農業の害虫は生かすの?殺すの?
この記事では野菜栽培での害虫を寄せ付けない方法とその天然資材「ニームケーキ」の使い方と効果を紹介します。
ニームケーキは虫に耐性ができず、しかも作物や土壌に影響しないので人間や動物などに害を及ぼさない資材として注目されています。
野菜作りにできるだけ農薬は使いたくないですね。家庭菜園ならなおさら。しかし害虫がついてしまう事が多々ある。
普通、まず害虫が付きます。どこで虫が見ていたのか。どこに住み着いていたのか。その害虫の行動力・機動力・繁殖緑はすさまじく、あれやこれやと思っている間に、野菜が穴だらけ「マシンガン」で射抜かれたようになります。(*_*)せっかく植えたのに….すると
へこみます。
ほったらかします。
とどめに野菜づくりやめます。
なんて事ないようにしましょう。
実際、野菜に害虫が付いて大発生したら、市販されている農薬でも一度にすべて害虫を殺すことはできないでしょう。農薬散布も2~3回しないといけません。これは以前にも書きましたが、「農薬と害虫のイタチごっこ」です。
農薬は単一のものを連続で使わないのが鉄則です。これは、農薬に限らず、肥料などの資材もいっしょ。
なぜなら、病害虫に抵抗性を持たせてしまうからです。つまり、害虫も農薬に耐えれるように慣れていく(進化している)のです。土も同じものを入れ続けると畑の土の肥料に偏りができます。
それが連作障害の一因となります。
害虫防除は農薬で殺すだけではない。そんな強力な害虫に育てているのも「人間だと気付かされます。( 一一)」
その前に農薬についてどの位知っていますか?
農薬を使わず、野菜に害虫を寄せ付けない事が害虫を減らす。
そもそも、なぜ野菜には害虫がつくのでしょう。
その3つの要因
①天敵が少ない
自然界では植物を食べる虫→その虫を食べる鳥や天敵→虫の死骸や鳥の糞を養分にして育つ植物、というサイクルが成り立っています。きれいに生理整頓された庭では害虫が発生しても、それらを食べる鳥やクモなどの天敵が少ないため被害が大きくなります。つまり生き物の種類が沢山いる状態(生物多様性)にする事。
②特定の植物が多く植えられている
病害虫も好きな植物と嫌いな植物があり、自然界ではこれらの植物が共存し、万一病害虫が発生しても蔓延しにくい環境になっています。これを生物の多様性がある状態を言います。
しかし、一般的な農地や家庭の庭では特定の植物が多く植えられているため、発生すると蔓延し被害が大きくなります。当然そこには病害虫が住み着き年々、野菜の病害虫被害がひどくなります。
③品種改良で持っていた野菜の本能(病害虫耐性)が取り除かれた
植物が病害虫に加害されますと、自ら殺虫成分を作ったりしてこれ以上食べられなように自衛本能を働かせて被害を防ごうとします。例えば細胞を固くしたり、害虫が嫌がる成分を出したりです。
ところが、実をより大きく、より多く、より美味しくなど品種改良された植物ではこのような本能の多くが失われている、弱くなっているため被害を受けやすくなります。
また、肥料を与えて健やかに育った植物は病害虫にとって美味しく感じられるのかもしれません。
このように害虫がついて当たり前の環境になっているということです。バランスがとれていない以上、我々が育てる植物は我々の手で守ってあげなければなりません。
いま、大変なコ〇ナとよく似て思い当たるのではないでしょうか。
害虫と正面切って戦えば戦うほど、激しさを増してきます。
相手は生存本能むき出しの病害虫です。
じゃあ、害虫から野菜を守るにはどうすの?戦うの。
避ける方、隠れる方が無難だと思います。つまり予防を徹底する。
ちょっとだけ害虫が嫌がるもの、ちょっとだけ来ないように壁を作っておく、ちょっとだけ害虫がいない時期に作るという事です。
今風に言えば、IPM防除「総合防除=色々組み合わせた害虫個体群の管理システム」といわれていますね。
説明すると長くなるし、沢山あって理屈は解るけどじゃあ、どうしたらいいの?ってなった時、IPM防除を順番に対策していく事が当てはまるとは限らないんですよね。
害虫を避ける方法「ニームケーキ」を使う。
結論は、害虫が嫌がるものを野菜の付近に置く、寄せ付けない、つまり予防を徹底することです。ネットやマルチ、天敵、植物エキスなどは全て予防です。
まず、一番被害が出やすい初期の小さな苗を守ることから始まります。ある程度大きくなった野菜は生長速度が速いので少々の害虫被害は無視できます。
よく、マリーゴールドという花壇苗をご存じの方は多いと思います。有機農業ではセンチュウの防除にマリーゴールドを使います。傍らに植えるだけで害虫にとって嫌なにおいがして、それを超えて侵入しません。これが忌避効果です。センチュウ対策はすでに野菜を植える前から始まっているのです。
害虫はなぜ野菜を見つけるのが早いのでしょう。それは、野菜から出る匂いによってきます。その特徴をいかして匂いで害虫をかく乱させる手法です。
その忌避効果を発揮する資材を紹介します。
簡単に使える資材はコレ。環境改良資材!
