては他家受粉と比べて、受粉の成功率が高いです。
デメリットとして他家受粉と比べて、遺伝的多様性の面で不利という短所があります。遺伝的に弱いのです。
市販されているナスの種子はF1とか交配種ですよね。あれは無理やり、他の品種のナスと受粉させて生育の良い強い品種を作ります(雑種強勢)。
自家受粉を積極的に採用する植物は、独特の受粉システムを備えていますので、同じナス科でナスとトマトも若干の違いがあります。
ナスの花の構造と受粉のしくみ
ナスの花が咲いて、ナスがなります。当たり前ですね。笑。上の画像のように紫の花が咲いています。傘のような黒い部分がヘタ「ガク片」です。
ナスの花は白や紫で下を向いて咲きます。
下の図は、ナスの花の画像です。では一体どこがおしべとめしべでしょう。
実は、紫色の花(花弁)の中にある突起のようなものが並んでいるのが葯(おしべ)です。おしべの内側に「花粉」その中心に花柱(めしべ)があります。
ほんと形は同じナス科のトマトやジャガイモとよく似てます。
ナスの花の模式図
ナスはどのように受粉しているのでしょう。
花が咲いてくると花粉の筒の中を通り抜けるように、最初は小さく隠れていた「めしべ」が伸びてきます。
詳しくは「花柱が伸びて、花頭が上にせり上がります」。その後、黄色い葯(ヤク)先端にある穴から花粉が落ちてきます。
めしべが大きく伸びた先端の柱頭(ちゅうとう)に上から落ちてきた花粉がつく。
その時に受粉する仕組みです。
分かり易いように下の図を掲載しておきます。
ナスの花から花粉がパラパラと落ちている様です。確かに、ナスの花は下に咲きます。上に咲いたのでは花粉が落ちないからなんですね。
「パラパラ」花粉が落ちていきます
下を向いて花粉がパラパラ落ちて、受粉です。
受粉のタイミング
ナスの花の寿命は開花から4日間といわれ、そのまま開花し、夜間も咲き続けています。
受粉の時間帯は朝7時~10時までが良いとされていますが、曇天だと午後も受粉しているといいます。
開花後4~5日はあまり果実は肥大せず、その後急激にナスは大きくなります。
初めは縦にのび、ついで横に太くなっていきます。
このような花の受粉はうまくいくでしょうか。
花柱が短い様に思えませんか?葯の先端から花粉が落ちるのになんだか長さが足りないような?
そうですね。花粉がかからないですね。
ナスの生育診断
ナスの生育診断は、とっても簡単です。収穫しながら生育診断できるようになりますので是非覚えておいてください。
花の大きさとめしべの長さを確認しよう。
左側の花(短花柱花)が肥料不足の花。右側の花(長花柱花)が肥料が十分な健全な花です。
開花直後の花の形状で肥料切れを早期に発見することができます。
明らかに花の大きさが違います(笑)
花の大きさではなく、花柱の長さを見ます。右側の花柱は短く、左側の花は花柱が長いのがわかります。
先ほどの花は短花柱花です。肥料不足によってナス自身が実をつけにくくしているのです。ナス実がなるとナスの株に大きな負担がかかるからね。
花の上の部分の枝の張りも見よう
左側の花(中花柱花)が栄養状態が低下し始めた時期に分化・発育しています。開花位置より上に2~3枚の葉が展開しています。
右側の花(長花柱花)で栄養状態がよい健全な状態に分化・発育したもので開花位置より上に4~5枚の展開葉があるのがわかります。その上につく花の数も違いますね。
また、生長している上の方の葉っぱが下の葉に比べ、紫がかった葉も栄養状態が良いと言えます。
ナスを切り戻ししなくても成長が止まっている状態が栄養不足となっている証拠です。
ナスの規則性について
葉序とは
植物の規則性のことで葉っぱの枚数とか花の位置などにナス独特の法則があります。
陸上植物の葉は一定の規則性をもって茎に対して配列しており、この配列様式のことを葉序 (phyllotaxis) という。互生葉序 (alternate phyllotaxis)茎の1節に1個の葉がつくことを互生 (alternate) といい、その葉序を互生葉序といいます。
もし葉序が乱れるとどうなる。
この葉序の法則が乱れる(規則性とは違う形になる)事があります。これは、着果習性が崩れると何かしらナスの生育に問題があるって事になるんだよね。
例えば光が足りないとか、温度や水が足りない、虫に根がかじられているなどを訴えています。
そうなるとナスが自分で「ナスがまだ葉が必要だ、光合成が足りない。花が咲いたけど、養分が足りなくて実を落とそう。」
そう言っている。
だからこのサインを見逃さないようにしましょう。
ナスの葉の秩序は
具体的にナスは本葉8~9枚の節間の次に第1花を咲かせます。
以後2枚の葉ごとに順次花を咲かせて生育していきます。
第1花の下の葉の付け根から出る脇芽(側枝)からさらに第2果、第3果と次の側枝が発生して、それぞれ2葉ごとに花芽が付きます。
トマトとよく似ていますね。
ナスの収穫までの期間は時期によりますが受粉後2~3週間(約26日)で収穫です。ナスの種は20日目から実の中にできてきますので種が嫌なら早めに収穫することをお勧めします。
ナスの葉は大きく「さぶとん葉」を作ろう。
私の手の長さは大体20㎝です。それがすっぽり隠れるくらいの30㎝以上「ざぶとん葉」このような大きな葉を作るのが理想です。
このような状態で最後まで育てることが理想です。追肥は、粒の有機肥料で結構です。畝の外側に施すとよいでしょう。
株元でも構いませんが、窒素ばかりが効いて見た状生育がよく即効性がありますが、長く収穫するにはナスの株から30㎝以上はなれた畝の外側に施した方が良い結果につながります。
肥料をやるだけでなく、整枝や「切り戻し」することによって、花や果実の方に沢山栄養を行き渡らせるようにするとツヤツヤの重たいナスが収穫できるのでナスがどのような状態なのか診断して、大事に長く沢山収穫しましょうね。
ナス栽培の参考になれば幸いです。
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