なぜ害虫が野菜につくのでしょうか?あなたの作りが悪いから?
原因として畑に窒素のやりすぎとか、込み合っているとか言われますが、そもそも畑は人工的に作られたもので自然界には存在しません。野菜が密植していますし、生物多様性がありません。
そこには、雑草や虫にも偏りが生じ、繁殖しやすい害虫が増えるのは当たり前です。
しかも、野菜は品種改良によって、食味の良い、食べやすい物へと変化し、害虫に対する抵抗性が失われていると考えて良いでしょう。
虫がいるのが当たり前、それが普通で、害虫が特定の種類に偏っている・多いのが問題なのです。
その虫を殺す事だけが全てではありませんし、それが最善であるとは思いません。
殺虫剤を使って、害虫対策することはできますが、農薬を使いたくないもの。
そこで害虫の侵入を防ぐ方法を具体的に紹介します。
ただし、農薬もそうですが使い方を間違えると簡単に野菜が害虫に食べられ穴だらけになってしまします。その防御の1つが防虫ネットです。これ使えば野菜を害虫からある程度守れます。
害虫が野菜につかないようにネットを使って侵入を遮断しましょう。
害虫がは侵入しないように、ネットを張っている画像↑です。こうすることによって外から侵入を遮断し害虫の被害を避ける方法です。
上↑の画像はネットを張っているにも関わらず害虫に侵入されています。
間違った防虫ネットの張り方をしているのですが…
間違い探し。何が間違っているかわかるでしょうか?
中にある野菜は白菜です。使っている資材は5㎜目の防風ネットです。
綺麗に張ってあるので、問題ないように一見思います。対象となる害虫がたぶんモンシロチョウなんでしょうね。モンシロチョウの成虫は入りそうにありませんが、
問題点
・防風ネット5㎜では、目が粗い。白菜を食べるほとんどの害虫が浸入します。もっと細かい最低4㎜以下の防虫ネットでないといけません。
・地際部の裾の部分から害虫が浸入する。裾はをもう少し余裕持たせてあげたい。後5㎝ほどゆとりをもって張ります。後ほど説明します。
・トンネルが小さい。トンネルの中に白菜がギュウギュウ詰めです。畝幅より5cm外側余裕をもたせてにネットが来るように。
トンネル栽培ではビニール資材で野菜の保温のために春先の寒い時期にする一般的です。しかし、害虫を侵入させないために、このようにして害虫から野菜を防ぐ技術があります。
良い点は、白菜にモンシロチョウが卵を産み付けないように、青い網目のネットで白菜のウネ全体をトンネルで覆っています。
農家の意気込みが感じららます。通路にシートを敷いてあるので害虫の住処となる雑草が無いですね。また泥はねしないので病害が野菜につきにくい。
不織布を使った害虫防御
「不織布を」ご存知でしょうか?
例えば、花粉症に威力を発揮するマスク、優れた吸収力を備えた紙おむつや生理用品、空調機やろ過材に使われるフィルタ、自動車内装材などに不織布が使われています。
“不織布”は私たちの生活の身近な製品に数多く利用されています。
もちろん、農業用として使われており、霜やヒョウ、発芽促進、発根促進といった保温効果があります。また最近では、光の一部波長を遮断して生育促進も狙った資材もあります。もちろん、害虫や鳥害も防げます。苗床や畑の作物を暖かく包み込み、作物にとって良好な環境を保つことができます。ハウス、露地で、作物の増収、品質向上、出荷時期調整を可能にするべた掛け資材。
不織布の特徴
良い点
①軽い
②網目が無い。細かい。
③通気性が良い
④光を通す
⑤通気性・通水性が良い事です。
⑥コストが安い
悪い点
①破れやすい。トンネル栽培に不向き。
②汚れが落ちにくい。土の汚れが落ちない。
③保温性があるので夏は蒸れる。
④水をはじくので、水やりのたびにめくり上げないといけない。
保温性能
保温性能を備えていますので、春秋野菜の栽培に向いています。夏には寒冷紗を使う事も出来ますが、目が細かい寒冷紗は光を通しにくい点がありますので、開閉しないといけません。。
使用例
ブロッコリーのべた掛けの栽培
種まきした後、すぐに不織布をかけ、収穫まで取らずに栽培します。
大根のべた掛け栽培
ダイコンべたがけ栽培(発芽時)
べたがけ栽培(つまみ菜)
