マルチの使い方と種類や効果【野菜作りの環境を整えてあげましょう】

肥料

マルチは使い分けましょう。

マルチには、黒や白といった色の違いや生分解性といった特性を備えたマルチ資材が開発されています。

プラスチックのフィルムの資材が一般的で畝を覆うことを「マルチング」と言います。そして資材を「マルチ」と呼びます。

野菜栽培では、保温・保冷・肥料を流さない効果・雑草を抑える等を目的としたマルチは常識になってきました。

当然、マルチをする。しない。では野菜の生育が異なってきますね。

ここではマルチの効果や規格について解説しています。マルチには様々な規格・効果があり、使い方を間違えると逆効果にもなりかねません。マルチの色・長さ・幅・素材など吟味し、マルチングして野菜が育ちやすい環境を作りましょう。

マルチの効果

マルチ張りの様子「マルチローター」YouTube動画

100㎝の畝、黒マルチ厚さ0.02㎜×幅150㎝×長さ200mを使っています。

作業機械でのマルチ張りは早いのですが、規格の幅が狭いので無理するとたわみができます。

機械にも一長一短ありで調整が難しい。

マルチは肥料が長持ち。土の硬化・流亡の防止

風雨にさらされると畑の土が雨によって肥料や養分が流れ、土は少しずつ硬くなっていきます。

マルチをかけることによって土が雨風にさらされることなく、肥料も保たれて野菜の根が伸びやすい状態が維持されます。

マルチは乾燥の防止

土の表面から水分が蒸発していくのをマルチフイルムが抑えているので、土が保湿された状態になります。

夏に天気がよい日が続く場合でも、土が適度に湿った状態に保たれるため、マルチ下の土の団粒化が進み、野菜の生育が安定します。

病気の予防

雨や水やりによる「泥はね」をマルチで防止します。土には病気を引き起こす菌類やウイルスがたくさんいます。

それらの病原菌が「泥はね」によって野菜の葉や実について病気が起ります。マルチで病気の発生を予防できます。

通路の「泥はね」も防止

地温の上昇させたり抑えたり

マルチによって、太陽の光で温められた地面の熱を保持することができます。冬や春先の寒い時期に透明なマルチを使用すると、地温が上昇し、野菜の生育が早くなります。

また、温度の急激な変化をやわらげる効果もあります。夏場は温度が上がりすぎると困るので、太陽光を通さない黒色や白色のマルチを使うことで地温が上がらないようにします。

雑草の抑制

白・黒色マルチなど太陽の光を通さないマルチを使い、光が届かないようにすることで、雑草が生えるのを防ぎます。野菜のまわりに雑草が生えて困っている場合には効果的です。

上手なマルチの張り方のポイント

マルチ張り作業は、できるだけ温かい日の日中にピンとたわみが無いように張る。⇒ポリエチレンフイルムは伸び縮する。

マルチのセンターマークを意識して張る。⇒株間を考える

マルチの前後を先にしっかりはって、土を乗せて仮止めする。⇒きれいに張れる

マルチの穴は、野菜苗の大きさに合わせてピッタリサイズにする。⇒ガス予防。

マルチは畝を立てた上に張る。⇒排水や根の張りが良くなります。

マルチを張る作業は晴天の温かい日を選びます。コレ重要!

逆に寒い日や雨に当たると伸びませんから、しわになったり、引っかけて簡単に穴が開いてします事があります。気温の高い日中に張ることで、マルチが伸び、ピンと張れます。また、気温が低くなる夜にはマルチが縮まります。

特に春先はだんだん温かくなっていきますし、風の強い日もありますから、マルチが温められて伸びてはがれやすくなります。

マルチがバタつくと野菜苗を痛めたり、折れたりすることはよくある事。

さらに、マルチは植穴をあけて使いますから、「たわみ」や「しわ」があるとうまく穴をあけることができません。

ピンと張ることできれいに正確に穴をあけることができます。また、風雨によってマルチがバタバタなびくことで、地面かマルチがはがれ易くなります。

マルチのセンターマークは、マルチの中心に入っています。白い文字でマルチのメーカーの名前が入っているラインです。

マルチのセンターマークが畝の中心に来るように張ります。

つまり、マルチが150㎝幅であれば、端から75㎝の所。100㎝であれば両端の中心50㎝にラインが入っており、これを中心に張ることによって、マルチが均等に張ることができ、土かけや、その後の穴開け作業が楽になります。