環境資材?ってなりますよね。後ほど説明いたします。
ニームケーキパウダーとは
資材名は「ニームケーキパウダー」です。
主にインドなどで古くから自生している樹木の木くずです。あの絵のような木なのかは知りません。
インドの医学として有名な自然療法「アーユルヴェーダ」の重要なハーブとしても、古くから親しまれています。現在ニームは、インドだけでなく欧米でも、石鹸、歯磨き粉、シャンプー、スキンクリームなど身近な素材として使用されています。
農業においてニームが注目されるきっかけとなったのは、アフリカでイナゴの大群が来襲した際、様々な作物が被害を受けた中で、ニームの木は青々としたまま残っていたことから、欧米でも研究が始まったそうです。虫に耐性ができず、しかも作物や土壌に影響しないので人間や動物などに害を及ぼさないため理想的な殺虫剤、害虫忌避剤といわれています。
その成分はニームの木全体には、ニンビンやゲデュエンをはじめとする、いくつもの抗菌成分を含んでいます。これらの成分によって、炎症や痛みを抑え、熱を冷ます、殺菌、消毒効果などが期待できます。
ニームケーキの効果
・昆虫の幼虫の脱皮や羽化を妨げる。
・害虫の食欲減退させる。
農業分野でいう、「アザディラクチン」という成分です。ニームに特に種に多く含まれており、200以上の虫を寄せ付けない効果があるとされています。(*_*)
アザディラクチンが虫の成長ホルモンの働きを阻害するため、食べた虫は生きていられなくなるのです。このほかにも、昆虫が食べ物を食べられなくなってしまう「メリアントリオール」や「サラニン」も含まれています。
つまり、害虫がニームオイルの付着した葉を食べると、食欲がなくなり、その結果成長がとまり、餓死していく過程をたどります。
人間や動物にも同じような影響があるのか、少し心配になりますね。しかし、ニームはトンボなどの肉食性昆虫やミミズなどの土中有益動物、カエル・鳥・人間などの脊椎動物に対して毒性を示さない、とてもミラクルな植物なのです。
ニームケーキパウダーとは粉末状
このような粉末ですが、独特のツンとした強烈なにおいが袋から漏れてすごいですよ。
ニームケーキとは、ニームオイルを絞りとった後のかすを、粉末にしたものです。「ニームパウダー」とも呼ばれます。当然ニームオイルにも忌避効果が有るのですが、少々お高いです。
土に潜むセンチュウやヨトウムシなどの害虫を駆除する効果があり、インドでは長い間、土壌改良材として畑にまかれていました。現在は、無害な殺虫剤としてガーデニングや家庭菜園で広く利用されます。
ただ、効果が持続する期間が45~60日ほどなので、定期的に土へ追加して使います。
ニームケーキパウダーのみ、有機農業の資材として登録されています。「特殊肥料」
農林水産省の有機農産物のJAS規格別表1への適合性評価済みリスト「平成28年3月31日時点」
のリストに掲載されています。
重ねて言います、有機農業資材は、あくまで「ニームケーキパウダー」のみです「しかも、特殊肥料です。」
しかしながら、ニームは、農薬法て農薬として認められていません。「特定農薬として「保留資材として取り扱いされています。判断できていないのが現状(2019)です。あくまで肥料です。
「平成20年~」「あれから○○年~」って言葉が聞こえます。( ´艸`)
特定農薬とは、改正農薬取締法第2条第1項において「その原材料に照らし農作物等、人畜及び水産動植物に害を及ぼすおそれがないことが明らかなものとして農林水産大臣及び環境大臣が指定する農薬」と定義付けられています。
特定農薬の指定の可否には、それを判断するだけのデータが揃ったものについては、順次食品安全委員会や農業資材審議会の意見を聴いて指定していくこととしています。
引用:特定農薬とは「農林水産省」
因みに、牛乳も特定農薬として審議され「該当外されたようです。」真面目に審議したのも驚きですが、当然といえば当然ですね。
ニームオイルという液体の資材がありますが「天然植物保護液」です。よくわかりませんが。口が避けても「センチュウやヨトウムシの忌避(防除)を目的。」なんて言っては、いけません。
「ニームケーキパウダー」は、特殊肥料になりますから、やはり、自然にあるものをで、緩効性肥料として使用していると建て前上言ってください。
ちょっと、めんどくさいですが、一般家庭菜園としてはなんら問題ありません。有機JAS農産物として販売する農家です。そう考えると大変ですよね。有機農業!
