「おいしい野菜とは、健康に育った野菜です。」
と、無難な回答が返ってくることが多いのではないでしょうか。消費者は、そんな回答を期待していません。
スーパーで野菜を買う場合、どれも同じにしか、見えない。
と思っていないでしょうか。確かに大抵同じであることが多いのですが。
しかし、時期によって同じ野菜の産地が変わります。つまり作っている農家も変わり、育て方が変わると美味しい野菜・そうでない野菜が存在します。
野菜の「かたち」も重要です。
野菜はどれでも同じではありません。品種、産地、旬、様々で、これによって美味しさや栄養価が変わってきます。スパーでは最近トレーサビリティシステム(生産履歴)がようやく記載されるようになりました。しかし、情報量はまだまだ少ない。この記事では野菜がどのように育ったのかを野菜の形で見分けるヒントをご紹介します。
野菜の選び方
品種・栽培・収穫時期
この3つが野菜の美味しさを決めます。
これを野菜の形で見分けるのです。
今回はトマトとキュウリの栽培と鮮度について説明していきます。
大玉トマトを形で選ぶ
①ヘタがしっかりしているものを選ぶ
トマト・ナス・ピーマンなど果実の部分を食べる野菜を果菜類といいます。
果菜類を見分けは「ヘタ」です。
ヘタの形がどれも同じ大きさで、しっかりしていることが、おいしい野菜の条件です。
しかし、パック詰めでは↑の画像のように並んでいるので見れない( ;∀;)
果菜類の「ヘタ」は、トマトの頭の上についている緑の傘のような所です。茎とトマトをつなげる部分になり、実が大きくなる時に胎盤のような働きをします。養分や水分は一旦ヘタに入ってから必要な分だけ果実に配給していきます。ここで余分な養分は茎や葉の方に送り返される仕組みです。元気に働いてるヘタはしっかりしていますね。
トマトの場合、「ヘタ」を見てトマトがちゃんとなるか、ならないか、が解る所でもあります。
おいしいトマト↑
「ヘタ」の部分が大きくしっかりして、長さ大きさが均一です。収穫適期のおいしい健康な生育をしたトマトの見分け方です。
おいしくないトマト↑
「ヘタ」が枯れて過熟したトマト。収穫してから何日もたって、ヘタが枯れていますね。大きさも不均等です。
このようなトマトは生食には向いていません。ケチャップ等に加工したほうがよさそう。
②トマトの白い筋を目安に選ぶ。
おいしいトマト画像↑。
ヘタのない方の先端部の画像で、その真ん中の先端部にある小さな黒い点から白い筋が光のように出ていますね。この白い筋があるかどうか見分けます。
この白い筋が長く走って、この果肉と果肉がちょっと透けたようになっているトマトが、甘いトマトになります。透けすぎているのもダメです。「網果」
ただし、トマトは酸味・甘み・食感・硬さ等様々な食味がありますので同じ品種間で見比べる必要があります。
↑の画像は高糖度トマト(フルーツトマト)の画像です。
こちらは、通常の栽培ではなく極めて節水管理によってトマト養分濃度を高めた栽培方法をしたトマトです。
品種も味のある「愛知ファースト系」昔の品種になります。昔の方が味があるトマトの品種が多いみたい。
極端にはっきり白い筋が長く伸びていますね。
これを見る限り、白い筋が糖度の目安になるのは間違いないでしょう。通常のトマトと比べ収量が少ないのですが、糖度が通常の2倍近くの10度以上あります。
果実は硬く大きさは80gとミディトマトよりちょっと大きいサイズ。市場では1個300円以上の超高級品。
私のお財布では普段食べれません。
↑のトマトは肩の部分が青く、全体が赤くなっていません。まだ食べ頃ではありませんが収穫適期のトマトで、濃い味がします。
この緑が濃いトマトは「ショルダーグリーン」と言って味の濃いトマトになる証拠です。
スーパーではほとんど見ることはできないでしょう。時期にもよりますが夏場は通常このような半分程度色づいたモノを収穫します。
店頭に並ぶまで2~3日かかりますから、その間にトマト全体に赤くなり食べ頃という理由です。
完熟してから収穫だと当日でなければ果皮が柔らかくなりすぎて美味しくありませんし、輸送中に割れたり痛んだりしやすいからです。
偶にですが、加工用や売れ残りなどによって収穫してからかなり時間が経過したものは、ヘタが枯れています。日にちが立ったトマトは果肉が柔らかく、トマトのゼリーがトロトロ。酸味と甘みがなくなり、あまり美味しくありません。
③大きさの割にずっしりしているものを選ぶ
水にトマトが浮くか沈むかで甘いトマトを区別できるの?