主に葉菜類の野菜に使います(小松菜、水菜、レタス、キャベツ、ブロッコリーなど)。
裾の部分を風に飛ばされないように鉄パイプで押さえてあります。光・雨を通し、害虫は通さない、しかも保温効果ありです。
使用方法のポイント
①不織布は十分余裕をもたせる事。べた掛けするも良し、トンネルするも良し、生育と害虫が隙間から入らないように畝の2倍の幅を持たせましょう。
②不織布はできるだけきれいなものをつかいましょう。丈夫なものもありますが、光をよく通す(90%)ものは薄く破れやすいので使いまわしは避けましょう。
③種まき、定植したらすぐに、不織布をかけましょう。害虫がついてからでは手遅れです。逆にひどくなります。
不織布の張り方
初期の状態は、このようになります↓かなり余裕を持たせます。100㎝の畝幅に220㎝幅の不織布を使っています。
もったいないと思うかもしれませんが、害虫の侵入を防ぐためには、畝の2倍以上の幅を持たせます。野菜が不織布を持ち上げながら育ちます。つまり、野菜が大きく育つことを想定して不織布に余裕を持たせているわけです。
これは、播種から収穫までかけっぱなしで栽培します。
最初から最後までべた掛けです。不織布は非常に軽いので、野菜がつぶれることはありません。
この横の余裕をたっぷりとること。風によって少々なびいてもめくれることがありませんし、害虫が地際部分から侵入しないようにしています。(野菜は水菜です。)カブラハバチの幼虫にすぐにやられる野菜ですね。(私の町ではカブラハバチのことをオビクと言ってます)
収穫間際には不織布はこのようになります。野菜の大きさに合わせて盛り上がってきます。
↓逆光でした。すみませ~ん
収穫期間中は、このようになっています。↓光合成もしっかりできています。また保温性があるので生育も良いです。
こんな感じで、水菜が不織布を持ち上げています。
害虫一切いません、やわらかい。しかも、種まきから収穫までかけっぱなし、でもこの品質です。防虫効果ありです。
秋は雨が多いので、いくら通気性が良くても、加湿状態が続くと病害になるので、長雨の時は早めにまくり上げるとよいでしょう。
資材名 | 効果 |
不織布 | 幅60㎝から350cmまで 長さ100m~ パスライト・ラブシート(ユニチカ不織布事業) |
防虫ネットを使った害虫防御。
トンネル栽培・簡易ハウスの野菜
(夏野菜苗・小松菜・ほうれん草・つまみ菜・おりな・カブなど)
防虫ネットには、シルバーのラインが入っているものがあります。これがキラキラして、アブラムシが嫌がるとの事、夏の暑い時期には不織布では暑すぎて使えないので、防虫ネットをお勧めします。
0.6mmの目合い以下でないと害虫が浸入してしてくるので気を付けてください。0.4㎜目合いのコナジラミ、アザミウマ類は主にハウス栽培のナス科や切り花につく虫ですので、施設園芸で主に使っています。
防虫ネットの効果とポイント
①防虫ネットの裾に隙間を作らない事
害虫の侵入経路を遮断します。ネットの裾に隙間があると、害虫が侵入するのでしっかり余裕をもって幅を取り、番線や土などでしっかり押さえましょう。
ネットの両端部も隙間ができやすい。
②あらかじめ作物に消毒をしておく
作物に害虫がいる状態で防虫ネットをかけてしまうと、中で害虫が繁殖する。害虫が増殖するので事前に害虫がいない苗を植えてからネットをかけましょう。
③野菜よりも高いトンネル支柱を立てる
作物が成長し、トンネルの中でパンパンなる。害虫がネット越しに産卵している場合があります。
害虫の大きさに合わせて使い分ける。「目合い」
対象害虫の侵入できない目合い
オオタバコガ、ハイマダラノメイガ、モンシロチョウ、ヨトウガ類 | 2~4mm以下 |
コナガ、アオムシ、カブラハバチ、ヨトウムシ類 | 1.0mm以下 |
アブラムシ類 | 0.8mm以下 |
ハモグリバエ類、キスジノミハムシ | 0.6mm以下 |
コナジラミ類、アザミウマ類 | 0.4mm以下 |
この不織布・防虫ネットを使った方法とニームケーキを合わせて使っていただけると効果がさらに上がると思いますので是非試してください。
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