ニームケーキパウダーの使い方
使い方は超簡単、ほんのひと手間
種まきした後、苗を植えた後、最後に、1つまみ5g程度パラパラまくだけ。
以上。
ここにタネを蒔いた目印のように、パラパラです。株の周りをぐるりと一周。ニームの匂いが害虫の好きなにおいを阻害します。つまり殺虫ではありません。
あくまで予防を徹底する目的で使用します。
↑大根葉のタネ蒔き後の様子。予防するために「ニームケーキパウダー」を薄くまいています。
↑大根葉の発芽した様子。このころには「ニームケーキパウダー」の匂いは感じません。
この種まき直後の大根葉の双葉の状態に「ハムシ」が卵を双葉の裏に産み付けて、ふ化しますが、ニームケーキパウダーを撒いているので「ハムシ」がいません。
野菜全般に使用できます。
ナス科植物・・・トマト・ナスの苗を植えた時のその周りに蒔く
ウリ科植物・・・瓜・スイカ・メロン・キュウリの苗を植えた時にその周りに蒔く
アブラナ科・・・キャベツ・ブロッコリー・小松菜・白菜・大根の種子をまいて覆土したその上に蒔く
ニームオイルは使ったことがないので何と申し上げれません。すみません。薄めて葉面散布するといいますがどうでしょう。今度試してみます。
ニームケーキパウダーはどんな害虫に効果が期待できるの?
特に調査した訳ではないですが、一般的な害虫である、アブラムシ、センチュウ、ハムシ、なんかには良く効きます。特に秋野菜につく、ダイコンサルハムシ、キスジノミハムシなどに効果がありました。
ただし、害虫が発生してからでは手遅れです。
①種まきした時・・・・野菜の種まきします。そのあと土をかけて水を与えるのですが、その土をかけた後、ニームケーキパウダーを1つまみ(大さじ1杯)程度植えたところに振りかけます。
②植えつけ(定植)した時・・・・野菜の苗を畑に植えたときに、水をかける前に苗を植えた周囲に1つまみ(大さじ1杯)まきます。それで、2週間程度害虫から大事な苗を守ります。
③その後2週間に・・・1回程度株の周りの土にまいて、害虫の侵入を防ぐようにこまめに蒔きましょう。40日間の長期に効果ありと書いてあるとこともありますが、ちょっとそこまでは難しいかと思います。だって、ニームは有機質ですから微生物に分解されますし、雨風によって流されます。
土壌改良資材としての効果もあります。
ニームケーキを撒いた圃場では糸状菌が発生し増殖します。白いカビのようなもの。
病原菌を抑制したり有機物を分解する放線菌と呼ばれます放線菌でその殆どが好気性です。
病菌を投入しても発病を抑える力をもつ土壌には大量に生息していることなどから、放線菌には発病抑止力が認められています。
是非皆さんも、この「環境改良資材」のニームケーキパウダー使って見てください。
あくまで使いすぎに注意です。鉄則です、いくらニームは耐性ができないとは言え、自然界では絶対という事はないです。
「害虫と正面切って戦えば戦うほど、激しさを増して効果が期待できなくなる」
ただの虫が強力な害虫に変化しない様に注意。
「グレムリン」の映画みたいですね。
詳しいこと、ニームケーキの販売については、
大和肥料株式会社「有機農産物が生産できる農業技術や肥料資材を研究開発ている」販売店が詳しく掲載しています。
農業分野にしても、農薬だけに頼らず、ネットや自然にあるものをうまく組み合わせて総合防除(IPM防除)をしないといけないってことですね。
ただし、注意しなければいけないことがあります。
農薬を使う側の人間(農業者)の問題です。先にも話した通り、どれだけ安全に適正に使用しているのか。
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