聞いたことありますよね。これはトマトの比重が水より重いかどうか判断するのにこのような形を取ります。
高糖度トマトによくあるのですが、養分が詰まって比重が重くなるから水に沈む。
逆に水より軽くて浮くトマトもあります。トマトも日照不足や低温によって中が空洞になったり、密度が少ない。このようなトマトはスカスカしています。
特に秋冬の寒い時期に暖房機を使って温度管理した栽培にあります。
確かに見た目は変わらないですが、持った瞬間なんとなく軽いように思います。
キュウリを形で選ぶ方法
おいしいキュウリと言ってもピンとこない方多いのではないでしょうか。大体どれも同じだと。
だって水っぽいし、ドレッシングや、塩等で味付けしちゃうし。本当においしいキュウリの品種がなくなってしまった原因は、消費者のニーズに合わせたからなんですね。
上↑キュウリとっても美味しそうに見えませんか? ツヤツヤに光沢があって、イボがすくない。普通の良いキュウリです。
そんな品種改良したのは、私たち消費者なんですけど(*_*)
それはさておきキュウリについて説明していきます。キュウリもトマトもおいしさを選ぶなら自根なのですが自根か接ぎ木か、これはキュウリの「かたち」から見分けが付きません。
品種によるものですが、下画像のようなトゲの数多くて、イボが強く、粉を吹いたよう。
品種は「四葉胡瓜」と言って昔のキュウリです。生で良し、浅漬け、キュウちゃん漬けで、最高にうまい。シャキシャキした味のあるキュウリは市場には出回ることがめったにないでしょう。
①きゅうりは先端からお尻の太さが均一でそろっているものを選ぶ
果実の先端から根元まで太さが均一で曲がりのない物がおいしい。
果実の色は、濃淡の差が無いこと。
全体に緑が均一なほど光を十分に浴びている証です。光に当たらないとキュウリの果実は黄緑色になります。
また、どうしても未熟果で成長途中のものを青もぎして食べる野菜ですので、先端の方が細いのは青臭いです。そして先端が極端に太くなっているものや、茎の方が太くなっているものは「なり疲れ」キュウリが老化している可能性があります。
②きゅうりはイボが強いもの。白く粉を吹いように見えるものを選ぶ。
重要なのはやはり鮮度。これはキュウリのイボがしっかり残っている、キュウリがシャッキっと固いものを選びます。品種も関係しています。
↑の画像が味のあるシャキシャキ、おいしいキュウリ。
ちょっと残念なキュウリの画像
お尻の部分が太くなっている「尻太キュウリ」お尻の方が細くなっている「先細きゅうり」。
また、収穫適期を過ぎて大きくなりすぎてしまったキュウリ、曲がったキュウリ等です。
きゅうりは肥料や自然環境に敏感で果実にストレートに現れます。
最初の頃は、真っ直ぐな良いキュウリが採れたのに、しばらくして病気になって枯れかけてきた。そんな時はこのようなキュウリが多くなります。キュウリは沢山なりますが、なりすぎて疲れてしまう。こうなると病気にもなり易く、長く収穫することが難しくなります。
キュウリをまるかじりする時の頭をかじって「捨てる」のは?
きゅうりの頭の部分をかじって「ぺっ」って捨てる光景を昔のドラマで見たことあるでしょうか。
あの茎から近い部分の色が濃いほど苦くなります。昔の品種では当たり前ですが、今の品種はどこもさほど変わりません。
↑コチラは大きくなりすぎたキュウリです。
収穫適期から3日過ぎたものです。健全な生育ですがキュウリは生長途中を収穫するものなので、大きくなりすぎる。
きゅうり断面図は、タネはありませんが、中に空洞が発生しています。これでは商品になりませんね。
私の家では昔、煮物や生酢づけには使っていました。もはやキュウリというよりも、瓜・へちまの大きさですね。
田舎は、大きくなりすぎたキュウリを煮物、漬物にしています。
東北の山形県では、夕顔かんぴょう、つまりヒョウタンも煮物として食べられています。
ウリ類は栽培期間が短く、寒冷地では長期栽培が難しい。
だからこそ、保存したり、大きくなっても食べる文化が根付いたのでしょう。
少しでもご参考になれば幸いです。
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