中玉(ミディ)トマトの作られた理由。【品種改良とうまいトマト】

中玉(ミディ)トマトの作られた理由。【品種改良とうまいトマト】

私の園芸好きのきっかけを作ってくださったのは、1人の大学の先生が作った中玉トマト「越のルビー」の開発者です。

「越のルビー」は大玉トマトとミニトマトの中間の大きさである「ミディトマト」の一種です。一般的なトマトに比べてとても甘く(糖度7度)、ほどよい酸味が美味しい越のルビーは県内でも絶大な人気!

福井県内で生産される ミディトマトのブランド名です。 このブランド名のもととなっている品種 「越のルビー」は、福井県立短期大学(現福井県立大学)で19992年育成されました。 果実が鮮やかな紅色であることから、福井県出身の芥川賞作家津村節子さんが命名され、平成4年に 品種登録されました。

その当時は、中玉トマトはまだまだメジャーなトマトではありませんでした。他にもすごい品種が開発されていますが、メジャー中玉トマトの品種と言えば「華クイン」「華小町」と言った贈答用のフルーツトマトと言えます。

福井県にある「福井シード株式会社」が組織培養技術を用いて生産販売し、中玉トマト「華クイン」「華小町」など姉妹品種を作っています。「越のルビー」をはじめ、「華クイン」等の品種は組織培養と言う手法により増殖販売されています。

組織培養とは植物の細胞には分化全能性(細胞があらゆる細胞にかわることができる)、つまり完全な個体を形成できる能力をいうが備わっているため、個体を増殖するための大量増殖です。

簡単にいえば通常の挿し木や株分けに近いです。

トマトに求められたおいしさとは何?

野菜の代表であると言いても良いトマト。あなたはどんなトマトが食べたいですか?

おいしいってどんな?大きい・小さい?私は甘い・青臭い・酸味がちょうどよい・食べやすい・実がしっかりしている・皮が柔らかい・調理しやすい。私は見た目が良い。彩が良い・鮮やか。私は大きくて。価格が安い。高級フルーツトマト。

様々ですね。(;^ω^)

トマトは好みが個人によって意見が分かれる野菜。現在、品種改良され種苗登録されたトマト品種は306件(農林水産省データベース)です。では育種者(ブリーダー)はどんなものを目指していたのでしょう。

その一部をご紹介します。トマトの美味しい見分け方とかありますが、品種は?どのような作り方していたの?新鮮?まずそこを見るべきなんです。

中玉(ミディ)トマトの誕生秘話。

開発きっかけは子供のお弁当

お弁当にトマトが入っていて思うこと有りませんか?

「切ったトマトがベチャベチャして、汁が他のおかずにうつってる~」

「ミニトマトが転がるし、1個ではさみしい。皮が残って上あごにくっつく。」

って

それを聞いたトマトの開発者は

お弁当に合うサイズのトマト・皮がうすくて、甘い。食べやすい品種をつくろう!

このような発想だったんです。

大玉トマトにストレスをかけて水分を絞った栽培で、甘い高糖度のトマトがありそれで良くない?でも全然違うものだと考えます。だってトマトを凝縮させたのでコストがかかり高級品ですよ。3000円とかするし~。こどものお弁当に入れますか? ミニトマトです。しかもコロコロ転がってお弁当の中ので散乱してました。フルーツトマト!我が家は絶対ありません。笑・・

たれが、どこで、どんなふうに食べるのか考えて品種改良されているわけですが…

このような発想っていいですよね。

消費者の事、子供のことを考えた品種改良です。伝統野菜も後世に伝えたい思いで残ってきたんだと思います。

中玉(ミディ)トマトの育種方法

組み合わせは、大きいトマトとミニトマトを掛け合わせて中くらいの40gの交配種が基になっています。

かけ合わせた品種が目的となる物であったなら、良いのですがそんなトマト、中々で出会うことができません。まず無理です。

そもそも基になる原種トマトが無いし、素材となるタネの保存の固定化を行っていきます。つまり選別です「1株づつ、大きさ、糖度、食べて食味、皮の厚さを計って良いものを選んで」

また、そのタネを蒔いてその繰り返しで10年はかかると言われています。

それだけ育種って地味で大変なのです。

そこで着目したのが組織培養です。

1株だけ「優良個体」見つけることができれば、組織培養なら増殖可能ということ。

その原型となる中玉品種「○○ちゃん」(福種株式会社)の以前から作られていました。

このハイブリット品種の育種の第2・第3世代の種子は品種の分化が起こります。

この中から優良な個体を探し、組織培養によって増殖していく。

そして組織培養の中玉トマト「越のルビー」が誕生したのです。

組織培養なので当然、固定化してません。つまり苗でしか販売できません。そのタネを蒔いても同じものが取れないということですね。

ざっくりと簡単に説明しました。

トマトのおいしさを決める3つの条件

①作り方 私は農家ができる大事なことは生産・プロセスの健全性を訴えています。

②品種  品種改良ができることは植物自体を人間の好みに変えたトマトです。

③技術  農業技術ができることは農家と品種を最大化します。

この3つが重要で、各役割がはっきりしてくる時代だと思っています。

①作り方の例

(○○農法・○○認証・○○栽培・IPM技術)

簡単に言えば有機農産物や、地域認証制度、自然農法、○○菌栽培等です。自然に近い栽培をすることで健全な農産物をつくり、消費者に選んでいただく作り方です。このような栽培は信頼、安全が求められてトレーサビリティ(生産履歴)重視ですね。

