カボチャ栽培の芯止め・摘心
芯を止めてみたけど、その後どうしたらいいのでしょう?
かぼちゃを育てる場合、苗を植えてしばらく生長させ、「芯止め」という作業をします。
また、かぼちゃの果実が成って葉を数枚残して、「ツルの先を止めます」なぜこのような作業をするのでしょう。
その理由は、かぼちゃを充実した果実(形の良い・適期に収穫)にする為なんですが、どのように仕立てたらよいのでしょう。
かぼちゃの芯止めとは
芯止め・摘芯とも言います。ツルの主軸の先端を切って生長を止めることを言います。
カボチャはツルが方々に伸びすぎ、放っておくとツルが解らなくなって手に負えなくなります。
だからできるだけ管理しやすくし、収穫時期・実の揃いを良くします。
2回の摘芯作業があります。
本葉4~5枚の頃
かぼちゃの樹勢が強い親ヅルを摘芯して、株を一旦落ち着かせ、子ヅルをあらためて伸ばすやり方のほうが管理しやすくなります。勢いの良い子ツルを数本伸ばし、生育を揃えます。
雌花が着果した、20~25節の頃
かぼちゃが着果したら、茎や葉の余分な養分を実の方に効率良く行き渡らせる為です。
ツルの数は何本にすれば…………。
ツルがもう少し伸びてから、ツルの数、決めようかな。(*’ω’*)
本、ネットを検索してみると本当に様々ですね。
1本仕立てが良いとか。「2本でよい」「3本~4本がたくさんとれるよ。」とか
「いったい、どうするの!」先生が沢山いるとどれが本当なのでしょうね。(笑)
なぜそのように仕立て方の違いがあるのでしょう。
そんな疑問に少しお答えしたいと思います。
きゅうり、メロン、スイカ、カボチャ、しろうり等のウリ科植物は整枝剪定という作業をしますよね。
かぼちゃは、何本に仕立てますか?整枝剪定はなぜするのか?
ウリ科はツルがどんどん伸びて放っておくと節ごとにごちゃごちゃツルが何本も出てきます。
そうなって茂りすぎると通気性や採光が悪くなり、果形・樹形が乱れたり、樹勢が弱ったりする上に、病害虫の発生源になるので枝を整えます。
ぶっちゃけ言えば、かぼちゃが伸び伸び育つ、広い場所があって、かぼちゃの形や数にこだわらなければ仕立てる必要はありません。
かぼちゃを効率よく、沢山取るために芯止めして整枝するのです。
勿論、農家であれば少ない面積で形のそろった・美味しい綺麗なかぼちゃを適期に沢山取らないと収益が出ません。
かぼちゃの仕立て方は、栽培方法の違いによるもの
仕立て方の形は下の図のような方法となります。
畑を上から見た状態。かぼちゃのなっている数はさほど変わりません。
かぼちゃの面積当たりの本数「株の数」が違います。
かぼちゃの実の成る位置も違います。
図で説明すると、左から1本仕立て、2本仕立て、3本仕立てです。
1本仕立て栽培
親ルツを1本だけ伸ばして1個~2個かぼちゃを取る栽培方法です。脇から出る枝は全て取り除きます。
親ツルから出てくる子ツル、孫ツルを取り親ツルを切り取り、伸ばします。
この栽培方法は、とにかく早く、密植させて沢山作りたい場合にこの親つる1本仕立ての栽培をします。
この方法のメリットは着果が非常に安定しています。早く栽培するトンネル栽培、マルチ栽培に多いです。
品種は小ツルの発生が少ない、みやこ(タキイ種苗)があっています。
かぼちゃは基本的に「低温短日で雌花が分かしやすい植物です」春先のトンネル栽培の時期は、日がまだ短く低温です。
この時期にはできるだけ早く収穫したいから、早生品種がもってこいです。ただし、実をつけるのは1個になります。
その為たくさん取るには密植します。株間30~40㎝、うね幅3~4m位は必要です。10アール当たり950株位になります。それでも混んでいるように思います。
2本仕立て栽培
子ツルを2本の伸ばし、2個もしくは3個取る栽培方法です。
親ツルを5節までに芯を止め(摘芯)、子ツルを2本伸ばし、孫ツルは取り除きます。
この栽培方法は、きれいな形、大きさ、品質のもを作りたい場合にこの、子ツル2本仕立ての栽培方法を取ります。親ツルを止めるので生育は遅れます。普通栽培向きです。
今のF1品種、西洋南瓜に向いています。極粉質の甘いかぼちゃや特徴のあるかぼちゃはこの栽培方法を取っています。
高品質を求める品種はこの栽培方法を取っています。「くりあじ」福種「さちにしき」「ケント」とか最近では「ロロン」タキイ種苗等、特徴ある品種なども良いですね。
植えつけは、畝の片側に行って、子ツル2本とも同じ片側へ伸ばしていく栽培方法です。
2本に仕立てることで、その後の管理がしやすくなります。実のなる位置や時期を揃え、品質を整えて、カタログのようなかぼちゃをならせるということです。同時に2個ならせることができるので収穫時期も同じような時期となり、一斉収穫できるわけですね。株間は60㎝、畝幅3~4m位です。
3本仕立て栽培
子ツルを3本のばし、3個取る栽培方法です。
親ツルを5節迄に芯を止め、子ツルを3本伸ばしていき、孫ツルは取り除きます。
この栽培方法は、一般的な「えびす」タキイ種苗「栗三昧」ナント種苗など生育が旺盛な品種で、お饅頭型の形が崩れにくく、栽培がしやすい品種で、より多く収穫したいという時にこの栽培方法を取ります。
3本のツルに1個づつかぼちゃをならせる同時着果は3本が限界といわれています。
同時に沢山かぼちゃがなるということは、かぼちゃに大きな負担がかかり、着果不慮や病害になり易いといった問題が起こります。その限界が3個同時です。つまり2本仕立てと4本仕立てのいいとこどりの仕立て方と思って結構です。
もう1つ、新しい品種が増えている中で「ミニカボチャ」があります。「坊ちゃん」「プッチーニ」サカタのタネ等、食べきりサイズで丸ごと調理もできる品種です。
このようなかぼちゃの中には1株で30個成るといった品種もあるそうです。
そのような小さなかぼちゃは、着果に伴うかぼちゃの根や葉も負担が小さいのでしょう。1ツルに沢山なることができます。このような品種も3本仕立てが良いでしょうね。未確認ですが、4本でもいけそうですね。
4本仕立て栽培
子ツルを4本のばし、4個以上取る栽培方法です。小型のかぼちゃに向いています。
4本以上は同時着果が減少し、収穫期がばらつく弱点があります。小ツルを4本伸し、3個以上取る栽培方法です。親ツルを5節迄に芯止め、子ツルを4本左右対称に伸ばしていき、孫ツルは取り除きます。
この栽培方法は、大規模で普通栽培に向いています。孫ツルの発生が少なく、手間をできるだけかけたくないという方法です。
最近ではほどんど4本には仕立てないようで、日本かぼちゃ等の小型かぼちゃ(ペポかぼちゃ)でこの栽培方法を使います。
日本かぼちゃは、西洋かぼちゃに比べ、ツルの節間は長めで、細いですね。
沢山なることを目的として、同時着果や管理より、なるべく多くの果実を取る栽培方法です。
大規模栽培などコストや労働力を削減し、着果後はほぼ放任して管理します。
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