つまり、野菜の間隔が均一で生育がそろいます。

マルチのセンターマークを中心に合わせ利用する

畝を立ててマルチを張る場合、最初に畝の前後を先に土かけして、後でマルチ全体を土かけしていきます

マルチが前後に引っ張られる形になり、センターマークが直線になり、まっすぐにマルチが伸びることが確認できます。

少しづつマルチを伸ばしながらかけていく方法では、左右に引っ張られてしまいますのでしわになりやすいです。

センターマークの間隔は一定に入っているので、株間をいちいち計らなくても穴をあけることができます。

○ーーセキ○○ーー○ と言った感じです。

ざっくりですが、センターマークの○の印と〇の印の間が60㎝間隔であれば、1条植えならその〇のしるしの間隔に条間を取ることができます。

さらに、2条のチドリでも可能です。メジャーで計りながらするよりも、きれいに等間隔に穴をあけることができます。

マルチの穴の大きさ

マルチの穴の大きさは植える野菜苗が入る最小の大きさにします。

9㎝のポリ鉢ならマルチの穴は直径9㎝です。プラグ苗なら、直径3㎝以下です。

サツマイモの切苗・玉ねぎは、支柱で穴開けするとよいでしょう。

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植え穴をできるだけ小さくする理由は、マルチの隙間にある空気やガスが植穴から出ないようにする為です。

マルチの下には、空気と土の隙間がどうしてもあります。また、地面から出る二酸化炭素やガスが抜ける所が植穴です。高温のガスが苗の周りを行き来することで、ガス障害や熱風による苗傷みが起こっています。そこで、植穴を小さくし、植穴を塞ぐように細かい土をのせておくのも良いと思います。また、雑草も植穴が小さい分少なくなりますね。

マルチの種類【マルチの色で使い分ける】

透明や黒色マルチが一般的ですが、ほかにも様々な色があります。色に応じて太陽の光をどれくらい通すかが変わり、雑草抑制と地温上昇の効果の度合いが違ってきます。育てる野菜に応じて適したマルチを使いましょう。

光を地面に通すマルチは、マルチの下の地温が上昇しやすい。しかし、草も生えやすい。

光を地面に通さないマルチは、草が生えにくい。しかし、マルチの下の地温が上昇しにくい。

黒マルチ「黒色ポリエチレン」

最も一般的なマルチです。太陽の光を通さないため、マルチの下の雑草を完全に抑えます

また、マルチ自体は熱くなりますが、土の温度上昇は防ぐことができます。ただし、植穴からの熱風に注意が必要です。

白マルチ「白黒ダブルマルチ」

白マルチは、表面乳白色、裏面黒色の2重構造になっています。地温上昇抑制効果は、銀黒以上でマルチの中では一番地温が上がりにくい。光も入らないので雑草も抑えます。

太陽光をよく反射するため、果樹園での反射シートとして使われることもあります。暑い夏場に野菜を栽培する際に使われます。

アブラムシの効果はあまり期待できません。

シルバーマルチ「シルバーフイルム」

アルミ粉末利用フィルムです。アルミの薄層をポリフィルムでサンドイッチ状にしたもの、あるいはアルミ粉末を混合したもの。

アブラムシは銀色の反射光を嫌うため、アブラムシ忌避効果があります。また、反射光によって果樹園の実の色づきがよくなるといった効果もあります。製品にもよりますが、光の透過率が高いため、雑草の抑制効果は低い場合があります。

