農薬を使う事【農薬との付き合い方】

病害虫の防ぎ方

農薬というものが安全なのか。

野菜に病気や害虫がついたら皆さんどうしてますか?どんどん野菜が弱って枯れていく。せっかく大事に育ててきたのにどうしよう。
良く効く農薬を手っ取り早くかけて、今この虫を何とかしないといけない。

いやいや、私は農薬に頼らず、何か自然にあるもので何とかならないものだろうか?

この記事では、農薬が安全であるという視点で書いています。農薬がなぜダメなのか。その理由がちゃんと知っていますか?

現在、有機農業や無農薬栽培をする方が増えていますが、農薬=生命に害がある物と本当に言えるのでしょうか。私はできるだけ農薬を使わない栽培をしていますが、農業経営を考えた上ではある程度は必要であり、安全であると説明します。

消費者の農薬のイメージはこんな感じです。

「虫を殺し,草を枯らす農薬が残留している食べ物が人の体にいいわけがない」
「ごくわずかな量でも長期間摂取してると蓄積していつか影響がでる」
「ずっと使っていると土がダメになり健康な植物が育たない」
「不健康な作物を食べてると不健康な体になる」
「農家は自分たちが食べるものには農薬を使わない」
「農薬や化学肥料を使って育てた作物は栄養価が低くて不味い」
「有機農産物は無農薬、無化学肥料だから安全で美味しい」
「農薬汚染で田んぼの生き物がほとんどいなくなった」

ただし、これは農薬に限ったことではないです。

人間が手をかけたすべては、自然の生態系と別物のです。

人間も植物も病気に対する考え方は同じ。

もし、あなたが病気になったり、ケガをしたりします。そうなった場合どうしますか?

例えば、風邪をひいたとしましょう。体は?

〇せき、鼻水、熱がでます。まず、温かい服装をして、マスクをし、市販の薬をのみます。

〇それでも治らないときは、病院で薬を処方してもらいます。

〇ひどいと病院で点滴です⑦。あるいは「玉子酒、おかゆ」

⑧「自分の体力を信じて、根性で治します。」⑧「寝れば治る」とかかな?( ´∀` )

風邪を引かないように何をしていますか?

例えば、手洗い、うがい、マスク③、温かい服装⑤。予防接種⑥。規則正しい生活④。人込みを避ける②「睡眠を十分とる」②「私はバカだから風邪ひかない。」こんな感じでしょか?

もし、薬が規制され、人間が自然だったら。何もできなかったら。「健康な人だったけど、寿命ですね。」って感じでいいのでしょうか?

人間も植物も同じです。

病気に対する野菜へ農家の対策方法

・野菜が健康に育つために、畑の以前病気が出た所を避けています②。

・適切な時期に接ぎ木苗して植えています①③④。

・十分な畝と株間を取ります②。

・病気にならないように、ビニールハウスの中やマルチをかけて作ります⑤。

・もし病気になりそうなら農薬を散布します⑥。

・病気になったら、どんな病気なのか植物図鑑やインターネットを見て調べます。その病気が他に移らないようにできるだけ近寄らないようにします②。

・それでもわからないときは、営農指導員さんに聞きます⑦。

・対処法を聞きいた上で見合う農薬があれば選んで散布します⑦

・治らなければ病気葉取ったり、株を抜き取ります。栄養不足なら液肥をまきます。⑦

有機農業や自然農法は「特に対処しません」自然淘汰・治癒能力に任せます⑧。

①②③④⑤⑥⑦⑧は人も植物も同じことではないでしょうか。

農薬も医薬品と同じ考え方なんです。

私は、農薬信者ではありませんが、農薬をできるだけ使いたくない。繰り返しますが、自然の資本や財産を守りたい、できるだけ大切に作りたい。このような理由で話しています。

