トマトを栽培し、果実や葉に見たことない症状がでていたら、どうしよう?
肥料が足りないのかな。病気にかかったかも。でもこの症状見たことない。
この記事では、トマトのよくある生理障害(カリ欠乏症・カルシュウム欠乏症・マグネシュウム欠乏症)について画像で紹介しています。生理障害を放っておくと病気より大変なことになるかもしれません。
予め、予測しておくとトマト生育の判断にも応用がきき、対処法が見えてきます。
トマト栽培の生理障害について
トマト栽培でそろそろ実が赤くなりだした頃、色々な症状が現れています。暑さ?病気?障害?それとも害虫なの?良い症状ならいいのですが、大抵、悪い傾向で、手遅れになることも。
生理障害とは
トマトにとって、必要な養分を土から吸収するのですが、その養分の過不足によって生育が左右されます。その時の各肥料要素の欠乏または過剰によってトマトに生育のほかに、病気のような症状が発生します。その原因に関しては、単純にその要素のみが欠乏または過剰だけでなく、天候、気温、その養分の多い少ないによって他の養分の吸収が左右される複雑な関係を持って簡単に特定することはできません。土壌分析をおススメします。
私の農場でもちらほら出だしてきました。
第一に考えられるのは病害虫です。害虫ならアブラムシやコナジラミ、病気なら葉カビ病や青枯れ病を想像します。そのような明らかに病害虫とわかる症状ならいいのですが、よくわからない症状が多いのではないでしょうか。(;^ω^)
そこで画像をいくつか入れながら生理障害について紹介していきます。
トマト生理障害あれこれ
トマト生理障害は、ある程度成長し、下の画像のように植えてから2~3か月大きくなった頃(トマトが3~4段位ついた頃)に小さな症状ができてきます。
特に成長が盛んな時期に先端部を中心に見られます。
具体的には生長点、花、果実、葉先、葉脈を気を付けて観察しましょう。
トマトの葉の葉先枯れ①
トマトの先端葉の葉先枯れ②
トマトの果実の「尻ぐされ」③
↑の画像のような症状です。
トマトの花の「がく枯れ」も見られました。④
症状としては、この3パターンが多いです。
トマトの生理障害の原因。
肥料成分のバランスが崩れたり、肥料の過不足によって引き起こします。
生理障害は肥料が多すぎて出る症状を過剰症、肥料が少なすぎて出る症状を欠乏症と言います。
よくある生理障害は窒素過剰で、「トマトやナスが暴れて、どうしようもない」と.
トマトの「ツルボケ」、ナスの「ボケナス」そう呼ばれています。
ナスやトマトが可哀そうになりますね(笑)
ナスのこのような症状を抑える整枝方法のご紹介はこの記事に掲載しています。
トマトの葉に見られる「葉先枯れ」①
この症状の発生理由は、肥料の要素のひとつである、「カリ」が不足する事があります。
別名「カリ欠(かりけつ)」と呼ばれ。葉が枯れている症状を見ると、病気が発生したのかなと、思う方も多いと思いますが、トマトの葉先枯れは、病気ではなく生理障害の一つです。
カリ欠乏症
〇トマトの果実の肥大にカリの供給が追いつかない。茎葉の方が根の成長より早すぎる。
〇根の動きが悪いので、養分を地上部へ送れない。土壌中のカリの吸収量が少ない。
トマトの地上部の生長に、トマトの根の張りが追い付いていない、吸収量が足りない。それが原因です。
トマトの「がく枯れ」もこのような根の張りが悪いことで生理障害が起こる事で引き起こされたものだと推測しています。
「がく枯れ」の原因は日照不足、窒素過多、水不足など理由になっていますが、複合的な原因が重なっていますので、これといった決定的な理由はありません。
しかし、今回の症状と重なる点が多いので養分がいきわたらない生理障害から引きおこしたものと推測しています。
結果、トマトの数がばらつきますし、ヘタ部分が枯れていると新鮮に思えません。当然規格外のトマトになります。
カリウム不足による葉先枯れ症の対処方法
1度症状がでると、残念ながら、その症状が出た所は回復する事はありません。
でもこれは一時的なものなので大丈夫です。
致命的なダメージを負うことは有りません、急激な成長が落ち着き安定してくるとその症状はなくなります。
でも枯れている部分が治ることは有りませんから、傷口ができ、そこに病害の発生のきっかけにつながる可能性があります。
症状が出てからでは遅いですが、カリ肥料の葉面散布が効果的です。
「トマト葉先枯れ」②「トマトの尻ぐされ」③
別名「カルシウム欠乏症」カルシュウム(Ca)が不足するときにおこる症状です。
〇トマトの果実の肥大にカルシュウムの供給が追いつかない。
〇根の動きが悪く土壌中のカルシュウムの吸収量が少ない。
が主な要因で、カルシウムはトマトの体内を移動しにくく、吸収し難いことから引き起こします。
カルシュウム不足による葉先枯れ症の対処方法
「カル欠」とも言われます。いちど症状がでると、これも残念ながら症状が回復する事はありません。
対処方法としてカルシュウムの葉面散布が効果的です。
カルプラス(OATアグリオ)生育中の作物に使用するカルシュウム剤です。私はこれを使っています。
1~2週間に1回程度、定期的にトマトの生長点又は、花に噴霧器で400~500倍で葉面散布します。
これが即効性があります。
農家の中には、トマトの着果促進効果のある「ジベレリン処理」と合わせてこの「カルプラス」も混ぜて散布する位よくある症状です。
急激な成長が落ち着くとその症状はなくなります。
トマトの下葉の症状の原因は
下の方にある古い葉は、つやがあり葉脈が浮かび上がり、マダラ模様になる。
これはマグネシウム(Mg)欠乏の症状です。
葉が世代交代する、老化葉と呼ばれ仕事を終えた葉が枯れていく際にマグネシウム(Mg)欠乏が現れます。
一般的な生理現象ですが、上の方まで上がってくるならマグネシュウム(苦土)欠乏症です。Ca過剰によっても引き起こします。
光合成能力のなくなった、使用済みの葉なので特に問題視することは有りません。
画像の程度であれば、光合成能力のない下葉として風通りをよくするためにも、取り除きましょう。
生理障害を見つけた今後の対処方法
代表的な生理障害を紹介してきました。
生理障害が起こっているということは、何かしらトマトが弱っている事です。早く見つけ、その対策を行う事が必要です。
生理障害が起こって弱っているところに病害が付きます。特に灰色かび病です。
枯れて活性がなくなった葉や、花びらのカスなどで、病原菌が繁殖し、放っておくと広がる原因になります。
発生している場所は、液肥などで、養分補給し晴天時に葉を取り除くとよい。
また、予防的に薬剤散布を行う事が、病害の発生を防ぐ対策となります。
根本的な生理障害の原因は、土の養分バランス
これらの生理障害は、当たり前のようになっています。
しかし、本来は肥料の養分と土の状態が密接に関係しています。よい土づくりをしているつもりだったけど、毎年同じ肥料や土づくり、また同じ作物を作ることによって引き起こされます「連作障害」。詰る所、土のバランスがトマトに合っていないと事。
そうはいっても「生き物を育てていますし、毎日同じではありません」多少はしょうがない。
トマト栽培の施肥のやり方は「穴肥え」。植える場所は「深く耕しなさい。」とトマト農家から言われます。
トマトの根の張りを広範囲に深くすることで、これらの生理障害にならない深い強い根を作るということです。
マニュアル通りの栽培も大事ですが、よく観察し、土壌分析もたまにはしてみると良いかもしれませんね。
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