透明マルチ

太陽の光は通しますが、熱は通さない性質を利用し、地温を上げる効果があります。しかし、光が入りますからその分雑草は生えてきてしまいます

春先の低温時に地温を確保して植え付けたい時に使います。促成栽培・トンネル栽培など

グリーンマルチ・ダークグリーンマルチ・赤外線マルチ

黒色マルチと透明マルチの中間的な性質を持ちます。太陽光を過不足なく取り入れることができ、地温上昇と雑草抑制の両方に効果があります。

しかし効果は、黒マルチの雑草抑制・透明マルチの保温より劣ります。

紫色・緑色ポリエチレンは光合成に必要な可視光線の透過率を低下させ、雑草の生育を抑制し、保温します。

その他特徴的なマルチ

除草剤入りマルチ

ポリエチレン樹脂に除草剤を練り混ぜたもので、マルチを撤去した後、除草剤が水滴とともに地表面に落下する仕組み

アブラムシ忌避+地温上昇効果マルチ

透明・黒マルチに銀色の条線を印刷したフイルムで、地温上昇とアブラムシ忌避効果を狙ったもの

地温抑制・下降マルチ

敷き藁の事です。麦・稲・刈り草などを用います。意外ですがこの天然資材が最大の効果があります。

条散播可能・省力化マルチ

マルチフイルム中央部に一定の間隔に細かい切れ目を入れて種をまいた後にマルチングする。するとタネがフイルムの隙間から芽が出る。

耐候性マルチ

既存のマルチより数倍の耐久性を持つ。フイルム製造時に紫外線吸収材、あるいはLDPE.LLDPをより多く配合し、耐久性強化したマルチ。

一般的には強化マルチ・耐熱マルチ・耐候マルチ・長寿マルチなど

生分解性マルチ「光崩壊性マルチ」

↑湿った南瓜の下では分解が進んでいます。2か月後位です。

ここでは「カエルーチ」を使用しています。

マルチを張るときは、薄くて破れそうかと思いましたが、意外と丈夫です。柔軟性もあります。

これが良かった点は、マルチが分解して、トラクターで起こしたらマルチの残さが無く何もわからなくなります。

マルチ栽培では、マルチをはがす時、片付けが、その処分が手間。特に土や雑草がついている。水にぬれているので引き取り先が無い。また、農業廃棄物処分も大変。

一番めんどくさい!

この作業を省略できるのは大きいです。

省力化には生分解性マルチが環境にも優しいのでおススメです。

生分解性樹脂は空気中の乾燥状態では安定していますが、堆肥中、湿った土の中などで生分解し、最終的には水と炭酸ガスになり自然に還るフィルムです。また、燃焼熱がポリエチレンの約半分と小さいです。価格が高めです。

土壌中の微生物により分解が始まり、収穫後は作物残渣と共に土中に鋤き込んでおけば、やがて水と炭酸ガスに分解します。このため、使用後のマルチフィルム回収に手間がかかるトウモロコシやキャベツ、ブロッコリー、レタス、白菜、カボチャ、大根、タマネギ、イモ類などの栽培に適切です。

水封マルチ

チューブ状のフイルムに水を封入したもの。ハウス栽培で、夜温が低くなった時に水の熱伝導率が小さい事を利用したマルチ。

紙マルチ

紙を利用したマルチで生分解性マルチと同じく、土にすき込んでも分解されるため後片付けがいりません。紙の性質を利用しており、保温・保湿性や雑草抑制に優れていますが、利用場面が限られており、耐久性や価格面で劣ります。

穴あきマルチ

 

植え付けのための穴が開いているマルチです。菊やストック、ユーストマなど花、玉ネギ・レタスなど沢山穴をあける必要があるものには便利です。

植え付け時の省力化が期待できます。1本が100Mくらいあるので家庭菜園では自分でマルチに穴を開ける方が良いです。

雑草マルチ・たい肥マルチ

刈り取った雑草やヨシ・ススキやたい肥・藁などの有機物を畝の表面に敷くことで雑草を防ぎ、雨水を通すので畝の水分や通気性の良くなります。また使い終わったら土に打ち込み有機物として有効に活用できます。デメリットとして、害虫や病害を呼び込む恐れがあります。

マルチの規格

幅の狭いもので約950㎜から1,350㎜、1,500㎜、1,800㎜、2,100㎜、2,300㎜などがあります。(太字が一般的)
畑の畝巾にあわせて、畝巾よりも少し巾の広いものを使用致します。

一般的な100㎜畝で、畝の高さが150㎜だと、1500㎜が一番使い易い。

例えば60~80㎝の畝巾であれば950㎜~1350㎜を、80~100㎝くらいの畝巾であれば、1,350㎜~1500㎜のマルチを使用致します。

表面だけではなく、畝の高さ、土寄せの量、畝全体を覆うように使いますので、やや広めが良いでしょう。
長さは家庭で使用するなら10m、一坪農園など畑を借りて使用するなら50m、畑があるのであれば100mや200m巻きといった商品があります。

厚み

厚みは一般的に使用されているのは0.02㎜の厚さのものが多用されております。使用される方によってはシートを張ったり、撤去したりする際に破れてしまうので0.03㎜の厚さを使用する場合あります。

畑が粘土質で破れやすい圃場では0.03㎜がおススメ。

薄いと伸びやすいが破れやすい。厚いと破れにくいが伸びにくいです。
稀にですが、0.05㎜を使用する場合がありますが、100M巻です。200M巻は有りません。重量も2倍分あるので割高です。

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