それでは農薬が安全であるという視点で、少々長いですがよろしければお付き合いください。

その逆の記事

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農薬は安全である

ひと昔前と今とでは、農薬がずいぶん変化ました。

人体に影響のある「毒劇物」は全体の15%程度、と減少しています。また、購入には個人情報と印鑑それに鍵のかかる保管場所が必要で厳重に管理されています。

毒劇物以外の「普通物」は農業開発の基幹技術である有機化学の進歩は著しく、現代では使用書に書いてある通りに使用すれば人体への影響などない農薬がほとんどです。

また、農薬ばかりが悪い訳でもありません。自然界には毒というものが存在しています。これは植物が外敵から身を守るために存在します。

例えばコーヒーにもカフェインという毒が存在しています。カフェインの致死量は諸説ありますが、短時間に摂取した場合の致死量は3gと言われています。200mⅬのコーヒーには、0.12gのカフェインが含まれています。つまり、コーヒーを短時間に25杯分に相当します。先ず、短時間にコーヒーを25杯も飲むことはあり得ません。また、ジャガイモの芽にも毒があります。それによって学校給食での食中毒が今も絶ちません。

現代の農薬は「今や人体に安全な農薬開発など開発者にとっては開発以前の問題。」

「ありえない、今さら話にならない、無いに等しい」と研究者は言っています。これは一方的な意見でもあります。

日本の農薬の検査基準

その理由は農薬の新規登録の際に、厳しい毒性検査等の基準があります。

現在、日本では新しい農薬を開発した際、登録申請検査が義務となっています。
仮に害虫、雑草に対して劇的に効果のある農薬を開発したとしても、安全性に関する様々な検査を行って、国から登録許可が下りなければ、商品として販売することも、流通させることもできないのです。

農薬の登録申請に係る試験成績について
(平成12年11月24日付け12農産第8147号農林水産省農産園芸局長通知)

農薬は人間の食糧となる植物を守るために散布されています。

しかし、植物を守っても、散布された毒によって人間が死んでは本末転倒です。農薬は害虫などは殺しても人間に害がないものでなくてはいけません。

しかも散布した作業者、散布した作物が食品として安全が担保される。害虫以外の生き物を殺さない環境負荷がない。

これが農薬開発者の今の常識なんです。

そのため人体への安全性から環境保全(環境中の魚類・ミツバチ・ミジンコ等)独立行政法人農林水産消費安全技術センター(FAMIC)

農薬の審査報告書(農林水産省)へと移っています。

では、現在日本で販売されている農薬で毒性はどのくらいでしょう。

一般的な農薬として使われている殺虫剤「スミチオン」という商品は有機リン・有機硫黄系殺虫剤のフェヒトロチオンがあります。

そして、農薬としては長い50年以上の使用実績があり安全性に問題があればここまで使われていなかったでしょう。

ちなみに農林水産省の「スミチオン」に含まれるフェヒトロチオンの検索が500以上あり、調査報告の実績もあります。

 

畜に対する安全性(毒性・発がん性・繁殖毒等)作物や環境に対する安全性(土壌の残留・水産動植物・鳥類)など膨大な試験をクリアしたものだけが「農薬」となるわけなのですね。「農薬のリスクと安全性の評価についてー農林水産省」

農薬が悪の代表というイメージはココ!

地球上で最も人間の命を奪っている生物は何だと思いますか。

2位は人間で紛争や戦争により多くの命が奪われています。猛毒のヘビが3位、1位は蚊です。

世界保健機関(WHO)によると年間約70万人の生命を奪っています。原因は蚊が感染症の病原体(ウィルスや原虫)を媒介するからです。病原体を持った蚊自身は病気にはなりませんが、ヒトや動物が刺されると感染症を引き起こします。

DDTという殺虫剤をご存じでしょうか?化学合成された最初の殺虫剤です。

悪の代表として言われています。

戦後、シラミ駆除で、頭から真っ白にかけられた人の写真を見たことがあるでしょうか。

DDTは、殺虫性能がよく安価で手に入ることができました。、マラリア対策としてマラリアの原虫「ハマダラカ」の駆除として大きな貢献をしました。しかし、DDTは生物ホルモンバランス乱す、環境ホルモンとして鳥や土に残留するとされました。

また発がん性の疑いもかかり、人間の母乳から検出されたことによって、悪の代名詞となり1968年、全世界で禁止されました。

DDT使用を再度認めた?