私は直売所をメインにしていますので、美味しさと品質重視の「桃太郎ファイト」です。栽培も一般的なハウス夏秋栽培でオーソドックスしかできません。プロがみればトマトに現れますから、手抜きはばれますって。そんな時代ではありませんので、JGAP認証農場として健全な農業者としての作業工程管理も重要な要素です。

作り方についてはコチラの記事をご覧ください。

大玉トマトを長く栽培する方法とは【摘果と日射】

トマトを育てるのがもっと楽しくなる方法。受粉と着果の仕組みをわかりやすく解説 【トマト栽培】

トマトの育て方。花が咲いたら、まずコレしましょ。【芽かきと肥料・水の管理】

②品種の例

(1年中トマトがあるのはなぜ?目的の品種を作ろう)

日本で一番有名なトマトといえば「桃太郎」ですよね。1985年に「発売」されてから45年。今では25種類以上の桃太郎シリーズが開発されて大玉トマトの代表に君臨しています。すごい品種ですね。しってましたか?

桃太郎は完熟してから出荷してもトマトが痛まない品種が完熟できるを目指し、消費者の心をつかみました。さまざまな時期や消費者や農業者の要望に応えてきました。

「桃太郎」シリーズでは、完熟トマトでしたが、長いロングセラーになるためには、1年中作れるということで、春用、夏用、秋冬用と様々なタイプができたんですね。トマトは必要とさるその目的によって大きくかわり、育種している研究者(ブリーダー)の方向性や好みで、まったく別者のようになるのです。

農家が求めるトマトの品種をつくろう

栽培しやすい(手間がかからない)。病害虫に強い品種(抵抗性がある)。規格がそろっている(ロスが少ない)。収量がある(収穫期間が長く続けられる)市場性がある。日持ちしやすい。品質が安定している。単価が高い。

消費者が求めるトマトの品種をつくろう

おいしい品種(甘い・青臭い・酸味がちょうどよい・食べやすい・実がしっかりしている・皮が柔らかい・調理しやすい。)見た目が良い(彩が良い・鮮やか)。用途に応じた大きさ。価格が安い。

完熟トマト‘桃太郎’系品種の育種と普及 住田 敦・加屋隆士 *・畠中 誠タキイ種苗(株)・研究農場

③技術の例

(水耕・溶液土・自動灌水・自動空調)

かなり昔(1,985年)になりますが、つくば科学万博で「1株から12,000個のトマトがなる木」って話題となりました。ハイポニカという肥料会社が作りだしたもの。肥料はもちろん環境、土に至るまで徹底的に管理し、作り出したものです。ストレスこそ成長阻害物質だと。

このような技術が発達したことによって人間に代わってAIやロボットが自動管理する、環境を制御する時代になり、少ない面積で少ない人数で沢山のトマトを栽培することが可能になりました。

そうそう、思い出したことがあります。私が20代の頃、福井県立大学にキャンパスで育種の仕事でお邪魔した時「環境を制御した人工気象機の中でミディトマトがあったんです。そのトマトは、10年栽培し続けているトマトの株でした。

それ、つまみ食い。とても驚きました。

「果物!!甘すぎる」

茎は直径5cm位でしたが、果実はミディの30g前後糖度は12度を超えていたと思います。理由がはっきりしないので推測ですが、ストレスのない状況で果実を制限することによって果実内の養分が凝縮されたのだと思っています。1個の果実の中に3個位のトマトがある感じですね。

研究用人口気象機ですから「コスパ」は最悪です。1個10,000円位かな 食べたけど(笑)

現在はAI技術が進歩し机で農業ができる時代になる日も遠くないかもしれません。

①作り方②品種③技術のバランスが大事

農家がいくら頑張っても、AI技術がどれだけすごくても、

20gミニトマトが、220gの大玉トマトにはなりません。

大玉トマト糖度5度がいくら頑張っても糖度11度のミニトマトにはなりません。

逆に、トマトの品種がよくても、作り方を知らなければトマトが取れません。当たり前ですよね。

 

最後に雑談

ゲノム編集と遺伝子組み換えについて少し考えてみた。

今、ゲノム編集技術が大きな関心を集めていますよね。この技術を使った農林水産物の研究開発が日本でも急速に進み、毒のないジャガイモ、肉厚のタイ、GABAを多く含むトマト、収量の多い飼料米などが開発されています。主として他生物の遺伝子を挿入、狙った遺伝子を切断し、改変します。

2018年8月にはこれらの環境影響評価に関する規制の検討が環境省で、9月には食品としての安全性に関する規制の検討が厚生労働省で始まっています。

遺伝子組み換えのトウモロコシや大豆はもう日本には輸入されています。面積は日本国土の5倍と言うから驚きです。

砂漠で植物を作ることが重要なのか疑問で、世界の食糧の支配と独占に思えるのですが、、

生食用の野菜ではこのような技術が使われていませんが、加工品として知らず知らずのうちに食べていることはあるでしょう。

多国籍大企業が市場を支配するのか、お金儲けする。ちょっと怖いですよね。

まあ、私は親の遺伝子の組合せによって生まれた人間です。

従来の自然交配による育種(笑)

従来の育種によってできた野菜の品種、作り方、技術を楽しみながら農業を続けたい

そう思っています。

私が20年以上前、種苗会社で育種に携わったこともあり、わからない事や手法について、この先生の自宅に何度も足を運び、育種について勉強させて頂きました。

ひょうたんがとっても好きな先生なので、ひょうたんについてもいつの間にか詳しくなっちゃって(笑)気さくで、やさしい方で、ご健康お祈り申しあげます。お会いしたいと思っています。