現在、WTOは2006年からマラリアの流行している地域に限ってはDDTの使用を認めています。

スリランカのマラリア感染者は、1946年、280万人と、4人に一人の感染がありました。そしてDDTが散布され1963年には、患者数が17人とマラリアが絶滅寸前まで行きました。

しかしDDTの使用禁止後僅か5年足らずで年間250万人にマラリア感染者が逆戻りしました。

DDTを使わなかったことでマラリア感染者が再び爆発。

このような事例は南アフリカや中南米の熱帯・亜熱帯の途上国で数多くみられ、再びマラリアの恐怖が蔓延しました。

これらの報告を受け、2006年WHOは科学的データを再検討し、「殺虫剤の中でマラリア予防対策にはDDTが最も有効であり、適切に使用すれば人間、野生動物に有害ではない」と強調、DDTの室内散布を認め、”DDT 使用の復権”に方向転換しました。

近年の研究ではDDTに明確な発がん作用は無いという報告もあります。

しかし、すべてが解決したわけではありません。完全にマラリア根絶することはできません。

「ハマダラカ」に抵抗性がついてきました。

つまり「農薬と病害虫のいたちごっこの始まり」です。

DDTをかけられて、生き残ったマラリア子孫が増え、薬剤抵抗性のある蚊が増えてきたら、もうDDTの効果かなくなります。

リスクとベネフィットを使いこなすことが大事なんですね。

近年、日本のカヤに薬剤をしみこませて使う方法が用いられており、効果を持続させています。農薬一辺倒ではなく物理的に防ぐ技術と化学的方法を合わせた技術が開発されています。

まとめ

農薬は病害虫から農産物を守り、農業生産するためには農薬は必要なものです。

その理由は、人工的に作られた農地の生態系は自然の生態系と全く違うもので、自然ではない所には、病害が大発生する可能性が高い。

つまり「集約的栽培・自然の移り変わりを起こさせない管理・収穫する・栽培植物は自然の植物ではない・原種国とは違った環境で育てられる」のであり、病害虫・雑草に侵されやすいため防除が必要になっています。

その為、その防除に生物的,物理的、耕種的方法(土作り、輪作体系の導入、抵抗性品種の利用、栽培環境の適正化などの栽培方法の改善)と組み合わせて総合的に防除しないといけないのです。

農薬を使わない技術についての記事 農薬を使わない、野菜に害虫を寄せ付けない方法。【ニームケーキの使い方】 をご覧ください。

農薬を使わない技術についての記事 農薬を使わない。野菜に害虫を寄せ付けない方法 【不織布・防虫ネットの使い方】 をご覧ください。

農業分野にしても、農薬だけに頼らず、ネットや自然にあるものをうまく組み合わせて総合防除(IPM防除)をしないといけないってことですね。
ただし、注意しなければいけないことがあります。

農薬を使う側の人間(農業者)の問題です。先にも話した通り、どれだけ安全に適正に使用しているのか。

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しかしながらです。ここでは、詳しく話しませんが、今の農業は超高齢化社会です。

農業の近い未来 分かり易く解説【北陸ブロックスマート農業サミット】で解説した通り、65歳以上の農業従事者が60%以上ですから当然農薬の知識あると思いますが、、、

話がそれますが、農薬の瓶や袋に書いてある文字、読めますか?

因みに、私のおやじは読めません、そもそも指導員さんの言う通りにしていました。ということは、表の名前しか見てないということです。

つまり、農薬の殺菌剤と除草剤の区別を名前で判断してるんです。問題あり

おやじは、水田だけですが、機械に農薬を入れるのは私がしないといけないですね。”(-“”-)”

 

 

 

 

 

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